教会成長のための牧会戦略

   聖書的な子育て教室
 
トーチ・トリニティー神学大学教授、牧師 イ・キボク


聖書は、神の霊感によるもので、救いを得させる知恵だけでなく、あらゆる教えと矯正と義の訓練のために有益です(Ⅱテモ 3:5~16)。世の理論は、時代と文化と学者によって変わり続けていて、子育てに関しても、どの理論に従うべきか混乱します。しかし、聖書は、時代を超え、永遠に変わることのない原理と真理を提示しています。したがって、私たちは子どもを愛し、教える際、聖書の中からその理論と解答を探さなければなりません。聖書的な観点で子育てを始めるために、まず聖書的な人間観を調べてみましょう。聖書では、人間をどのように見ており、どう診断しているかを知らなければなりません。

1. 聖書的な人間観
1)子どもは神の似姿です
人は神にかたどって造られました。人間はサルの子孫ではありません。何かの偶然で進化した存在ではないのです。私たちの子どもも神の似姿です。神の似姿とは、子どもが神のご性質、すなわち、真理と聖さ、愛と献身、永遠と永遠のいのちの水準を持っているという意味です。また、神と交わりながら生きていくべき霊的存在であるという意味です。私たちの子どもも、霊であられる神と交わりながら生きていくとき、最高の人生を生きることができます。ですから、子どもの霊的な教育を先延ばしにしてはなりません。子どものときから、まだ親の影響力のもとにいるうちに、神のみことばを教えてください。子どものたましいに神の愛を入れてください。それが、子育てに成功する秘訣です。

2)しかし罪の性質を持っています
しかし、神にかたどって造られた人間は、神との交わりを自ら断ってしまいました。その結果、神から受けるべきたくさんの祝福を失ってしまいました。人間自ら不幸とのろいをもたらしたのです。その後、人間は善よりも悪に従い、罪の性質を持つようになりました。私たちの愛する子どもも同じです。子どもにも罪の性質があるため、利己的、反抗的になる要素があるのです。子どもへの幻想を捨てましょう。親は子どもの不従順を正し、小さいときから子どもの反抗心を戒めなければなりません。子どもに従順と善行と利他心を呼び起こし、意志を持って教えなければなりません。神を恐れることも小さいときから意識して教え、植えつけてあげなければならないのです。

3)世には悪と誘惑があります
それだけでなく、世には私たちの子どもを悪の道へと誘惑するやみの世の支配者たちと悪霊たちが実際に存在することを忘れてはなりません。文化、スマートフォン、メディア、さらには学校教育の中にも、誤った思想がたくさんあるということを知らなければなりません。特に、十代の子どもの場合、誤った性文化までそのたましいを攻撃してきます。ですから、聖書的な親は、子どものたましいが誤った思想や文化に支配される前に、聖書的な教えと世界観で武装させなければならないのです。あらかじめ真理を植えつけておけば、どんな悪や誘惑も心配ないからです。これはまた、別の霊的戦いでもあります。聖書的な親は「若者をその行く道にふさわしく教育せよ。そうすれば、年老いても、それから離れない」(箴 22:6)というみことばを、心に刻まなければなりません。

2.親が心に刻むべきこと
1)親は神のための管理者です
子育ては親の特権であると同時に、重大な責任が伴います。子どもは親のものではなく、神の子どもだからです。神は使命として子どもを任せてくださったのです。私たちは管理者として子どもをよく訓練しなければなりません。のちに、子育ての使命をよくやり遂げたと、主からほめられる親となりますよう願います。

2)親は子のセルフ・イメージを描く人です
子どもは白紙のような状態で生まれます。自分がどんな存在なのか知らないで生まれるのです。親は、子どものセルフ・イメージを描いてあげる画家です。子どもは親を通して自分がどんな存在であるかを学ぶのです。親は、子どもの見た目や条件ではなく、いのちと存在の大切さを見つめなければなりません。そして、いつも子どもたちに伝えるべきことは「あなたは尊くて、大切な愛する子だよ」、「あなたは神様から愛されているよ」というメッセージです。うまくいったときも、うまくいかなかったときも、同じメッセージを伝えてあげなければなりません。そうすれば、子どもはインプットされたメッセージによって、健全なセルフ・イメージを形成し、愛と幸せと自信に満ちて、しっかりと生きていくことができるのです。

3)子どもは親の生き方と人格から学びます
子どもは、親のことばではなく、生き方と人格を見て、そのまま倣います。親がことばと行動において矛盾した生き方をするなら、子どもは嘘と偽善を学びます。特に十代になると、親の嘘と偽善を見抜き、反抗します。反対に、真実な愛と言行一致の生き方を見せるなら、子どもは親を尊敬し、それに倣うのです。

4)自由意志を傷つけてはなりません
親は子どもの自由意志を尊重しなければなりません。自由意志とは、子どもの選択能力とも言えます。親は、子ども自ら良いこと選び取れるよう、訓練しなければなりません。強要してはなりません。子どもの自由意志が傷つくからです。強要によっては、子どもに正しい道を教えることはできません。抑圧する態度を捨てましょう。ほうとうの愛は、子どもの自由意志を尊重し、子どもが自発的に善の道を選び取れるよう導くことです。

