|
いのちを与えるキリストによってつながる
|
キリストによって 次世代とつながるために |
|
ひばりが丘バイブルチャーチ 牧師 野田勝利
ひばりが丘バイブルチャーチの大きな特徴として、70~80人いる礼拝出席者の半数が若者や子どもたちであることが挙げられます。私が2010年11月に後継牧師として赴任した当時、たくさんいる小中学生たちを見て、大きな可能性を感じる一方で、緊急のニーズを覚えました。彼らのほとんどが、親に連れられて来ているクリスチャン子弟で、自覚的な信仰を持っている子が多くありませんでした。それにもかかわらず、CSの働きは十分に機能しておらず、中高生以上を対象としたミニストリーは、まだ、手付かずの状況だったからです。 協力してくださる方々とともに、すぐに様々な取り組みを始めていきました。感謝なことに、5年半経った今、毎週のプログラムは充実し、楽しい伝道企画も行われ、春、夏のキャンプを通して、これまでに多くの受洗者が与えられました。また、最近では、成長した若者たちが、ワーシップ、CS、ユースの中心的な奉仕者として用いられています。もちろん、今なお多くの課題を抱えており、何か理想的なモデルを提示することができるわけではありません。しかし、敢えてこれまで大切にしてきてよかったと思うことを一つ挙げるとしたら、それはバランスを重視するということです。 具体的に言うと、第一に、「娯楽性と霊性のバランス」が重要です。常に周りに刺激的な娯楽があふれている現代の子どもや若者たちは、楽しくない場所には絶対に来ません。私は、彼らにとって教会が最高に楽しい場所であってほしいと願いました。それで牧師室を開放し、若者たちが「部室」のようにくつろいで語り合ったり、遊んだり、勉強したりできる場所にしました。小学生たちが教会を走り回って自由に遊ぶことが、何よりも優先されるべきだと宣言しました。教会の大人の皆さんもこの方針をよく理解し、多少彼らが羽目を外しても、文句を言う人はだれもいません。ですから、みな教会が大好きで、日曜日は朝から晩まで、私が帰れと言う時まで、ずっと教会にいます。 しかし、同時に強い危機感とジレンマもあります。いつか彼らが社会人になって忙しくなり、以前のように教会でゆっくり楽しく過ごすことができなくなる時が来ますが、それでも、毎週主を求めて礼拝に参加し、喜びをもって仕えているだろうか、世の中でクリスチャンとしての証を立てているだろうか、という問いかけが頭から離れないのです。そのため、毎週の礼拝メッセージをできるだけ平易な言葉で語り、ユースたちにとっても身近な主題を取り上げ、それが礼拝後のスモールグループによって深められていくことを目指しています。年数回のキャンプやセミナーを大切にし、その中で、彼らが神様と出会い、成長していくのを見てきました。でも、まだまだ足りません。彼らの霊性をさらに引き上げていくために、本格的な学びや、祈りとみことばの生活の徹底が必要です。しかし、バランスも大切です。性急に霊性の向上を求めるあまり、楽しさが失われていったとしたら、その結果は明白です。 これを別の角度から見るなら、第二に「寛大さと厳しさのバランス」と言うことができるでしょう。教会で、恋愛、セックス、受験、進路、SNSの使い方など、実生活での問題について、彼らがわかる言葉で明確に教え、成長を促していく必要があります。いい加減なことをしていたら叱る場合もありますが、厳し過ぎてはいけません。「できなくて当たり前」、「失敗して当然」であると肝に銘じながら、なるべく寛容な心で、励まし続けてきたつもりです。そうでなければ、彼らは怒られるのを恐れて、失敗しても打ち明けられないし、何かトラブルが発生しても相談できなくなります。そして、問題は大人が知らないところでどんどん深刻化していくことになるのです。また、今どきの若者たちはガツンとやられることに慣れていないので、こちらが思った以上に傷ついたり、信頼関係が壊れたりする場合もあります。 第三に、「外(伝道)と内(問題解決)のバランス」も大切です。内部の人間関係が壊れていたり、中心メンバーが大きな悩みを抱えていたりする場合は、時間をかけて丁寧に問題に対処していかない限り、無理に伝道を進めようとしてもうまくいかないでしょう。かと言って、内向きの仲良しグループに終始してしまい、外から来た子たちに壁を感じさせるような集団にならないように、絶えず意識を外に向け、友だちを誘い、仲間として歓迎していくように励ましています。 書物や成功事例から学ぶことは必須ですが、完全なモデルはなく、何を真似、取り入れるべきか、知恵深く判断しなければなりません。子どもや若者たちの信仰の状態は刻一刻と変わっていき、働きを続けながら、綱渡りのような感覚になることはしょっちゅうです。しかし、そこで主に祈り求め、リーダーたちが知恵を出し合う時に、必ず聖霊によるベストバランスが与えられると、私は信じています。
野田勝利 1973年、京都に生まれる。クリスチャンホームに育ち、小学2年生の時に受洗。高校生の時に献身を決意し、アンデレ宣教神学院で学ぶ。2000~2010年、京都中央チャペルで共同牧会に携わる。2010年11月より、西東京市ひばりが丘バイブルチャーチの牧師。超教派の青少年集会 J+Passion Tokyoの実行委員長も務めている。
|
|
|
|
|