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霊的に目ざめる日本の教会
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日本人はなぜキリスト教を避けるのか |
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日本CGNTV「本の旅」より
勝本正實牧師は、キリスト教だけでなく、仏教についても深く学ばれました。その著書『日本人はなぜキリスト教を避けるのか』の内容を中心に、お話を伺いたいと思います。
Q:この本を書こうと思われた理由は? A:牧師になって福音を伝える時に、仏教や神道的な背景を持った人たちに、できるだけわかりやすく話したいと思ったからです。いまだ日本にはキリスト教が定着していません。なぜ日本人はキリスト教に対して遠慮して引いてしまうのか、その理由を問いかけたいと思い、このようなテーマを扱うことになりました。
Q:仏教に対して関心を持たれた理由は? A:日本には神道や仏教が根を張っています。しかし、「神道とは何ですか。仏教とは何ですか」と聞かれると、はっきり答えられる人は多くありません。つまり、生活の中で身についたことなので、人に説明できる力はないわけです。それで、「将来、牧師になって働く時、人にも説明できるようになりたい」、「独学ではなく、学校で学べるなら学び、クリスチャンの立場で仏教や神道と比較しながら説明できるようになりたい」と思い、大学の門をたたきました。
Q:仏教を学んでよかったことは? A:学校で学んだ学問、つまり知識は私を助けてくれません。私は高校卒業後、すぐに神学校に入ったので、当時はまだ信仰も浅く、勉強していく中で自分の信仰について大きな迷いが生じ、神学校をやめたいという葛藤も通過しました。けれども、「私を愛し、召してくださった方はただお一人だから、これで良いんだ」という確信が与えられ、踏みとどまって卒業することができました。その時の葛藤を経て得た確信があったからこそ、いろいろな人に話すとき、自分の経験を踏まえて自然に接することができるようになったのだと思います。理屈で人を説得しようとしても、人には通じないものです。自分が経験して良いと思ったからこそ、勧めることができるのです。しかし、私は仏教や神道の学校で育ててもらったという思いがあるので、仏教や神道の悪口を言う気持ちは全くありません。むしろ、受け入れてくれた寛容さに感謝しています。 Q:「日本人は神を見失った」とは? A:神道はキリスト教と違って、自然を自分と一体のものとして理解しているので、自分は自然の一部であると日本人は考えます。ですから、願い事が出てくると、それを叶えてくれる神をその自然の中から作っていくのです。受験には受験の神、妊娠すると安産の神という風に、あらゆる願いが神を造り出していくので、日本には神があふれているのです。その中で、何が本物なのかわからなくなっています。キリスト教では、自然は神が創造したもので、人間の生活に必要なものとして与えてくださったと信じています。つまり、神様と人間、神様と自然は相対していて、同じではないのです。「神を見失っている」というのは、神がたくさんありすぎて、本物がわからなくなっているという意味です。
Q:日本人はキリスト教を受け入れにくい? A:神道は絶対的な真理ではなく、相対的に物を見る宗教で、仏教は相手に自分を合わせながら相手を変えていく宗教です。ですから、仏教が日本に入ってきたとき、日本的価値観になじみながら、日本人を少しずつ仏教的な思想に変えていったのです。しかしキリスト教は、相手がどんな形であれ、気にしないで自分を主張する宗教です。そして、相手にイエスかノーかを求めるのです。そのようなキリスト教の二者択一の考え方は、日本人が苦手とする部分なので、日本人は引いてしまうのです。そのため、一部の内容に惹かれることはあっても、しばらくすると「私が求めるものとは違う」となるのです。ですから、そういった意味で、日本にキリスト教が入ってきて150年経っても、なかなか広まりにくいのだと思います。
Q:仏教や神道とキリスト教の似ている部分は? A:新道にも仏教にも、キリスト教と似ている部分はあります。たとえば、神道は神の概念として「神は霊であって、いつでもどこでも私たちとともにいてくださる」という考え方が基本としてあります。また「神様は聖い方である。だから人間が神の前に出る時には聖くなければならない」と教えます。それは聖書で教えている神様と非常によく似ています。
Q:これからのビジョン A:昔は教会に行っていたけれども、今は行っていないという人がたくさんいます。神様を忘れたわけではないのに、教会に行けないのです。そういう人たちがもう一度教会に戻れるように、神様の愛を伝え、後押ししてあげるような本を、比較宗教の内容の中で書き、彼らが戻ってこられるような橋渡しをしたいと願っています。また、全くの未信者の人たちがキリスト教を理解しやすいように、仏教や神道とキリスト教の似ている点を示しながら、垣根を低くしてあげられるような本を書いていきたいと願っています。
勝本正實 聖契神学校を卒業後、立正大学仏教学部(日蓮宗)僧階課程卒業。仏教大学仏教学(浄土宗)専攻。 1990年、初石聖書教会を開拓、主任牧師となる。2009年より新秋津キリスト教会 主任牧師に就任。 聖契神学校講師(比較宗教、日本教会史)。
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