霊的に目ざめる日本の教会

   創造の秩序を回復する 「シントロピードラマ」
 
ソウル・オンヌリ教会長老 キム・ヨンギル


私は無神論科学者でしたが、1974年アメリカ航空宇宙局(NASA)で勤務していたとき、創造主なる神様を知り、イエス・キリストの福音を信じて新しくされ、クリスチャンとして新たな人生を歩み始めました。その後、私は、1978年12月韓国科学技術院(KAIST)の教授として赴任し、1981年韓国創造科学会を設立し、創造論を伝える働きをするようになりました。
私は15年間KAISTの教授として在職し、1995年に韓東大学の初代総長として神様の召しを受け、19年間総長として在職していたとき、神様の導きと大いなる恵みを経験することができました。そして、その過程について、『シントロピードラマ』という著書を通して証しすることができました。
私は、韓東大学で総長として在職期間中、常に急ぎの懸案の処理と忙しい日常に追われていましたが、ある日、深い黙想の祈りが欠けていたことに気づかされ、主の前に深く悔い改めました。寂しさや孤独は、私のうちに住まわれる御霊が押さえつけられているという証拠でもありました。神学者ヘンリ・ナウエンは、クリスチャンのリーダーは、神様だけを見上げる祈りとへりくだった姿勢、そして貧しい心が必要であると強調しましたが、私は彼の言葉に同感しつつ、深く感動しました。目の前に差し迫った問題によって神様の御心まで無視する異邦人のようにならないためには、ただ神様だけに目を注いで黙想する祈りがなされなければならないことを、改めて気づかされたのです。『シントロピードラマ』を執筆しながら、みことばを黙想して祈るリーダー、神の御前にさらにへりくだるリーダー、神様がこの時代に願っておられるクリスチャンリーダーの姿について深く考え、整理する時間を持つことができたことを主に感謝しています。
ところで、この「シントロピー」とは何でしょうか。この言葉の説明の前に、「エントロピー」という言葉について説明しましょう。「エントロピー」という用語は、1864年、ドイツの物理学者クラウジウス(R. Clausius)が最初に用い、物質世界が無秩序状態に変化していく流れを「エントロピーの法則(熱力学第2法則)」と提唱しました。時間の経過とともに、金属はさび、煙は空中に広がり、風化作用によって岩が砂に変わる現象は、無秩序度が増加してエネルギーが分散するエントロピーの法則によるものです。
神様は宇宙と万物を創造されました。しかし、創造された世は、神様を裏切った人間の罪によって堕落してしまいました。その後、自然物質界のあらゆる変化は、「エントロピーの法則」に従って、時間の経過とともに秩序の状態から無秩序の状態へと崩壊、退化、腐敗していきます。
しかし、自然の生命体は、エントロピーの法則に従わず、成長しながらその秩序体系が整えられて鮮明になっていきます。このエントロピーに相対する現象を説明する用語が「シントロピー」です。シントロピーは、エントロピーに対する反作用であり、無秩序度と対立する概念です。“エネルギーを収縮させる”という意味のギリシャ語「シントロポス(syntropos)」が語源です。1937年にビタミンCを発見してノーベル生理学医学賞を受賞したセント=ジェルジ・アルベルト博士は、物質界には無秩序の状態に向かう「エントロピーの法則」が流れているが、生物界には秩序ある状態に向かう「シントロピーの法則」が流れていると主張しました。
人間の堕落以降、自然界はもちろん、政治、経済、文化、社会などの領域だけでなく、個人や家庭、さらには教会にまでも無秩序が広がり、エントロピーが増加しています。しかし、創造主なる神様は、堕落したすべての被造物に秩序をもたらす「シントロピー」を願っておられます。
「シントロピーの法則」は、世にあるクリスチャンの存在目的や役割や責任が何であるかを明らかに語っています。クリスチャンのリーダーは、考え方が人間中心から神様中心に転換されなければなりません。自分の利益のために権力や富、名声を自己中心的に引き込もうとする「重力の法則」を抜け出し、人のために自分のものを差し出す「恵みの法則」に従わなければなりません。そうするとき、世は「シントロピーの法則」、つまり、秩序ある状態に向かって進みだすのです。その「恵みの法則」の最高のモデルを見せてくださった方がイエス・キリストなのです。
創造主なる神様は、聖書的な世界観に従い、召しに従って生きていく人々を通して、個人の人生の回復、家庭の回復、クリスチャンリーダーによる共同体と社会の回復、国家の回復、さらには神様の創造された被造世界の回復に至るまで、世のすべての領域で「シントロピードラマ」を成し遂げていかれるのです。


キム・ヨンギル
オンヌリ教会長老。ソウル大学金属工学科卒業、アメリカ・ミズーリ州立大学金属工学修士号とN.Y.RPI工科大学材料工学博士号を取得。その後、NASAとN.Y.のINCO社中央研究所で勤務。1979年KAIST(韓国科学技術院)教授赴任。1995年3月~2014年2月 韓東大学総長。

 

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