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人生の目的人生は創造と救いと愛です

クリスチャン人生論 24

ユ・スンウォン　デトロイト韓国人連合長老教会主任牧師

なぜ、何のために生きるのか
人生の目的とは何でしょうか。食べ物、服、機械など、この世に存在する物は、それを作った人がその存在目的を定義します。それは、機能が高いレベルのものであっても同じです。人間の情報処理能力をはるかに超える「人工知能」の存在目的も、それを作った人が定義します。いくら優れた人工知能であっても、自分の存在目的を自ら定義することはできません。それが被造物の宿命なのです。
人間は、実に複雑なたましいと物質の結合体であり、驚くべき「知・情・意」を備えた人格体です。しかし、決して「自ら存在する者」ではなく、被造物です。そのため、人間が自分の存在目的を自ら定義しようとすることは矛盾であり、創造主に対する反逆です。人生の目的は、人間を造られた神が定義されるのです。

人に与えられた最初の命令
神が人をご自分のかたちに造られた後、人に与えた最初の命令があります。「神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。『生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ』」（創 1:28）。これが人間の存在目的です。
この命令は、「幸福の命令」です。神が人に最初に与えられたものが「祝福」だからです。祝福を受けるために神を信じる「ご利益信仰」は間違ったものですが、人間の存在の根幹が神の「祝福」であるという点は、変わることのない真理です（創 1:28；9:1；12:1～3、詩 1:1、マタ 5:3～12）。神の恵みは、私たちの人生の基礎です。聖書の祝福の概念は、この世の祝福の理解とは異なりますが、祝福を受けるときの主観的な状態が「幸福」であるという点には異議がないでしょう。
幸福を前提にして、人間は「生育、（子孫）繁栄、充満、征服（勝利）、統治」の命令を受けました。これが人間の存在目的であり、生き方です。神が造られたいのちとして、その生命力を十分に放ちなさいという命令です。環境と材料として与えられた被造物である世界を征服する主体的な統治と管理の使命が、最高被造物である人間に与えられました。「地を従えよ」という命令に注目してください。この命令は、継続的な創造の命令です。これが、イエスが宣言された「神の国」の意味です。本来、世を治めておられるのは、神です。その統治の代理者として任命されたのが、神のかたちとして創造された人間なのです。人間だけが創造主である神のかたちとして創造されました。そのため、人間が生きる場所では、神の創造は継続して発生し、文明と文化が生まれます。そのため、この命令を「文化命令」と呼びます。どんなに賢い動物であっても、本能的に行動するだけで文化が形成され、蓄積されて発展することはありません。文明と文化は、神のかたちを持つ人間だけにある「継続的な創造現象」です。
神のかたちに似た人間は創造します。生活のための衣食住の方法を開発します。そのため、学問と芸術、哲学と文学、知識と価値が発展します。神は世を創造され、段階ごとに見て「良し」とされました（創 1:4, 10, 12, 18, 21, 25）。いま創造の代理者として、人間が人生と文化創造を続けていくときにも、神は「良し」と語られるでしょう。幸せな創造の人生は、神の喜びであり栄光です。人間の存在目的は、神の御心に従って生き、神に喜ばれることです。

キリストにある新しい創造
創造の命令は、新約時代のクリスチャンにも有効です。キリストにあって成し遂げられた贖いは、創造を回復するためのものです。人間の罪によって神が良しと宣言された被造物である世界に、再び「茫漠とやみ」（創 1:2）が入りました。神と人間の関係（創 3:8～10）、人間と人間の関係（創 3:12～13, 16；3:8～9）、人間と自然の関係（創 3:17～19）が崩れました。神はいのちを造られましたが、同時に死が入ってきました（創 2:17）。
イエスが来てされたことは、この創造を回復することでした。「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です」（Ⅱコリ 5:17前半）。「新しく造られた者」と翻訳された「カイネクティシス」を直訳すると、「新しい創造」です。この文章は、動詞がなく、感激の情緒を簡潔な感嘆の声で表現した感嘆文です。これを直訳すると「だれでもキリストのうちにあるなら、新しい創造！」となります。イザヤ書65章17～25節で宣言された「神の新しい創造のみわざ」が、イエスを通して成し遂げられたことを宣言したのです。そのため、その直後、このように解説しています。「古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました」（Ⅱコリ 5:17後半、筆者訳「古いものは過ぎ去りました。見なさい。新しいものが来ました」）。
パウロが異邦人である信者たちの割礼問題のために激しい論争をしていたとき、「信仰義認」を主張するガラテヤ人への手紙の結びで下した結論も「新しい創造」でした。「割礼を受けているか受けていないかは、大事なことではありません。大事なのは新しい創造です」（ガラ 6:15）。「新しい創造」という単語も、コリント人への手紙第二5章17節と同じ「カイネ　クティシス」です。割礼という論点で激しく争っていましたが、本当に重要なことは、イエス・キリストにある「新しい創造」だという宣言です。そのため、神の救いは天地創造の回復である「新しい天」と「新しい地」だという希望で表現されます（イザ 65:17；66:22、Ⅱペテ 3:13、黙 21:1）。そのため、罪によってうめくすべての被造物は、新しい創造の完結を慕いながら待っています（ロマ 8:19～23）。

