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傾聴
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人生の宝探し⑥ |
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パク・ジョンギル ソウル・オンヌリ教会 ソビンゴ担当牧師
私たちは、よくしゃべります。ルアン・ブリゼンディーン(Louann Brizendine)博士は、『女性の頭脳(The Female Brain)』という著書の中で、女性は一日平均2万単語を、男性は7千単語を用いると言っています。男性は対話をするとき、必要な言葉だけを使う傾向があり、女性は男性に比べて豊富な単語を土台に、じっくり説明しながら対話をしようとする傾向があるからだそうです。学者によって統計は違いますが、共通していることは、女性が男性よりも2~3倍ほど多く話すということです。私たちは、それほどよく話しますが、実は、たくさん話すことよりも重要なのは、ほかの人の言葉に耳を傾けることです。耳を傾けるとき、その人の心の声を聞くことができるからです。 人生の宝探しの6つ目は、「傾聴」です。傾聴とは、耳を傾けて注意深く聞くことです。人が話すことを習得するためには、2年もあれば十分ですが、沈黙することを学ぶためには、60年かかるとも言われています。私たちは、聞くことよりも、また沈黙することよりも、話すことのほうを好みます。しかし、真の対話をするためには、話すよりも聞かなければなりません。内面の声を聞くことができなければなりません。聖書は、信仰は聞くことから始まると言っています。「そのように、信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみことばによるのです」(ロマ 10:17)。信仰は、まず聞くことから始まるのです。神様のことばをよく聞かなければなりません。みことばに耳を傾けなければなりません。それが、私たちの人生の中に隠された宝を探す近道です。 傾聴に関して、3つの教訓があります。まず第一に、主は傾聴しておられます。私たちに耳を傾けておられるのです。主は私たちに目を注ぎ、小さなうめき声にも答えてくださる方です。エリコを出て行こうとされるイエス様に、バルテマイという盲人が「ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫びました。すると、イエス様は立ち止まって、バルテマイを呼んでこさせ、彼の願いを聞き、彼の目をいやしてあげます(マコ 10:46~52)。 バルテマイの叫びと願いを傾聴されたイエス様は、私たちにも傾聴してくださいます。私たちの叫びと願いに耳を傾けて、私たちの嘆きやうめき声を聞き、問題を解決してくださるのです。私たちは、話を聞く前に人を判断したり、あるいは聞きながらも自分勝手に評価し、結論を下すことがよくあります。しかし、主は私たちの思いや事情、涙や苦しみもご存じです。だからこそ主は、私たちに耳を傾けてくださり、私たちをひとりにはされないのです。 第二に、傾聴するためには努力しなければなりません。人と話をするとき、先入観を持ったり、アドバイスしたい衝動や、途中で話したい欲求を抑えなければなりません。だれもが聞くよりも話すことを好む理由は、相手を理解する前に、まず自分を理解してもらいたいという欲求が先立つからです。理解してもらいたいなら、まず自分のほうから相手に耳を傾けなければなりません。話すことを控え、まず傾聴しなければなりません。謙遜になれば、聞くことができますが、傲慢であれば、聞くことができません。相手の話を集中して聞くと、話す側はみな喜びます。相手が子どもでも、配偶者でも、信徒でもそうでなくても、話をよく聞いてあげてください。相手に集中して傾聴すれば、相手もあなたに傾聴してくれます。傾聴は耳だけでするのではありません。目でも傾聴し、口でも、手でも傾聴します。ジェスチャーや目で反応し、相手に耳を傾けているというサインを全身で送ってください。頭だけで傾聴せず、努力しなければなりません。 第三に、私たちは主に傾聴しなければなりません。神様は、待つことを通して多くのみわざを行われます。私たちが主に傾聴するためには、待つことの恵みを経験しなければなりません。すぐに焦ったり、簡単にあきらめて落胆する態度を捨てなければなりません。待つことは、神様の品性です。ですから、私たちは、主に傾聴しつつ、寛容と忍耐によって待たなければなりません。簡単にあきらめ、簡単に判断し、簡単に結論を下してはなりません。アブラハムは25年間、ヨセフは13年間、沈黙される神様を待ちました。そして、神様に傾聴しました。神様は、その時間を通してアブラハムとヨセフを訓練し、鍛錬して、堅い信仰者として立てられました。私たちが不平不満の声を控えて沈黙して待ち、主に傾聴するとき、主は私たちを用いられ、練りながら完成していかれます。私たちの言葉に傾聴してくださる主に、私たちも傾聴しなければなりません。主に傾聴するとき、世の声ではなく、天の声が私たちを導くことでしょう。 私たちは、愛の心があるときに傾聴することができます。愛があるなら、耳を傾けます。主は、私たちを愛する心で耳を傾けてくださいます。エリコに向かっていた足を止め、盲人の叫びに答えてくださったように、私たちのうめき声に答えてくださいます。そして、傾聴は、努力しなければなりません。思うだけではなく、まず聞くようにしなければなりません。主に傾聴してください。私たちを愛しておられる主のことばを、沈黙の中で聞いてください。そうすれば、尊い主の御声を聞くことができます。人生の宝を見いだすことができるのです。
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