キリストに立ち返る日本を夢見て

   健全な家庭の特徴
 
トーチ・トリニティ神学大学教授、牧師 イ・キボク


社会に健全な社会と不健全な社会があるように、家庭にも健全な家庭と不健全な家庭があります。健全な家庭からは健全な人が出て、不健全な家庭からは不健全な人が出ます。逆機能的な家庭からは逆機能的な人が輩出されるものです。私たちはもともと本質的に罪人です。そのため、自分たちの親の家庭もやはり暗く、不健全な家庭でした。それで、以前の家庭は伝統も、慣習も、文化も健全でない部分がたくさんありました。男尊女卑の考え方が強く、多くの夫は妻を尊重する方法や、愛する方法がわかりませんでした。また、伝統主義や権威主義に押さえつけられて生きてきました。それで、家庭でも逆機能的な性格や習慣が形成されざるをえませんでした。
しかし、イエス様を信じて救われたなら、私たちの家庭も救わなければなりません。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」(使 16:31)というみことばのように、ひとりの人がイエス様を信じるようになれば、家族全員をイエス様に導いて救わなければなりません。家族のたましいを滅びからいのちへと救い出さなければならないのです。霊的にだけでなく、家庭を暗やみから光に、不幸せから幸せに、逆機能から純機能の家庭に変えなければなりません。家庭の文化も救い、神の文化に変えて、私の家庭を、神が本来意図された明るく健全な家庭に築かなければなりません。

1. 健全な家庭は迷信を信じません
奥地にある宣教地に行くと、原住民たちが迷信のために恐れや苦しみに縛られている姿を目にします。シャーマンのまやかしの呪術や非衛生的な処方のために、病気が悪化するのを見ることもあります。どの国にもこのような呪術や迷信や偶像礼拝が残っています。神様は「あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、どんな形をも造ってはならない。それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない」(出 20:4~5)と言われました。それは、私たちを守るための神の愛の戒めです。
私たちの家庭を健全に築くためには、迷信的な要素を取り除かなければなりません。家の中にどんな偶像もどんな形も残さず、それらを拝んだり、恐れたりしないでください。迷信的な信仰を捨てなければなりません。私たちは生きておられる神と、その御子イエス・キリストと人格的に会い、信じているからです。「もしも主に仕えることがあなたがたの気に入らないなら、川の向こうにいたあなたがたの先祖たちが仕えた神々でも、…あなたがたが仕えようと思うものを、どれでも、きょう選ぶがよい。私と私の家とは、主に仕える」(ヨシ 24:15)と言ったヨシュアの決断のように、私たちの家庭を霊的にきよめてこそ、健全な家庭を始められるのです。

2. 健全な家庭は夫婦が中心です
家庭は、夫と妻が互いに愛し合い、中心軸をなすとき、家庭の秩序と安定感が生まれます。聖書では「それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となる」(マタ 19:5)と言っています。結婚しても、親に度を越えて頼ったり支配されたりするのは、正しいことではありません。親から独立し、配偶者ともっと親密にならなければなりません。
親は息子が結婚するとき、「これからはあなたの妻をもっと愛しなさい。私たちよりも妻に関心と愛を注ぎなさい」と言ってあげなければなりません。娘が結婚したときも、「これからは私たちの心配をせず、あなたの夫をもっと愛しなさい。これからは夫が先です」と言ってあげなければなりません。親から健全に独立して配偶者を愛し、自分の家庭を築いていくことが、健全な家庭の出発点です。もちろん、親を離れるというのは、親孝行をやめるということではありません。まず夫婦が一つとなった上で、親を敬うのが真の孝行なのです。

3. 健全な家庭は愛を表現して伝えます
以前の伝統的な家庭では、愛と感情の表現が足りませんでした。沈黙が美徳であるかのように思われたりもしました。それで、子どもの頃、子どもたちは親が自分を愛しているということを漠然と感じ取っただけで、「愛している」という表現は直接聞いたことがありませんでした。夫婦も互いに愛していると表現しませんでした。気まずく、恥ずかしかったからかもしれませんが、表現がなければ愛も減っていくものです。表現がなければ、親密感も弱くなります。愛は表現するほど大きくなるのです。よく「わざわざ言わなければわからないのか。心で愛していれば、それでいいじゃないか」と言う人がいますが、それは間違った考えです。必ず口で言わなければなりません。言わなければわからないのです。驚くべきことは、愛を表現すると、愛がもっと増すということです。
子どもにも「愛しているよ」「おまえは大切な存在だよ」と表現しなければなりません。配偶者にも「愛してるよ」「あなたは最高の妻(夫)です」と表現し、伝えてあげなければなりません。そのように表現すれば、家族はもっと大切な人に変わるでしょう。
また、人は感情を押さえつけると、いろいろな身体的、感情的症状が出はじめます。良い感情も否定的な感情も表現しなければなりません。家庭で生じる葛藤や問題も、回避したり秘めておいたりしてはなりません。「私が我慢しよう。私ひとりが我慢すればいいんだ。家庭の平和のために耐えよう」と秘めておくと、葛藤はさらに深まり、愛や親密感の妨げになってしまいます。健全な家庭は、葛藤や問題もオープンな対話を通して解消し、解決していくのです。

