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QTで立てる教会
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韓国 盆唐 九美教会 |
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QTで沈黙のベールを取り払う
教会付設「開かれた相談センター」を通して カウンセリングミニストリー、一般信徒カウンセリング・アカデミーなどの教育ミニストリーと、 家庭セミナー、結婚予備学校、親子関係学校などの家庭ミニストリーを行い、 牧会者のためのカウンセリング牧会フォーラムを開催し、 カウンセリング牧会の良いモデルとなっている「九美教会」を訪問しました。
「リビングライフ」客員記者 パク・へウォン | 写真 イ・ナムス
キム・デドン主任牧師の部屋の壁には、韓国の書道の大家である金正喜の「歳寒図」と、レンブラントの「放蕩息子の帰還」がかけられています。世の煩雑から抜け出し、静かな場所で主と向かい合う黙想家の告白である「歳寒図」と、神様の深くて満ち満ちた愛の御手を極大化したレンブラントの作品は、四方の壁を埋め尽くすようにぎっしりと差し込まれた蔵書とともに、キム牧師と九美教会の歩みを現しています。落ちついて静かに聖書を考察し、神様との個人的な深い交わりの中で受ける愛を、隣人と分かち合う教会です。このようなビジョンを抱いた九美教会のすべての働きの根源には、QTが流れています。 QTの力が教会の活力に 九美教会が位置する京畿道盆唐区九美洞は、炭川が流れる場所に、9つの氏族が集まって睦まじく生活する中で、美しいことがたくさん起こったということからつけられた地名です。そのため、「九美」と漢字で見るほうが美しく、意味深く思われます。 九美教会には、その名にふさわしい美しいうわさがあふれます。昨年、2015年を「奉仕の年」と定めた九美教会は、地域社会と世界のために多くの奉仕をしました。ワールドビジョンと協力してアフリカの児童600人と一対一の縁組を結んで支援し、現地の村全体を生かす海外井戸掘り事業も2件行いました。また、シロアム眼科病院と協力して視覚障がい者の開眼手術の支援、京畿・仁川・水原地域のホームレスの支援をしました。出席人数2千人の教会が、驚くべき規模の事業を行いました。 流入人口の多い新都市で、今年創立30周年を迎える九美教会には、引っ越してきた聖徒がたくさんいるため、“教会ショッピング”をする渡り鳥のような信徒と、以前の教会では熱心に活動したけれども少し休もうとする信徒の多い、忠誠度の低い教会でした。2000年9月に赴任したキム牧師は、このような教会の流れを改善しようと、長い間整地作業をしながら教会を再整備し、2011年に弟子訓練を、2013年にはQT牧会を始めました。 九美教会の弟子訓練は、キム牧師が直接執筆した『弟子の道』を教材にして、10週間のグループセミナー形式で行われます。「神のかたち」「悪の力」「福音の力」「共同体の歩み」など、10のテーマで構成されたこの訓練を終えると、だれでもQTをする人になります。「主の働きに献身するイエスの弟子」に成長させることを最終目標とする弟子訓練の中間目標は、「QT訓練」です。2011年の第1期から2015年の第10期まで、九美教会内外の聖徒約650人がこの訓練を終えました。 キム牧師は神学校在学中に、すでにQT牧会を決心していましたが、実際にQT牧会を始めたのは2013年でした。遅く始めたため、聖徒が飢え渇いた心でQTを受け入れたのでしょうか。聖徒の爆発的な反応に、むしろ教職者が衝撃を受けたほどだそうです。QTをする聖徒が増えるにつれ、教会に活力が生じ、教会のさまざまな行事に自発的に喜んで仕える働き人が増えました。何よりも、聖徒が毎日神のみことばに親しんで歩んでいることが、最大の収穫だと語ります。
