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新しい時代に向けた新しい牧会を
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収穫は多い |
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チャーチオブクライストニュージーランド日本 大阪教会 牧師、 JMC(日本宣教連合)代表理事 高田義三
伝道 神の選ばれた人々により救いが私にも 半世紀前の9月、私は友人と3千トンの貨物船で神戸港を出港しました。親善使節として2年半で29ヶ国を訪問する世界一周旅行の計画を立てたのですが、日本が海外旅行の自由化に踏み切る一年前のことで、渡航手続きにはかなりの労力と時間を要しました。当然親の反対を押し切っての出発となりました。最初の目的地はニュージーランド。船は18日間の航海の後、北島のオークランドの港に着きました。まだ大学生であった私にとって、それはスリリングな未知の世界への冒険の始まりでもありました。 港に着くやいなや一人のニュージーランド人の青年が船にやって来ました。この貨物船は日本とニュージーランド間の定期便でしたので、パーサーはその青年とはすでに顔見知りのようでした。 青年はあまり綺麗とは言えない彼の車で町へのドライブに誘ってくれました。長い航海の後の、しかも生まれて初めての南半球の地を走ることは魅力的でしたし、柔和でにこやかな彼の姿に安心と期待が徐々に膨らんでいきました。お互い言葉があまり通じないにも関わらず、新鮮で楽しいひとときでした。 車は美しいオークランドの街を走りぬけ、やがて大きなホールに着きました。そこはキリスト教会でした。明るくとても温かい雰囲気で、心が洗われるような、そして何か希望が湧き上がってくるような所でした。高校以来音楽と関っていた私には、そこで歌われている讃美歌が特別な響きをもつ、すばらしく輝かしいものに聞こえ、心が震えました。それは、毎週日曜日の夕方の、伝道映画が上映され聖書のメッセージが語られる伝道集会でのことでした。集会後には、信徒の方が私たちを家に招いてくださり、愛のこもったおもてなしをしてくださったのも驚きでした。 紆余曲折を経て、後にその教会から聖書をいただき、救い主イエス・キリストに出会い、またその家で何年もの間お世話になるとは、その時の私には、全く想像もつかないことでした。 こうして、神に選ばれた何人もの人々を通して、罪深い私にキリストによる救いが成就したのです。
伝道、それは主のご命令 天と地のいっさいの権威をお持ちの私たちの主が今日も言われます。「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい」(マコ 16:15)。 使徒パウロも言います。「私は、ギリシヤ人にも未開人にも、知識のある人にも知識のない人にも、…ぜひ福音を伝えたいのです」(ロマ 1:14~15)。彼にとって福音を宣べ伝えることは、「どうしても、しなければならないこと」(Ⅰコリ 9:16)でした。パウロは主のご命令にいのちがけで従ったのです。 神のご命令に従うことについて、預言者サムエルは言います。「見よ。聞き従うことは、いけにえにまさり、耳を傾けることは、雄羊の脂肪にまさる」(Ⅰサム 15:22)。 私たちも、主のご命令に、主の御声に素直に従い、福音伝道に邁進しましょう。
私の生かされている目的 イザヤ書43章7節に、「わたしの名で呼ばれるすべての者は、わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った」と書かれており、さらに同章21節には、「わたしのために造ったこの民はわたしの栄誉を宣べ伝えよう」とあります。神はここに、クリスチャン一人一人の生かされている目的を明確に宣言しておられます。 新約聖書では、主イエスの地上での最後のおことばとして、こう書かれています。「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります」(使 1:8)。 十字架で死んでくださり、三日目に死より復活された救い主イエス・キリストの証人として、聖霊に満たされて国内から国外にまで、いや地の果てにまで、この福音を携えて出て行くようにと主は言っておられます。 私たちを造り生かしてくださっている神の意図がここに書かれています。
人々に届くように 礼拝と伝道と交わり、そして祈り 十戒の第四の戒めは「安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ」(出 20:8)です。イエス・キリストの復活以来、聖徒たちは日曜日を聖日として礼拝を守ってきました。現代のクリスチャンにとっても、この日を主の日として、霊とまことによって礼拝することこそ、伝道の根本となることを覚えたいと思います。世の人は、礼拝を守るクリスチャンを見て、そこに無言の伝道を体験するのではないでしょうか。 そして直接伝道!神への感謝と賛美のうちに福音の伝道に励むことは一生涯続けられる祝福です。私を主のもとに導いてくれたニュージーランドの母教会の青年は、今日まで何百人もの人々を主のもとに導き続けています。今日も彼の内にともされた救霊への炎は、様々な困難という水を浴びせられながらも消えることなく、聖霊の注ぎによって赤々と燃え続けているのです。