4.健全な家庭は家族の個別性を尊重します
家庭は連帯感も重要ですが、個別性も認めなければなりません。団体性だけ強調されるのは、健全なことではありません。家族はそれぞれの違いや個性を励ましてあげなければなりません。幼い子どもも個人的な意見を考えて表現するよう励まし、受け入れなければなりません。夫婦も、互いに別の好み、趣味、選択を認め、尊重しなければなりません。個別性のない連帯意識は健全なものではないからです。
創造主なる神様は、私たちひとりひとりをすべて異なって創造されました。私たちを画一的な団体としてではなく、それぞれ異なる性格や才能、賜物を持った個人として見られ、喜ばれます。また、私たちひとりひとりに対する特別なご計画を持っておられます。偶然、目的なしに生まれた人はだれもいないのです。私たちの子どもに対する神様のご計画は何でしょうか。親は自分たちの野望や計画を子どもに強要するのをやめなければなりません。神様が、私たちの子どもに対して特別で個人的なご計画を持っておられるということを忘れないようにしましょう。そのような個別性を見つけてあげ、認め、生かしてあげる家庭が健全なのです。

5.健全な家庭は罪責感を与えません
親は止めどなく非難して罪責感を与えています。そして、その罪責感は、子どもたちの心に防御の壁を築かせ、心をよりかたくなにさせます。ある親は、いつも子どもを叱って非難します。子どもの教育のためだと言いながら、小さな失敗や過ちにも非難を浴びせます。「また失敗したのか。いつになったらちゃんとできるんだ」「言うことを聞かないからこんなことになるのよ。これからはお母さんの言うことをちゃんと聞きなさい」と言うのです。そのような親の言葉に、子どもたちはいつも罪責感を感じ、緊張します。そして、顔色を伺いながら生きるようになります。そのようにして大きくなった子どもは、心の中に溜め込んだ非難や罪責感を、自分の配偶者や子どもに向かって繰り返すようになります。これが罪責感の連鎖です。
しかし、健全な家庭は、非難や罪責感を与えません。その代わりに「人はだれでも失敗するものさ。大丈夫だよ」「あなたのせいでこうなったわけじゃないからね」と表現してあげます。過ちは正してあげなければなりませんが、戒めるときも子どものことは変わらない態度で受け入れてあげます。たとえば、「妹を叩いてはだめだよ。うそをついてはだめだよ。でも、私たちはあなたを愛しているよ」と言ってあげるのです。神様は罪を憎まれましたが、罪人である私たちを変わることなく愛してくださいました。イエス様は罪責感に抑えつけられている者に赦しのプレゼントを与えてくださいました。罪責感を与えるような道徳主義は、真の信仰者の姿ではありません。かえってそれは、不健全な宗教主義や律法主義をもたらします。神様は罪に定められる方ではありません。「こういうわけで、今は、キリスト・イエスにある者が罪に定められることは決してありません」(ロマ 8:1)と宣言してくださいました。失敗した時も、罪責感を与えるのではなく、大らかに笑うことのできる健全な家庭を作ってくださいますよう願います。

6.健全な家庭は恵みを実践します
恵みとは、資格も功績も全くない人に注がれる“愛”と“好意”と“救い”を意味します。それで、恵みは条件のない愛であり、いつくしみと赦しを含んでいるのです。神様が与えてくださる愛と救いは、ただ恵みによるものです。つまり、私たちが何か良いことをしたから、良い人だから愛してくださったのではなく、私たちの罪や絶望的な状態をご覧になって、その苦しみから救ってくださるために私たちを訪れてくださったのです。それが神様の愛です。クリスチャンは完全だから救われたのではなく、赦された罪人であり、恵みを受けた子どもにすぎません。そのように恵みを悟った聖徒たちは、恵みを実践しなければなりません。まず、家庭の中で、配偶者や子どもに実践してみましょう。夫が成功したからではなく、子どもが勉強がよくできるからではなく、妻が優しいからではなく、最も難しいとき、本人が資格がないと思うようなとき、愛して受け入れる表現をし、勇気を与え、励まして支えてあげるのが恵みの家庭です。そのようにして家庭で恵みを実践し、恵みを社会に流さなければなりません。恵みなしに動いている厳しい社会に神様の恵みという、世とは正反対の法則を流通させなければなりません。
健全な家庭は健全な教会を作ります。また、健全な教会は健全な社会を作ります。みなさんの家庭が恵みにあふれる家庭になりますよう願います。みなさんの教会が恵みが豊かに流れる教会になりますよう願います。神殿から流れ出る生ける水が地と海を生き返らせるように、神の教会から流れ出る恵みが私たちの周りの地を生かし、回復させることができますよう祈ります。神様の驚くべき恵みの革命が、家庭と教会と社会と国を回復させる希望にあふれる2015年になりますように。


イ・キボク
トーチ・トリニティ神学大学院、キリスト教カウンセリング学教授。オンヌリ教会協力牧師、ツラノ・バイブルカレッジ家庭ミニストリーのディレクター。著書に『聖書的な親教室』、『結婚コーチング』などがある。

 

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