創造を裏切らない伝道
イエスが私たちのために血を流して死なれたのは、私たちが罪の支配から解放され、永遠のいのちを受け、創造当時の本来の意図であったように、生育、（子孫）繁栄、充満、勝利、統治の中で創造的に幸せに生きるようにするためです。「わたしが来たのは、羊がいのちを得、またそれを豊かに持つためです」（ヨハ 10:10）。これが神が創造された美しい人生の回復です。この新しい創造の「良い知らせ」（福音）を世に伝えるのがクリスチャンの使命です。ここに「大宣教命令」の理由があります。「それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい」（マタ 28:19～20前半）。
クリスチャンの聖書的な人生論は、歴史と人生の使命を狭い意味での「伝道」に縮小する「伝道至上主義」を警戒します。クリスチャンにとって伝道は必須使命です。しかし、人間は互いを伝道するために生まれ、互いを伝道するためだけに生きる存在ではありません。神は、人間を互いに伝道して終わるために造られたのではありません。伝道は、新しい創造の人生のためのものです。伝道は壊れた創造を回復する「新しい創造」の働きです。伝道し、伝道され、豊かな永遠のいのちを持つクリスチャンは、いつも喜び、絶えず祈り、すべてに感謝する生産的創造の幸福を味わいます。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです」（Ⅰテサ 5:16～18）。
神が意図され、イエスにあって回復された人生の本来の目的は、創造と幸福です。幸せに生きなければなりません。この時代の使命者として清貧を使命として考えることもできますが、貧しさ自体が神の目的ではありません。神の国のために苦難の十字架を喜んで負わなければなりませんが、苦しみ自体は過程であって、目的ではありません。人がみな幸せに生きることが、神の栄光であり、喜びです。豊かないのちが神の御心です。創造と幸福は、創造の初めから今まで人生の目的であり、人生と歴史の基本なのです。

神は愛、人生も愛
ただし、浅はかな「ご利益主義」には警戒しなければなりません。自分だけが良いものを食べて生きればいいという考え方は、私たちのたましいをむしばみます。豊かないのちの信仰を、ご利益主義に置き換えれば、創造の使命が利己的貪欲に変質します。
そのため、このすべての結論は、「愛」でなければなりません。イエスが定義された最大の戒めは愛です（マタ 22:35～40）。神は愛です（Ⅰヨハ 4:8, 16）。愛の神の人間創造は、愛の行為でした。愛である神のかたちをもって創造された人もまた、愛でなければなりません。人生の目的は愛にあります。人は神に愛されるために生まれました。人に与えられた最大の戒めは、創造主である神を愛し、その愛に基づいて互いに愛し合う「愛の民」になることです。愛がなければ、どんな行為も、さらには宗教的な敬虔や力でさえ、何の役にも立ちません（Ⅰコリ 13:1～3）。そのため、信仰、希望、愛はいつまでも残りますが、その中で一番すぐれているのは愛です。愛すれば創造します。愛すれば伝道し、新しく創造します。神は愛であり、人生も愛であり、すべてが愛によって成し遂げられなければなりません。
神の民は、どのように生きるべきなのでしょうか。人間として創造されたなら、幸せでなければなりません。幸せであるならば、クリスチャンとして福音を伝え、新しい創造の神の国を完成することができます。神を愛し、隣人を自分のように愛するのです。では、人生とは何でしょうか。創造によって豊かに生きることです。世を救うために福音を伝えるのが人生です。神を愛し、互いに愛し合うことが人生です。人生はつまり、創造と救いと愛なのです。

人に与えられた最初の命令は「幸福の命令」です。
人の人生は「神が祝福される」ことによって始まります。
これを土台に、人は「文化命令」を受けたのです。

人生の目的は、創造と救いと愛です。
創造的な幸せな人生、世を救うための福音伝道、
神への愛と隣人への愛です。

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