教会成長のための牧会戦略

   ラディカル・ナイト
 
ブルックヒルズ教会 主任牧師 デイビッド・プラット


日本のクリスチャンの人たちとこのように集うことができ、感謝します。ある牧師がこの国のクリスチャン人口は1%未満だと教えてくれました。私はそれを聞いたとき、本当に心が重くなりましたが、今はとても励まされています。ここには、部屋に入り切らないくらい、たくさんの人たちが集まっているからです。
どうしたら、この国で福音を伝えることができるでしょうか。私は、この世界が必要としているのは、キリストにある「ラディカル(過激)な信仰」だと思います。「ラディカル(過激)な信仰」とはどのようなものでしょうか。イエスに従うことは、どういった意味で過激なのでしょうか。
イエスはマタイの福音書の中で、6回も「わたしについて来なさい」と言われました(マタ4:18~22;8:18~22;9:9~13;10:34~39;16:24~26;19:16~30)。ここでは、この6つの聖書個所から、イエスに従うということ、つまり「ラディカル(過激)な信仰」に関する4つの特徴について見ていきたいと思います。
一つめは、イエスに従うということは「過激な恵み」であるということです。キリスト教信仰の中心部分こそが「過激な恵み」なのです。6つの聖書個所のどの個所を見ても、イエスの「ついて来なさい」ということばから始まっていることに気がつかれたでしょうか。
マタイの福音書4章に出てくる4人の漁師たちは、自分からイエスのところに行ったのではありません。イエスが彼らのところに来られ、招かれたのです。マタイの福音書9章でも、取税人がイエスのところに行ったのではありません。イエスが彼らのところに来て、語りかけてくださったのです。これは、本当に驚くべきことです。イエスはいつも、たくさんの群衆に取り囲まれていました。取税人はユダヤ人から搾取する敵のような存在でした。その群衆の中から、取税人のところに行って、「わたしについて来なさい」とおっしゃったのです。おもしろいことに、自分からイエスのところに行って質問したりする人は、イエスに従う人にはなりませんでした。マタイの福音書8章に出てくる人たちや、19章に出てくるお金持ちの青年も、イエスに従う者にはなりませんでした。しかし、イエスに従うようになった人々に共通して言えることは、イエスご自身がまず先に招いてくださったということです。
ヨハネの福音書15章16節で、「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです」と言われたように、イエスがまず招いてくださったのです。彼らの中に何か良いものがあったから選ばれたのではなく、神のあわれみの心から出た招きなのです。彼らには何もありませんでした。 教育も受けていない、低所得層に属するガリラヤ人たちでした。いわゆる、普通の人でした。彼らは迷信を信じ、霊的にも特に優れている人たちではありませんでした。しかし、イエスはそういう人たちを選ばれたのです。
私たちがイエスの弟子として選ばれているのも、私たちが良い人だったからでも、賢い人だったからでもありません。実際、私たちの中に、イエスを惹きつけるようなものは何もないのです。私たちの本質は、まさに罪人です。私たちは神から離れて自分勝手に生きていました。神から逃げていたような存在です。
しかし「良い知らせ」というのは、この素晴らしい神が、私たちを追いかけててきてくださったということです。私たちには何の魅力もないのに、神は私たちを愛してくださったのです。神はその御子を送ってくださり、私たちの罪の代価を払ってくださいました。私たちの身代わりとなって、私たちの罪に対する怒りを引き受けてくださったのです。そして、御霊によって霊の目を開き、神の栄光を見せてくださいました。神はこれらすべてのことを私たちのためにしてくださいました。ですから、「過激な恵み」に私たちの信仰は包まれていると言えるでしょう。
少し考えてみてください。1%にしかすぎないクリスチャン。なぜあなたはクリスチャンなのですか。あなたが賢いからですか。ほかの人よりも優れているからですか。それは、神が恵み深い方だからです。高い所におられる神ではなく、神ご自身が私たちのために降りて来てくださったのです。この恵みをしっかりと受け取ってください。この宇宙を造られた神が、あなたのことを愛しておられ、御子を送ってあなたのすべての恥と罪過を取り去り、死に打ち勝ってよみがえってくださいました。このイエスを信じて、罪から完全に解放され、神との関係を回復しましょう。そのために、イエスは道を作ってくださったのです。この「過激な恵み」を受け取りましょう。クリスチャンの信仰というのは、この過激な恵みに始まり、過激な恵みで終わるのです。
二つめの特徴は、信仰には「過激な犠牲が伴う」ということです。この6つのマタイの福音書のすべての個所には、過激な犠牲が見られます。4章に登場する4人の漁師たちは、彼らの仕事、地位、持ち物を捨てました。友人や家族も捨てました。安心や安全も捨てました。マタイの福音書9章に出てくるマタイも、仕事も持ち物もすべて捨てました。10章で弟子たちを宣教に送り出した時も、いのちまでも犠牲にするようにと語られました。まるで「狼の中に羊を送り出すようなもの」だとおっしゃっています。羊は、動物の中で最も弱く、頭の良くない動物だと言われています。また、自分を守ることができません。できることは走って逃げることだけですが、逃げ足は遅いのです。しかし、良い羊飼いであるイエスが「あなたを狼の中に送り出す」とおっしゃっています。それは「犠牲」です。マタイの福音書9章では、この弟子たちに持ち物を犠牲にしなさいと言われました。ですから、私たちもイエスに従うときには「犠牲」を覚悟しなければならないのです。
