マタイの福音書の恵み69

   [マタイの福音書 12章22~29節] 悪しき霊を追い出されるイエス
 
オンヌリ教会 前主任牧師 故 ハ・ヨンジョ

イエスは彼らの思いを知ってこう言われた。「…もしわたしがベルゼブルによって悪霊どもを追い出しているのなら、あなたがたの子らはだれによって追い出すのですか。…しかし、わたしが神の御霊によって悪霊どもを追い出しているのなら、もう神の国はあなたがたのところに来ているのです」(マタ 12:25~28)。


イエスのところに連れて来られた人は、目も見えず、口もきけませんでした。その人は、人間関係を築くのに必要な意志伝達が全くできない人でした。どんなにつらい人生だったでしょうか。世で最も恐ろしい病はガンではありません。孤独と疎外感です。
ところが、聖書は、この人が目も見えず、口もきけないのは、悪霊につかれたためだと言っています。神を信じない医者は、悪霊に抑圧されて生じる病についてよく知らず、認めるのも難しいでしょうが、実際にそのようなことがあるのです。
イエスは、この人を見てすぐにいやされました。この人がものを言い、目が見えるようになったのを見て、群衆はとても驚き、感動しました。しかし、同じ出来事を目撃したパリサイ人は、全く違う反応を示しました。イエスの超自然的な奇蹟や人々の反応を見ても、そのまま受け入れることができず、無理な解釈を始めます。
「この人は、ただ悪霊どものかしらベルゼブルの力で、悪霊どもを追い出しているだけだ」(マタ 12:24)。ここで私たちは、パリサイ人たちの二つの態度を見ることができます。一つは、彼らはイエスの超自然的な力が神から来たものであることを信じようとしませんでした。奇蹟が起こったことは否定できませんが、それが神から来たということを受け入れたくなかったのです。なぜなら、もしイエスの超自然の力が神から来たものだと認めれば、イエスの主張のように、彼が神であることを認めることになり、イエスがメシヤだという証拠になるからです。奇蹟が起こったことは事実です。しかし、それを認めないのは不信仰です。このような不信仰に陥っている人が、私たちの周りにはたくさんいます。
もう一つは、パリサイ人たちは、イエスの超自然的な奇蹟を認めたくないため、おかしな言い訳をします。イエスが奇蹟を起こしたのは、悪霊どものかしらベルゼブルの力を受けたからだというのです。人間の不信仰が、神の力と奇蹟をサタンの巧妙な策略に変えてしまいました。不信仰な人間は、良いものを見られず、いつも否定的なものを見ます。
イエスは、彼らの心をすべてご存じでした。そして、ご自分の力は悪霊によるのではないという確かな反証を、三つ挙げられました。
一つ目の反証は、25~26節に示されています。「イエスは彼らの思いを知ってこう言われた。『どんな国でも、内輪もめして争えば荒れすたれ、どんな町でも家でも、内輪もめして争えば立ち行きません。もし、サタンがサタンを追い出していて仲間割れしたのだったら、どうしてその国は立ち行くでしょう。』」
ここで、もしイエスが行われた奇蹟がパリサイ人たちの主張のように、悪霊の力を借りて、悪霊どもを追い出したのだとすれば、悪霊が自ら仲間割れして争うことになり、論理的に通じないことです。悪霊の名で悪霊を追い出すというのは、話になりません。
二つ目は27節です。「また、もしわたしがベルゼブルによって悪霊どもを追い出しているのなら、あなたがたの子らはだれによって追い出すのですか。だから、あなたがたの子らが、あなたがたをさばく人となるのです。」
ユダヤ人の中に神の御霊の力によって悪霊を追い出した人たちがいました。イエスは、「その人たちは悪霊の名で悪霊を追い出したのではないではないか。彼らが神の御霊の力によって悪霊を追い出したことをあなたがたが認めるなら、わたしが悪霊を追い出すのも聖霊の力によるものだと認めるべきではないか」と言われたのです。それで、「あなたがたの子らが、あなたがたをさばく人となるのです」という反証を与えられたのです。
