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小さな罪も見過ごしてはならない ① ［マタイの福音書18章5～10節］

マタイの福音書の恵み 107

オンヌリ教会前主任牧師　故ハ･ヨンジョ

「しかし、わたしを信じるこの小さい者たちのひとりにでもつまずきを与えるような者は、
大きい石臼を首にかけられて、湖の深みでおぼれ死んだほうがましです」（マタ 18:6）。

｢また、だれでも、このような子どものひとりを、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れるのです」（マタ 18:5）。
イエス様はここで「子どもをわたしの名のゆえに受け入れなければならない」と勧めておられます。汚れていて、自己中心的なおとなの仮面を捨てるだけでなく、純粋で謙虚な子どもの心を受け入れて、神の子どもとしての考え方を身につけなさいと言われたのです。神の子どもとは、すでに世俗に染まり、固まってしまったおとなではなく、新しくされた者であり、霊的に新しく生まれた子どものような存在です。ですから、私たちの心の状態が子どものように変わらなければなりません。そのことをイエス様は喜ばれます。私たちが教会に行って礼拝をささげることだけでも、神様は喜ばれます。しかし、後先のことを考えれば行けないような所でもイエスの御名によって行き、あれこれ計算するならできないようなことをイエスのゆえにする姿を見るとき、神様は本当に喜ばれます。
私たちはここに天の御国を見いだします。天の御国は、私たちがこの世を去る日に入ることになります。しかし、イエス様はすでにこの地で天の御国を経験させてくださいます。おとなは子どもを受け入れることはできません。子どもがおとなを受け入れます。天の御国を所有した人は、天の御国を受け入れることでしょう。

私たちと同一視されたイエス様
｢子どもを受け入れる者は、わたしを受け入れるのです」というみことばから学べることは、第一に、イエス様と私たちは不可分の関係にあるということです。「主のみことばが私のうちに、私が主のうちに」「イエスはぶどうの木で、私たちは枝」というみことばにも見られます。ルカの福音書でイエス様は伝道しに行く弟子たちにこのように言われました。
｢あなたがたに耳を傾ける者は、わたしに耳を傾ける者であり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒む者です。わたしを拒む者は、わたしを遣わされた方を拒む者です」（ルカ 10:16）。
イエス様は、ご自身と神様の子どもを一つとして見ておられました。特に、マタイの福音書25章35～45節では、より具体的に語っておられます。イエス様は正しい人たちに、こう言われました。
｢あなたがたは、わたしが空腹であったとき、わたしに食べる物を与え、わたしが渇いていたとき、わたしに飲ませ、わたしが旅人であったとき、わたしに宿を貸し、わたしが裸のとき、わたしに着る物を与え、わたしが病気をしたとき、わたしを見舞い、わたしが牢にいたとき、わたしをたずねてくれたからです」（マタ 25:35～36）。
正しい人たちが「主よ、いつ私たちは、あなたを助けましたか。そんなことをした憶えはありません」と言うと、イエス様は「あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです」と言われました。イエス様は、旅人、病んでいる者、疎外されている者、力のない者、牢にいる者が、ご自分のような者だと言っておられます。目に見える人を愛することができない人が、どうして神様を愛することができるのかと言っておられるのです。私たちは、白い服を着て光り輝くイエス様を想像しますが、イエス様はすでに私たちのうちにおられ、裸の者のうちにもおられます。イエス様は、ご自分の民とご自分を同一視されます。
神様の民を「神の子」といいます。イエス様は、私たちのことを愛さなければならない客観的な対象として見られるのではなく、私たちとご自分を一つのからだとして見ておられます。イエス様は、私たちを単に愛してあげるべきかわいそうな存在、同情し、病をいやしてあげるべき存在としてではなく、まさにご自分も実際に病の苦しみを味わいながら、苦しんでいる私たちとともにおられるのです。
私たちは、道を歩いていてかわいそうな人がいたら、その人を助けてあげることができます。お金を渡したり、一生面倒を見てあげると約束することもできます。裸の人がいたら、自分の服を脱いであげることもできます。しかし、イエス様はそうではありません。自分の子どものように世話をしてくださいます。自分の身から出た子どもの世話をすることと、かわいそうな人を助けてあげることとは違います。イエス様は、かわいそうな孤児に同情するような、裸の人に同情して助けるような関係ではなく、自分の身から出た子として、切っても切れない関係で私たちを愛し、世話してくださるのです。
周りを見れば、無力でお金もない、世の人々が見れば取るに足りないクリスチャンがいます。世では彼らがそれほど貧しく、みじめな暮らしをしているとしても、神様は彼らをこの世のどんなものよりも尊い存在として見ておられます。私は、宣教師の方たちを通してこのことを学びました。だれも関心を持たないアフリカ奥地の見捨てられた子どもたちも、イエス様が十字架で血を流して死ぬほど愛された存在です。中国やロシアの人々も、神様の愛を受けるべき存在だと感じられるようになりました。国内にも、貧しい人々や劣悪な環境で生きている人々がいます。神様は私たちに語られます。「あの見捨てられた無力な、何者でもない者ひとりでも受け入れることは、わたしを受け入れることだ。愛されていない人を愛しなさい。わたしの名によって忘れられた人々のもとに行き、助け、愛をもって包んであげなさい。お腹をすかした人に食べさせなさい。それが、わたしを愛することなのだ」

