十字架から地の果てに向かう福音

   純粋な霊性、聖なるリバイバルを夢見る日本の教会
 
ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会 主管牧師 峯野龍弘


2014年を迎えるにあたり、「純粋な霊性、聖なるリバイバルを夢見る日本の教会」というテーマで一文を寄せてほしいと、『リビングライフ』編集者より依頼を受けました。思えば、このテーマこそ、私自身が長い間自問し続け、また課題にしてきた主要な関心事でもありましたので、祈りの末、拙文ながら一文記してみることにいたしました。
私が長い間感じてまいりましたことを率直に述べさせていただくと、そもそも日本の宣教は、聖霊の導きの下にあって成し遂げられた「純粋な霊性と聖なるリバイバル」を発露として始動したと言っても過言ではありません。
ちなみに日本におけるキリスト教宣教は、言うまでもなく、カトリック教会によって着手されましたが、その宣教の浸透、拡大はめざましいものがありました。相次ぐ迫害下にあっても宣教が進み、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三代の政権交代の乱世の中にあってさえ、およそ80年で、当時の日本の全人口の約7%がキリスト教徒となったのです。その背後には、二つの側面に属する要素があり、見事に調和・合一したこの要素こそが、当時の日本の異邦社会の中に大いなる祝福をもたらすことができたのです。その二側面の要素とは、第一は人間的側面の人的要素であり、当時日本に渡来し宣教活動を推進したカトリック宣教師の「純正な霊性」によるものでした。第二は神的側面の要素で、彼らのこの「純粋な霊性」を祝福し、これに応えて働かれた聖霊ご自身の御業としての「聖なるリバイバル」によるものでした。のみならず、この時代に活躍したスペインのイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルをはじめ、日本において迫害のため相次いで殉教していった各修道会の宣教師たちは、いずれも「純粋な霊性」を持った人々でした。彼らは実に、マルティン・ルターの宗教改革に刺激されたローマ・カトリック教会内の信仰改革で覚醒された、まさに聖霊に満たされ、かつ聖化された「純粋な霊性」が与えられた敬虔な聖徒たちだったのです。これは、当時カトリック教会内に起こった「聖なるリバイバル」に起因するものであって、彼らの内に働かれた聖霊によって、一人一人が世界宣教の熱情に燃やされ、渡来することとなったのです。日本宣教はかくして始められたのです。
このようなカトリック宣教から310年遅れて、米国や英国の宣教師によって日本のプロテスタント教会の宣教は開始されました。そして、何とこれもまた、当時、米国や英国で盛んに燃え広がっていた聖霊によるリバイバル運動が発露となったものだったのです。これは、くしくも徳川幕府の徹底的迫害と鎖国により、約230年間の長きにわたって、キリスト教宣教が完全に封鎖されていた日本に、新たに宣教の夜明けをもたらしました。また、それと共に、日本の社会全体に、キリスト教の精神と良き香りを持った新時代の到来と文明開化をもたらすこととなりました。とりわけ、聖霊に満たされ「純粋な霊性」を持った宣教師たちを通して、熊本、京都(同志社)、横浜、札幌では相次いで前途有望な青年たちの結社の中に、当時「バンド」と呼ばれた「聖なるリバイバル」がもたらされ、この運動は、結果として多くの国家的逸材を輩出し、政界、財界、教育界、医学や農工業界等に多大な貢献をなし、日本の歴史と社会に偉大な変革をもたらしたのです。かくして、日本のプロテスタント宣教も、「純粋な霊性」を持った神の器たちと、聖霊ご自身の御業である「聖なるリバイバル」によって開始されたと言っても過言ではありません。
このように考えてみると、今更ながら、初代キリスト教会の歴史を想起させられます。日本宣教の歴史は、カトリック教会の場合においても、またプロテスタント教会の場合においても、聖霊の御業の下に、「純粋な霊性」を持った神の器たちが、同じく聖霊のなし給う「聖なるリバイバル」にあずかって開始されました。初代キリスト教会自体が、祈りのうちに待望していた約束の聖霊の御業にあずかり、弟子たちの一人一人が聖霊に満たされて「純粋な霊性」を持つ者とされたとき、そこに聖霊共同体としての教会が誕生し、強力でいのちにあふれた宣教と教会形成が著しく開始されたのです。そして『使徒の働き』が、別名「聖霊の働き」とも呼ばれるように、そこには聖霊の顕著な働きと、その結実である著しいほどの宣教の拡大と、新しい教会の誕生が促進されたのです。これこそが、その後の代々の「聖なるリバイバル」の原点となりました。
それでは、日本の教会にとって、今日何よりも急務とし、必要とされることは何でしょうか。それは、言うまでもなく、今こそ一早く「純粋な霊性」と「聖なるリバイバル」にあずかることによって、長期に渡る宣教の低迷を打破し、不毛にさえ思われてきた歴史的空白を除去し、宣教の黄金時代を迎えることではないでしょうか!


峯野龍弘
1939年8月10日、横浜生まれ。1962年、日本大学法学部法律学科卒業。1965年、東京聖書学校卒業。2006年に米国アズベリー神学校、2008年に韓国トーチ・トリニティー神学大学より名誉神学博士号を授与。1965~68年、日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会。1968年より現在までウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の牧会にあたると共に、各地のブランチ教会を司る主管牧師でもある。

 

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