日本CGNTV「本の旅」より
立正大学で英文学を教える傍ら、水彩画を描き、個展を開催するなど、精力的に活動しておられる大島芳材先生。この『教会を描く』という本は、日本ナザレン教団所属の69の教会を描いた画集です。
この画集を出した経緯 私は幼い頃から絵が好きで、よく描いていて、将来は画家になりたいと思っていました。仕事をするようになった頃、水彩画を手掛けました。これは油絵よりも手軽に描けますから、水彩画を仕事の合間にやっていました。その後、間もなくして受洗しまして、教会に通うようになりました。私が所属しているナザレン教団には69の教会がありますが、生涯のうちに一つでもまとまったものを残しておきたいと思い、「教会を一つ一つ描いてみよう」と思うようになりました。
イエス様に出会ったきっかけ 若い頃から、宗教・信仰には興味がありました。それで、お寺に行ってお坊さんの話を聞いたり、教会に行ってメッセージを聞いたりしていました。ただ、信仰の世界に自分から踏み込んでいくのはちょっと恐いと思っていました。30代の半ば、絵を教わっていた先生から「結婚しないか」というお話がありました。「その女性は横浜在住の、横浜ナザレン教会の会員なんだよ。」そして、将来結婚するために、一緒に教会に行くようにと勧められ、横浜教会へ行くようになりました。ある日、牧師がメッセージの中で「信仰とはわれわれの人生に深く関係のあることだ。神はわれわれの人生に関わっておられるのだ」とおっしゃいました。これに私は衝撃を受け、それ以来、すっかりキリスト教に対する考え方が変わりました。これが受洗をするきっかけでした。
描きながら気を使った点 絵を現場に行って描くというのは重要なことだと思います。教会を見た最初の印象を私は大切にしておりまして、それが絵のもとになっています。ところが、実際描くとなると、構成が必要となり、邪魔なものは取り除き、必要なものを置いてみるという作業が必要になります。これは絵を描く上での面白さでもあり、難しさでもあります。
思い出に残る教会 北海道の上芦別教会ですね。その教会に行った時は昼間でしたが、私が夜の祈祷会に出席したとき、皆さんが、とても温かく迎えてくださいました。終わってからも牧師がホテルまで車で送ってくださったのですが、途中の原っぱで車を止めて星を見ました。上を見たら満天の星空で、感動しました。「これは神様のみわざだ。神様はこんな素晴らしいものを造られたんだ。なんと偉大な方だろう。」これはどうしても絵に残さなければと思い、教会の背景に星を描きました。 もう一つは神戸平野教会です。この教会は、関西大震災の時に倒壊したのですが、私は場所を確認せず、古い住所を見て行ったので、当然見つかりませんでした。近くを歩いている人に聞くと、その人は教会まで案内してくださいました。着いてみると、非常にモダンな教会でした。災害で焼けるということも、生まれ変わる良い機会を与えてくれたわけです。新生した教会だという強い印象を受けました。
教会を描く中での信仰の発見 最初は記録として残しておこうと思っていたのですが、描いているうちに、「教会には人が大勢来て、救われているんだ」ということに気がつき、教会はふつうの建造物とは違うということがわかってきました。それで、「記録として描くのではなく、神の家を描く。これが教会を描くということだ」と思うようになりました。
信仰を持つ前と後との画風 信仰を持った後、描くときは、「絵を通して神様の気持ちを表現したい。絵は証しになる」と思うようになりました。以前は、現実的な美しさを表現することが絵を描くことだったのですが、洗礼を受けてから、だんだんと絵は証しであるということがわかってきました。
どんな人に画集を見てほしいか 小さな教会でも、そこには福音伝道をする基が作られています。教会は大きい小さいに関わらず、光を放っているということを感じ取っていただきたいと思います。それを感じ取っていただける方に見ていただければ嬉しいです。
これからのビジョン これからも絵を通して神様を証ししていきたいと願っています。絵に磨きをかけ、透明感を表していきたいという目標も与えられました。「聖書の清らかさに通じる透明感を追及していきたい。信仰と重なっていく美を描いていきたい」というのが今持っているビジョンです。どんなものを描いても信仰は表せるでしょう。教会に限らず、福音につながる絵を描きたいと思っています。
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