新しい時代に向けた新しい牧会を

   なぜこの時代に創造信仰が必要なのか
 
韓国ハンドン大学教授、創造科学宣教会(韓国創造科学会アメリカ支部)副会長 イ・ジェマン


「神を信じる最も根本的な理由は何でしょうか。」この質問についてはさまざまな答えがあると思いますが、一言で言うと「事実」だからです。さらに厳密に言えば、事実に信仰がいつも伴うわけではありません。たとえ信じる人には事実であっても、信じない人には事実ではないなら、それは事実とは言えません。すなわち正しい意味での事実とは、信仰とは別に事実として存在することを言います。これは大変感激することではありませんか。たとえ信仰がなくても事実であることは信じている、ということです。それには残念な面もあります。なぜならば、事実であるのに、私たちの隣人は信じていないからです。では、何が事実なのでしょうか。それはまさに神が啓示された「聖書」です。ですから神を信じる最も根本的な理由は「聖書が事実」だからです。
しかし今日の問題は、多くの人が信仰の根拠としている聖書は事実である、という考えを持たないという点です。それだけでなく、教会でさえ聖書について疑ったりもします。その理由の一つは、進化論という考え方から離れることができないためだと思います。進化論とは、簡単な単細胞から複雑な生物へと数十億年かけて進化と絶滅を繰り返しながら今日に至った、という理論です。そのため、進化論は聖書の歴史、特に神の創造された事実を記している創世記とは、決して共存できません。進化論的な考えを持っている場合、聖書の核心であるイエス・キリストの福音を受け入れることは不可能です。例を挙げてみましょう。
神がこの世を創造されたとき、繰り返し言われたことばは、「神はそれを見て良しとされた」です。このような「始まり」は過去に存在したほかの記録には見られない、聖書だけが持っている独特の描写です。神はどうしてこの世を始めから良しとされる形に創造されたのでしょうか。その理由は簡単で明らかです。このような始まりだけが、ご自分の品性をそのまま現わすことになるからです。第一に神は良き方だからで、第二にその良き方は全能なる方だからです。ですから神は段階なしに、始めから万物が良しとされる形に創造することがおできになり、実際にそうされました。
私たちは福音を「Good News(良き知らせ)」と言います。ところでなぜ良き知らせだと言うのでしょうか。初めから良かったのに、今になってまた良き知らせが必要なのでしょうか。では人類には創造と現在の間に何か悪い知らせでもあったのでしょうか。そうです。確かにありました。それはアダムとエバの罪です。その罪により人類は死を招き、地にはいばらとあざみが生えるようになり(創 3:18)、大洪水の後に寒さと暑さ、夏と冬が始まり(創 8:22)、バベルの塔の出来事の後は互いにことばが通じなくなる(創 11:7)など、一連の事件はますます悪化していきました。そのような中で、神はすべてが記録されている聖書をイスラエルの民にゆだね(ロマ 3:2)、そのみことばの約束のとおり、創造主であられるイエスがこの地に来られ、十字架につけられ、死なれ、よみがえられたことにより新しく生きる道が開かれたのです。この時から、聖書はイスラエルの手を離れ、今まで神と断絶されて生きてきた国々にまで伝わり始めたのです。そしてこのような不思議な事実を信じる者は生かされ、初めに良しとされたその状況に立ち返ることとなりました。これがまさに「福音」すなわち「Good News(良き知らせ)」なのです。初めは非常に良く、罪を犯した後悪くなりましたが、再び良い状況になるのです。
ほかの例をさらに挙げて説明すれば、「『最初の人アダムは生きた者となった』と書いてありますが、最後のアダムは、生かす御霊となりました」(Ⅰコリ 15:45)。ここで「最後のアダム」はイエスを指しています。ではアダムの罪のために私たちが今これほど苦しんでいるのに、なぜイエスをあえてアダムと名づけたのでしょうか。また最後のアダムの「最後」と言う表現は何を意味するのでしょうか。実際、聖書全体を辿ってみると「最後のアダム」という表現は、この世の歴史と福音に対して最も多様な意味が含まれている聖句の一つだと言えます。
