ナ・スンピル パウロ宣教会 派遣宣教師
韓国人が宣教師としてヨーロッパの白人社会、それもドイツに住むこと自体が、常に大きなチャレンジとなりました。ドイツ宣教の多くの障害物の中で最も大きいことは、早くからキリスト教を受け入れたドイツが、今はかなり世俗化されているという点です。その中に形成された無神論思想、多元主義的宗教観、そして、そこから作り出された世界観が、どれほど恐ろしいものであるかを毎日実感しています。ドイツ人とそこに住む外国人や難民に福音を伝えるときは、いつも門前払いされました。ドイツのキリストを信じない人たちは、キリスト教をまるで時代遅れの“宗教”のように考えます。さらに、中世暗黒期に人権を踏みにじった非理性的で現実みのない“宗教”扱いをします。私は、キリスト教史が西洋社会に比べてとても短い国で生まれたので、彼らに福音を伝えるときに、侮辱や蔑視を受けたりもします。そのように福音を伝えながら、20数年が経ちました。 特に、難民保護所で宣教の働きをする中で、難民たちの多彩な知性と劣悪な環境に目線を合わせ、私も彼らの中のひとりになるべきだと学ばされます。そして、宣教は結局は彼らの人生の中に入り、彼らとともに生きることであるという貴重な真理を学ばされました。「私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷となりました…弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです」(Ⅰコリ 9:19~23)。使徒パウロのこの告白は、私の人生観になりました。いつもしいたげられている者のように、貧しい者のように、しもべのように生きていますが、心の中ではほほ笑んでいます。それはまるで、主の慰めのようなほほ笑みであるのを感じます。そして、私を福音を恥じない者に変えてくださった方は神であることを告白し、主を賛美します。 私たちよりも先に聖書を知り、世に福音を伝えるために多くの犠牲を払ったドイツに、少しでも福音の借りを返すことができるのは感謝なことです。今養育しているドイツの神学生たちが、次世代の霊的指導者になって、多くの人を主の前に正しく導けるよう、そして、この地が第2の宗教改革によって新たにされるよう願います。
| 国家情報 | ヨーロッパの中央に位置する強大国ドイツは、ヨーロッパ連合の中で最も人口が多く、アメリカに続き世界で2番目に移民者数が多い国です。1990年の統一当時に約8千万人だった人口は、難民の継続的な入国と滞在によって、現在8千3百万人を越えました。特にこの数年間は、難民数が急増し、経済、文化、宗教、保安などのすべての分野で危機を迎えており、過去のドイツの姿を喪失したというアイデンティティの混乱の中にあります。首都はベルリン、公用語はドイツ語で、国民の大多数がキリスト教徒です。
| 祈りの情報 | 現在、急増している難民や、以前から居住している外国人への否定的な感情が大きくなっています。混乱の中にあるドイツ国内の状況と、陰性・陽性的に大きくなっている反ユダヤ人・反外国人感情が早く静まるように祈りましょう。国民の大多数がキリスト教徒だとは言いますが、多くは名ばかりのクリスチャンです。国民の約2%に該当する福音主義のクリスチャンが聖日礼拝を守り、堅固な信仰生活をしている一方、ほとんどは無神論と宗教多元主義思想を持ち、全国のムスリム人口は5百万人以上にもなります。この地に再び真の宗教改革が起こるように祈りましょう。
| ナ・スンピル宣教師の祈りの課題 | 1.ドイツ現地人を含む国際多民族教会と次世代指導者のための神学校によく仕えることができるように。 2.養育中の神学生たちがドイツ福音化の働き人としてよく成長できるように。 3.ドイツに入国した難民たちに愛をもって仕え、難民洪水の危機が新しい宣教の機会となるように。 4.国内外の神学校の講義の働き(新約学と宣教学)をしっかりと行えるように。
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