主の聖名を讃えます。 「礼拝」とともに「伝道」を。そしてもう一つ、神の子とされた人たちの「交わり」もまた重要です。主イエス・キリストは、選ばれた弟子たちをいつもご自分のもとに置いて教えられました。イエスの公生涯は、弟子たちとともに過ごされた毎日が礼拝であり、伝道でした。またそれは、神の子とされた弟子たちの、主との、そして互いの良い交わりの時でもありました。イエスが天に帰られた後も、弟子たちはいつも集まり神のわざに励んだのです。「信者となった者たちはみないっしょにいて、…」(使 2:44)。 このように人々に福音を届けるために、弟子たちは、祈りを土台として礼拝、伝道、交わりを力強く進めていきました。祈りについてはここで改めて書く必要のないほど、重要です。「絶えず祈りなさい」(Ⅰテサ 5:17)。
アウトリーチのための道具は 福音伝道のため、神は多種多様な方法を用いられます。大きく分けると、一つは教会としての伝道活動であり、一つは教会員一人一人が行う個人伝道です。そして両者の活動が互いの密接な関係のもとに進められるなら、そこには豊かな相乗効果が生まれます。教会の、聖霊による熱心な伝道の姿勢は教会員一人一人を個人伝道に導き、救霊の器へと養い育てます。「…すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。私はすべてのことを、福音のためにしています…」(Ⅰコリ 9:22~23)。 当教会は、全ての活動が人々の救いにつながるようにと願っています。使われている伝道方法は20を超えますが、中でも映画を用いた伝道集会は30年以上続けています。当教会の伝道集会は毎週日曜日夕方7時(12月~3月は6時半)から開いていますが、月三回は映画を上映し、他の一回はコンサートを開いています。映画は年間約40週にわたり約50本の映像を用います。映画上映時の伝道集会は、以下のようなプログラムを基本にしています。
+ オープニング(心を整えるため音楽を流す) + 会衆賛美(聖歌、讃美歌、ワーシップ / プレイズ / ゴスペル・ソング / 当教会で翻訳したもの等から2~3曲) + お祈り + 会衆賛美(2曲程度) + 集会案内(映像とナレーションで) + 映画上映(約60分、短いものは2本立て) + 聖書からの福音メッセージ(20~30分程度。牧師、伝道者が担当) + 招き(決心者は挙手) + 会衆賛美(この時、決心者に前に出ていただく) + お祈り + カウンセリング 以上、90分~120分
映画伝道のためにいくつかの準備があります。 ・福音的な内容のDVDやビデオ(時には聖書に関わるテレビ番組) * 新しいものを取り入れながら、霊的なことに心が開かれる映像を上映しています。 ・液晶プロジェクター / スクリーン / スピーカー ・案内チラシ / 掲示用ポスター ・音楽演奏など
家庭用大型液晶テレビで、優れた内容の美しい映像が簡単に見られる時代ではありますが、伝道のために祈られて作られた作品を大きなスクリーンで上映する時、そこには主のご臨在と救霊の豊かな油注ぎが顕著に現れます。映画を道具として使用する時、チラシを用いることで、教会員が人々をお誘いする助けになりますし、路傍伝道でもチラシをお見せして来会のお誘いに役立ちます。教会員は、だれも誘えなかったとしても、集会に参加することで、毎週の聖書のメッセージや映画を通して様々な角度から福音に触れることができ、個人伝道のための有効なツールを内に蓄えていくことができます。 その日の伝道集会にだれもお連れできない人たちは、集会の始まる一時間前から30分間開かれている、伝道集会のための祈り会に出て、ちょうどその時間帯に外に出て行っている路傍伝道の働きや個人的に誘いに行っている教会員のため、また説教者や奉仕者のために祈ります。
収穫は多い 「…イエスは、…御国の福音を宣べ伝え、…弟子たちに言われた。『収穫は多いが、働き手が少ない』」(マタ 9:35~37)とありますが、私たちは今、何をどうすれば神の栄光を拝する伝道を行えるのでしょうか。ヘブル人への手紙13章8節のことばに勇気づけられないでしょうか。「イエス・キリストは、きのうもきょうも、いつまでも、同じです。」また、前述の使徒の働き1章8節のみことばが今日も私たちに大きな希望を与えます。 神のみことばに励まされ、心から信じて、主イエス・キリストに従おうではありませんか。主は今日も、お送りくださったご聖霊により力と恵みを与え、使徒の働きの時代と同じ、いいえそれ以上のことを行われる愛の神です。「もしあなたが信じるなら、あなたは神の栄光を見る」(ヨハ 11:40)。 神の限りない愛に感謝しつつ、伝道のご祝福をお祈りいたします。
高田義三 大阪生まれ。23才の時、ニュージーランドで教会にさそわれて救われ、「チャーチオブクライストニュージーランド」で、聖書の学びと教会訓練を受ける。1965年から大阪市立中之島中央公会堂の一室で「中之島クリスチャンの集い」の名称のもとに教会活動を開始。1975年、吹田市南千里に「チャーチオブクライストニュージーランド日本 大阪教会」を設立。1990年代に国内10ヵ所で枝教会が生まれて現在に至る。JMC(日本宣教連合)代表理事。
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