つまずきを与える人
｢しかし、わたしを信じるこの小さい者たちのひとりにでもつまずきを与えるような者は、大きい石臼を首にかけられて、湖の深みでおぼれ死んだほうがましです」（マタ 18:6）。
第二に、イエス様は、小さな者たちのひとりにでもつまずきを与えてはならないと言われました。これは、本当に恐ろしいみことばです。意図しなくても自分より立場が下にいる者につまずきを与えてしまうことは、だれにもありがちなことだからです。
イエス様を心から信じている純粋なクリスチャンがいたとします。彼はこの世で優れた才能もない弱い存在で、人の下で働いている人です。悔しい目に会っても、防御する力がありません。イエス様は、このような人々を無視してはならないと言われました。「彼を傷つけてはならない。彼も神様の子どもなのだ。この世では低い位置にいるかもしれないが、天の御国では最も偉大な者だ。彼を決してつまずかせてはならない」と言われるのです。イエス様は、弱い信徒や無視されている信徒、忘れられた信徒を必ず捜し出し、守られます。
では、人につまずきを与える罪とは、どんなものでしょうか。それは、罪を犯させるよう人を誘惑し、刺激を与え、教えることを意味します。ここで私たちは驚くべきことに気づかされます。罪は、自ら犯すことはないということです。罪は、どんなときも誘惑を受けて犯すものです。悪魔が直接誘惑したり、人に命じて誘惑させたりするのです。誘惑がなければ、罪を犯すことはありません。サタンは、エバを誘惑しました。罪を犯すところには、罪を犯すように後押ししたり、勧めたりする誘惑の手があるものです。人は、初めから大きな罪を犯しません。少しずつ罪を犯して、後にはとてつもない罪を犯すようになるのです。
ユダヤ人は、最も赦されない罪は、罪を犯すよう人々を誘惑する罪だと考えました。一般的にこの世では、罪を犯した張本人が最も罪深い人だと考えます。金持ちは、自分で罪を犯しませんが、お金で人に罪を犯すようにさせます。社長は罪を犯しませんが、部下社員に罪を犯すようにさせます。しかし、イエス様は見ておられます。罪を犯した人よりも、罪を犯すようにさせた黒い勢力、誘惑する勢力を、イエス様はより鋭くさばかれます。神様は欺かれない方です。人は欺くことができても、神様を欺くことはできません。（来月に続く）

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