5)家庭の中心は子どもではなく夫婦です
家庭の中心は子どもではなく夫婦です。親が愛し合えば、子どもは自然に明るく幸せに育ちます。反対に、親が不仲であれば、子どもは不安と恐れにより、傷つきます。子どもを愛しているならば、夫を立ててください。子どもが成功することを願うならば、妻を尊重し、大切にしてください。夫婦が仲良くすることが、子どもへの愛の出発点なのです。

3.子どもへの 間違った愛
ほとんどの親は、自分が子どものことを愛していると思っています。しかし、実際は、愛という名で子どもを傷つけていることが多いものです。愛にも健全な愛と不健全な愛があるからです。不健全な愛は、子どもの精神を不健康にします。では、間違った愛の4つの型を調べてみましょう。

1)過保護の愛
過保護は、子どもの発展を妨げます。過保護は子どもを弱くて無気力な存在にします。子どもは失敗を通して学ぶこともありますが、過保護は失敗する機会さえも与えません。子どもを本当に愛しているのなら、困難を自ら克服できるよう、強く育てなければなりません。平坦で安易な道に行かせるのではなく、苦難に直面しても乗り越えられる強い子どもに育てなければなりません。

2)権威のない愛
権威のない親は、子どもをだめにします。親の権威は神の権威に代わるものです。親に権威がなければ、のちに子どもはだめな人間になります。聖書的な親は、神に代わって、子どもが親を敬い、従うよう教えなければなりません。それは、親のための従順ではなく、子どもが祝福されるための霊的な法則であると聖書は教えています(エペ 6:1~3)。子どもを愛するなら、子どもに対しておどおどしたり、子ども中心に育てたりしてはなりません。時には厳しく教えることです。権威主義は悪いものですが、真の親の権威は、子どもに愛と安定感を与えるために不可欠です。

3)完ぺき主義の愛
完ぺき主義の親は、どんなに子どもががんばっても、ほめたり満足したりしない親です。よくやったことは無視し、できないことばかり指摘するのです。高い期待を持って、最高の成果を得るよう要求し続けるのが完ぺき主義です。それで「もっとがんばりなさい」、「それくらいでは、だめだ」などと言います。そんな親の下で育った子どもは、親の満足する姿や、賞賛、励ましに飢え渇いています。絶えず期待し、要求するのではなく、子どもの小さな達成も惜しみなくほめてあげなければなりません。「よくがんばったね」「それくらいなら上等だ」「誇らしいよ」と言ってあげなければなりません。子どもは賞賛と励ましの中で、もっとがんばろうという心が生まれるのです。

4)条件つきの愛
条件つきの愛とは、愛する前に何らかの条件や代価を要求する親の態度を言います。子どもが愛するに値するようなことをしたら愛するという、行為中心の愛です。子どもの行いや成績、資格によって、愛することもあれば愛さないこともあるという態度です。愛で子どもをコントロールしようするのです。そうなれば、子どもは勉強ができなかったり、失敗したり、過ちを犯したりすれば、親の愛を受けられず、愛される資格もないと感じるようになります。しかし、神の愛は、私たちの資格や行いや成就とは関係なく、ありのままの私たちを受け入れてくださる無条件の愛です。親も無条件の愛を子どもたちに伝えなければなりません。

4.聖書的なまことの愛
1)無条件の愛
本来、神の愛は無条件の愛です。まだ私たちが弱かったとき、不敬虔だったとき、罪人だったとき、イエス・キリストが私たちのために死んでくださり、神が私たちに対する愛を明らかにしてくださいました(ロマ 5:6~8)。子どもは、親を通して神の愛を経験しなければなりません。勉強ができなくても、失敗しても、顔がきれいでなくても、親は変わらず愛しているという、無条件の愛を学ばなければなりません。心理学でも、無条件の愛は人を成長させ、発展させ、回復させると主張しています。無条件の愛を受けた子どもは、どんなことがあっても親が自分を愛しているという確信を持って、恐れなく、明るく成長します。

2)表現する愛
多くの親が愛を表現しません。心の中では愛していながらも、ことばで表現するのが難しいのです。ことばで表現しなくても、子どもはわかっていると思うのです。しかし、愛は表現しなければ伝わりません。表現しなければ誤解をもたらします。恥ずかしくても表現してみましょう。また、愛は表現すれば、もっとふくらみます。
さあ、これからは無条件の愛を表現しましょう。次のように始めてみてください。「あなたは大切な子だよ」「私たちの宝だよ」「あなたがいるから、私たちは幸せだよ」「勉強ができても、できなくても、お父さんとお母さんはあなたを愛してるよ」「だれでも失敗はするものだよ。失敗しても、愛しているよ」「誇らしいよ」「長い目で見ようよ。きっとうまくいくよ」「あなたは神様から愛されているよ」と。

イ・キボク
トーチ・トリニティー神学大学院、キリスト教カウンセリング学教授。オンヌリ教会協力牧師、ツラノ・バイブルカレッジ家庭ミニストリーのディレクター。著書に『聖書的な親教室』、『結婚コーチング』などがある。

 

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