ジェネシスジャパン名誉会長 宇佐神正海
「あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである」(ピリ 2:13)。 私は1947年に樺太から引き上げました。引き上げてまもなく、双子の弟が教会に通い始めました。ある時、弟の聖書を開いたら、一行目に「はじめに神は天と地とを創造された」とありました。当時私は「天と地を創造した神などいない。科学こそ真実を示す」と信じていました。 高校生のときに生物部に入り、顧問の先生から進化論を学びました。しかし、納得のいく証拠を見いだすことができませんでした。1951年、東北大学に入った私は、進化に関する本をいろいろ調べました。そして、進化論には確かな証拠が何もないことに気がつきました。進化論には大前提がありました。「進化論は証明を要しない公理であり、創造者はだれも見たことがない。したがって、創造者はいない」ということです。進化論は証明する必要のない真理だというのです。私は、「そんなばかなハズはない。進化論は証明することのできない、ただの憶測にすぎないのではないか」と考えるようになりました。そして「はじめに神は天と地とを創造された」と書いてある箇所のほかに、創造について書いてある資料を見つけることができませんでした。 私の家系は神主の出です。神道にはいろいろな神がいますが、どの神も天と地を造ることができるはずがないと、確信を持って言うことができました。それで、その聖書の神を「創造主」と置き換えて読んでみました。すると、聖書に書いてあることは本当だと思うようになりました。「おおいかぶされたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。だから、あなたがたが暗やみで言ったことは、なんでもみな明るみで聞かれ、密室で耳にささやいたことは、屋根の上で言いひろめられるであろう」(ルカ 12:2~3)。このみことばに出会ったとき、自分が罪人であることを示され、3日3晩寝ることができませんでした。1951年8月1日午後2時、私はイエス・キリストを受け入れました。「わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる」(ヨハ 14:27)というみことばを通して、平安が与えられ、その晩から熟睡できるようになりました。聖書の記述が真実であることを改めて体験したのです。その時の平安が現在まで続いています。 ところが、その時から私の人生は大変になりました。しかし、大変な中でも主は私のビジョンを実現させてくださいました。そのビジョンとは「創造主がおられるなら進化論は事実ではない。どうしたらそのことを示せるかを検討しよう」というものでした。そして、その年の9月から教会に行き始め、聖書と科学の検討に入りました。当時の多くのクリスチャンが進化論を信じていたので、聖書を科学的に考える思考の展開が必要でした。 1977年夏、サンディエゴにある創造調査研究所を訪問しました。私はそこでモリス教授に会い、多くの創造科学に関する資料を購入しました。1978年1月から『聖書と科学者』の出版をスタートし、同時に重要な科学的資料の翻訳出版を始めました。そうするうちに、少しずつ協力者や関心を持つ人が現れてきました。経済的には常に厳しい状況でしたが、創造主がこの働きを続けさせてくださいました。この働きは私の三男が受け継ぎ、「ジェネシスジャパン」として国内外で創造セミナーや講演を続けています。 日本の創造論の働きは、ビジョンによって起こされ前進し続けてきました。初めは異端だと言われ、経済的には常に厳しい状態でしたが、主に信頼する中で現在まで続けてくることができました。私がこの働きについて人から経済的な援助をいただいたことはありません。いつも主が準備してくださったからです。働きを進める上で本当に必要なのは、主から与えられた志、つまりビジョンです。主によって与えられたビジョンによって前進するとき、主はその都度必要なものを備えてくださいます。40年前は情報を伝えるためには、紙に印刷し、郵送しなければなりませんでしたが、今はインターネットの時代で、お金をかけることなく情報発信ができます。 もし皆さんが主に信頼し、ビジョンを持ち、自分に与えられたものを主にささげるなら、主が共に働いてくださいます。私は紆余曲折はありましたが、走り続けて、現在86歳になりました。ビジョンを達成する中で何度も困難にぶつかりましたが、主が逃れる道を備えてくださいました。これからは皆さんがご自分の国で神様から与えられたビジョンを展開していかれるのを期待し、成果を楽しみにしています。
* 聖句の引用は「口語訳聖書」によります。
本文は日本CGNTV「全アジア創造カンファレンス2018」の放送番組の内容を要約したものです。
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