カウンセリング牧会もQTがいやしの鍵 自分は「カウンセリング至上主義者」ではなく「恵み至上主義者」であると紹介するキム牧師は、国内に数人しかいないカウンセリング学の博士号を持つカウンセリング牧会者で、「QTはカウンセリング牧会において最も重要な要素です。心の問題を理解していやす働きであるため、私たちの心をだれよりもよく知っておられる神様が介入されなければ、全きカウンセリング牧会にはなりません。神の御前に自分の心を打ち明け、神様にいやされる時間を持つことは欠かせません。その時間こそがQTの時間です」と語ります。 また、QTは20~30年前に流行した信仰生活の一形態ではなく、信仰生活の基本であると語ります。「どの時代においても信仰深い人々はみな黙想をしました。信仰によって生きる聖徒なら、当然QTをしなければなりません。働き人も、QTをしなければ心がむなしくなります。新しい聖徒にも必ず最初からQTをすることを勧めています。」QTはすべての基礎であり、日常の中でもQTを優先するべきであり、牧会者は聖徒に常にQTを強調するべきだと主張します。 「牧会者は、聖徒が深くQTできるように、積極的に助けなければなりません」と口を開いたキム牧師は、「ごく少数ですが、毎日QTをしていることを誇る聖徒がいます。彼らによる牧会の困難から、牧会者の中には聖徒の霊的成熟を負担に感じる人もいますが、それは間違っています。QTは神様が与えてくださる聖霊の剣です。みことばに満たされることが、聖霊に満たされることなのです。聖徒が聖霊に満たされることを牧会者が望むなら、当然QT訓練を助けなければなりません。QTをする人生こそ、聖霊に満たされた人生を生きる道です」と、QTの重要性を繰り返し強調します。 九美教会は、さまざまな方法で聖徒のQT生活を助けています。弟子訓練を通してQT訓練を行い、「QTはこのようにしましょう」という主任牧師のコラムを、『リビングライフ』に合わせて作ったQT冊子に定期的に載せ、QTのノウハウを伝えています。早天祈祷会をその日のQT個所で導き、週報にその週のQT個所を載せます。また、教会のスマートフォンのアプリにQT個所を載せ、九美教会の聖徒がいつどこででもQTができるようにサポートしています。QT訓練に払う教会の努力が大きいほど、聖徒のQTに対する情熱も大きくなります。 昨年、弟子訓練を終えたジョ・ウンミさんは、「QTをするようになって、神様を愛するようになりました。神様はこのみことばをどんな思いで語られたのだろうと考えながら、神様中心にQTをしているからかもしれません」と告白します。ク・ムンジョンさんは、「みことばを分かち合うグループにたくさん参加してきましたが、QTの分かち合いは特別です。全く思いもよらなかったことをメンバーから聞き、ヒントを得て自分のものにし、互いのための祈りもします。QTをするようになって、みことばと人生が近づき、生活に適用する部分も増えました」と語ってくれました。
QTを信仰の世代伝承の軸に 教会学校でもQTを徹底して教えています。QTをするにはまだ幼い幼児・幼稚部の子どもたちは、毎週の暗唱聖句を通して、自然に黙想訓練の基礎を積み、小学1~2年生の幼年部から各部署別(幼年、初等、少年、中等、高等部)に弟子訓練を行い、年齢に合せたQTトレーニングを行っています。主任牧師が次世代のQTトレーニングを大切に考えているからです。 「次世代がQTをすることはとても大切です。韓国の教会は、次世代についてもっと悩むべきでしょう。士師記2章10節のみことばによれば、ヨシュアの次世代には、主を知らない、ほかの世代が起こってしまい、その結果、イスラエル歴史上、最大の暗黒期である士師時代が約350年間続きました。今の韓国も同じような危機状況にあります。青少年と青年世代に関心を持ち、「ほかの世代」ではなく「次世代」を立てるために力を注がなければなりません」と、キム牧師は信仰の世代伝承を強調します。九美教会は、子どもと若者の世代の数が次第に減っていく危機に備え、数年前から「次世代とともに歩む教会」という標語を定め、「全家族聖日礼拝」「月初の早天祈祷会」「家庭礼拝」「大学青年部ビジョントリップ」「中高等部ビジョントリップ」など、全方面にわたる働きを行い、「信仰の継承」に力を入れています。 礼拝、教育、宣教、奉仕、交わりに忠実な教会。九美教会はこの5つの働きの基礎に、QTを置いています。QTを通して主に出会い、主と個人的な関係を持ち、その深い交わりの中で導かれる働きこそ、真の働きであると信じるからです。彼らはQTを通してすべての教会に「主が私に、私が主にとどまる」恵みがあふれることを信じ、愛にあふれる教会を目指しています。
カウンセリング牧会を通して健全な教会を築くキム・デドン牧師
弟子訓練 火曜日クラス、10週過程を修了するとQTする人になる
「そもそもすべての基礎はQTです。ヨハネの福音書15章のみことばの “枝が木についていること”が“QT”です。 枝が木についているだけでも実が結ばれるように、 聖徒がQTによって主についているなら、聖霊の力が与えられます。」
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