イエスに従うということは、きょう「イエスに従います」と決心して、あすになったら、またもとの生活に戻る、というようなものではありません。もう、きのうまでのような生活をしない、ということを意味します。つまり、いのちを失うこと、人生のすべてが変わることを意味します。私たちは、このことを忘れてしまいがちです。多くのクリスチャンが、この世の人々と全く変わらないような人生を歩んでいるのです。それは聖書的にイエスに従っていることにはなりません。イエスに従うならば、この世と違った歩みをするのです。すべてが変わるのです。どんな人でも、宇宙の神と真に出会ったときに、その恵みによって私たちの心を変えてくださるときに、罪が赦され、聖められ、神の御霊を心に送ってくださるときに、全く違ったものに変えられるのです。
私たちがイエスに従うとき、何を捨てなければならないのでしょうか。もちろん、罪を捨てます。完璧になれということではなく、罪が赦されて、罪から解放されるということです。そして、聖さの中を歩むことができるようになるのです。マタイ5章ではイエスは「右目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して、捨ててしまいなさい」とおっしゃっておられます。ですから、イエスに従うなら、私たちは真剣に罪を捨てなければならないのです。
過激な聖さに生きていますか。イエスと聖い生活を送っていますか。罪を捨てるだけでなく、自分自身にも死ななければなりません。それでこそ、自分のやりたいことを捨て、神が願われる人生を生きるようになるのです。自分の方法を捨て、神の方法で生きるようになります。このように、この世と全く違った生き方に導かれていきます。
また、この世が求めているものを求めないように気をつけなければなりません。イエスを信じるなら、この世の富がすべて手に入る、というような嘘を信じてはいけません。マタイの8章では、イエスは屋根の下で休むことができるという保証もしておられません。しかし、もしイエスに従っていくならば、この世界が求めているような所有物は必要なくなるのです。物質主義は教会を破壊します。この物質的な世界を、物質的な教会で勝ち取ることはできないのです。この犠牲を払ってでもイエスについて行くなら、私たちの優先順位が変わります。この世で成功することや他人よりも勝ることを願わなくなります。人のためにいのちさえも捨てることこそが価値あることだとわかるのです。自分を捨て、人の必要のために仕えることを通して、ご自分のいのちを犠牲にしてくださった方の愛を知ることができるのです。
このようにイエスに従うには、過激な犠牲が必要ですが、それに伴う「過激な報い」があります。これが三つめの特徴です。この「報い」とは、イエスによって私たちが満足するということです。マタイの福音書19章では、イエスが金持ちの青年に、全部持ち物を売りなさいと言われました。彼にみじめな生活をしなさいと言われたのではありません。イエスはこの青年に「永遠に続く真の宝を持ちなさい」と言っておられるのです。短期間しか持っていることができないような宝に心を奪われず、失うことのない宝を得なさいと言っておられるのです。すべてのものを売り払っても、それにまさる方を私たちは見つけたのです。それがイエスです。イエスが私たちを満足させてくださるのです。この世の最高のものを集めてもかなわないほどすばらしい方、イエスという「過激な報い」を受けようではありませんか。
四つめの特徴は「過激なミッション」です。「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう。」「死人は死人に任せなさい。あなたは神の御国を宣べ伝えなさい。」「狼の中に送り出される羊のように、汚れた捨てられた者の所に行き、病気や死がはびこっているところに行き、神の過激な恵みを宣べ伝えなさい。」イエスの弟子は、イエスの弟子を作る者です。福音を知るということは、その福音をほかの人に分かち合うことを意味します。
イエスの過激な恵みによって救われた人たちには、過激な犠牲が伴いますが、過激な報いもあることを理解し、その過激なミッションに人生をささげる決意をしてください。私たちは、イエスによって罪赦され、イエスよって救われ、神の御霊に満たされています。このミッションは牧師だけのものではありません。特別な賜物が与えられている人たちだけのものでもありません。このミッションは、すべての弟子たちに与えられています。一緒に、この過激な恵みを宣べ伝えていきましょう。

* 2013年10月、日本CGNTV開局7周年記念の宣教集会「HIS GENERATION」で語られたメッセージを要約したものです。


David Platt(デイビッド・プラット)
米国アラバマ州バーミングハムに所在するブルックヒルズ教会(The Church at Brook Hills)の主任牧師。
現在はブルックヒルズ教会を牧会しながら、米国はもちろん、世界を巡って聖書を教え、教会の指導者を訓練するなど、活発な活動を行っている。

 

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