このように二つの論証をされたイエスは、とても重要な結論を下されます。「しかし、わたしが神の御霊によって悪霊どもを追い出しているのなら、もう神の国はあなたがたのところに来ているのです」(12:28)。悪霊を追い出したのが明らかに聖霊の力によるのであれば、すでに神の国が臨んでいるというのです。ここで私たちは、重要な二つの事実を学びます。悪霊は神の御霊の力によってのみ追い出すことができるということと、悪霊が追い出されて初めて神の国が臨むということです。
一つ目の事実をもう少し深く考えてみましょう。現代人の悲劇の一つは、サタンの存在を否定することです。神がおられるなら、当然サタンもいます。これを忘れてはなりません。聖書を見れば、創世記の時からサタンが現れ、黙示録までサタンの働きが続いています。明らかな事実は、サタンが存在するということです。そして、目に見えないサタンがあやつる悪しく、汚れた霊どもがいるという事実は、現実として認めなければなりません。
現代人は、サタンの存在を否定しながら、サタンによる働きをそのまま受け入れています。この汚れた悪霊たちは、休むことなく多くの人たちのたましいを堕落させるだけでなく、地獄にまで引っ張っていきます。ほえたける獅子のように食い尽くすべきものを捜し求めているのです。サタンの第一戦略は、自分の存在を隠すことです。人々は「サタンはいない。サタンは一つの心理学だ。人間の本能だ」と説明しようとしますが、サタンは現実に存在し、私たちに病を与えたり、絶望に陥れたりします。私たちが自分の望んでいないことをしてしまうのは、私たちのうちにサタンがいるからです。
この汚れた悪霊を追い出す方法は、ただ一つ、神の御霊が臨むことです。光が差せばやみがなくなるのと同じです。神の御霊が強く働かれれば、あらゆる悪霊は倒れ、去って行きます。聖書を見れば、イエスが行かれる所はどこでも、イエスが語られる前に悪霊が震え、叫びながら出て行きます。なぜなら、イエスはいのちであり、光だからです。悪霊が去るとき、悪霊が持ってきたあらゆる病、不安、偽り、憤り、うらみ、失敗、絶望、劣等感などが、一瞬のうちになくなります。
あなたは聖霊に満たされているでしょうか。イエスを信じる人には、聖霊がおられます。しかし、聖霊がおられても、その聖霊が私たちのうちを支配されなければ、私たちは悪霊にやられてしまいます。
主の祈りに「御国が来ますように」ということばがあります。神の国はどこから来るでしょうか。イエスを信じてから死ねば、神の国に行くのではなく、今、あなたのたましいから悪霊が出て行けば、神の国が臨み始めるのです。それで、御国の主人であるイエスが、あなたの人生を支配するようになれば、神の国を経験するようになります。肉体的にはあらゆる病が去り、新しい力に満ちあふれ、同時にあなたのたましいは聖霊によって喜び踊り、新しい信仰と新しい望みを持つようになります。
では、三つ目のイエスの反証は何でしょうか。「強い人の家に入って家財を奪い取ろうとするなら、まずその人を縛ってしまわないで、どうしてそのようなことができましょうか。そのようにして初めて、その家を略奪することもできるのです」(12:29)。ここで、イエスの反証は、イエスが強いサタンの勢力を砕かれたということです。イエスはサタンに勝利し、征服したので、サタンの残存勢力を打ち殺すことができます。これが、イエスが悪霊を追い出すことがおできになった理由です。イエスはサタンを縛り上げ、支配するだけでなく、あらゆる悪しきやみの勢力を追い出されました。ここに真の神の国が臨みます。
汚れた悪しき勢力を追い出したいと願いますか。それならば、イエスの力を信じて受け入れましょう。イエスは、サタンに打ち勝たれた方です。そして、イエスが行かれる所は、サタンが叫びながら去って行きます。目が見えない者が目を開き、口をきけない人がものを言い、足のなえた人が歩くようになります。この力が皆さんのうちにありますように。

 

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