「最後のアダム」について理解するためには、当然「最初の人アダム」を理解することから始めなければならないでしょう。最初のアダムは、地のすべてのものを支配させるために神がご自身のかたちに創造されました(創 1:26, 27)。最初の人は神がご覧になって非常に良く(創 1:31)、罪なしに創造された人類の最初の祖先です(ルカ 3:38、使 17:26)。しかし、完全なる神のかたちとして創造されたにもかかわらず、善悪の知識の木から取ったものを食べる罪を犯したため、いのちであられる神から離れ、罪の代価として死に至りました(創 2:17)。一歩進んで、彼の子孫たちもアダムのかたちをとって生まれたので(創 5:3)、神のかたちを持ちつつも罪人であるため、死から逃れられない存在になりました。
イエスとは何者でしょう。イエスは造り主です。造られたもので主によらずにできたものは一つもありません(ヨハ 1:3、コロ 1:16)。イエスは聖く正しい方であり(使 3:14)、また神の御子です。「神は、あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたからです」(ロマ 8:29)と書いてあります。この方は全宇宙を超える創造主ですが、私たちのもとに来てくださいました。この地で苦難を受け、十字架につけられて死なれ、三日後に復活された方です。
ここで私たちは、アダムとイエスの共通点を見つけます。イエスは「神」であり、アダムは「神のかたち」です。両方とも神という共通分母があります。イエスは聖なる方であり、アダムも最初は罪のない聖い人として生まれました。人類の歴史の中で唯一罪なく生まれた人はたったの二人ですが、それはアダムとエバです。善悪の知識の木の実を食べる前です。この時期のほかには、人類の歴史の中で罪のなかった時代はありません(ロマ 3:23)。ここで重要な点は、「罪ある者として母は私をみごもり」(詩 51:5)ましたが、私たちの先祖までさかのぼると、罪のなかった時代があるということです。それが人類初の夫婦アダムとエバです。この二人のうち、最初の人はアダムです。最初の人アダムも死に、イエス・キリストも死にました。二人とも死んでしまったという共通点があります。
共通点のみならず違いもあります。イエスは神ご自身ですが、アダムは神の「かたち」をとった被造物です。イエスは土地のちりを造られた方ですが、アダムは土地のちりで造られました。アダムは罪を犯して聖さを失ってしまいましたが、イエスは聖く、この地へ来られても聖さを保たれました。アダムは罪の代価により死にましたが、イエスはそれを贖うために死なれ、復活されました。
そういう訳で「最後のアダム」と言う意味が理解できるかと思います。創造主であるイエス・キリストは人間のからだで来られましたが、実は罪を犯す前の私たちの最初の先祖アダムの姿で来られたのです。ですから私たちがご自分のからだであることを証明してくださいました。最初の人アダムは罪過で死にましたが、イエスは世の罪を取り除く神の小羊となり、ささげ物となられたことにより、その中におられる人たちにいのちを与えられました。(ヨハ 1:29、ロマ 5:18、ヘブ 10:14)。イエスが永遠のいけにえとなられたことにより、これ以上アダムは必要なくなりました。「最後」のアダムになったのです(ヘブ 10:18)こういうわけで、聖書は、アダムに「きたるべき方のひな型」(ロマ 5:14)と語っています。
すなわち人間は神のかたちであるがゆえに尊い存在ですが、罪過により死ぬべき者となったのを、イエスが「最後のアダム」として来られ、解決してくださいました。神は代わりに死んでくださるほど私たちが尊い存在であることを見せてくださり、神とともに永遠に暮らすことができる道を開いてくださいました。
それでは最初のアダムに対する理解なしに、最後のアダムを理解することができるでしょうか。当然、最初のアダムが明らかでなければ、最後のアダムの理解もあいまいになってしまうでしょう。聖書のとおりに最初のアダムがいなければ、イエスを最後のアダムとは言えません。ただイエスが私たちのために召されたので、私たちが尊い存在となったのでしょうか。それとも私たちが尊いから神であるイエス・キリストが十字架につけられたのでしょうか。もちろん人間が尊いから死なれたのです。そして、私たちが神のかたち、神を愛する存在として創造された事実を、最後のアダムであるイエスを通して明らかにされたのです(ロマ 5:8、エペ 1:4)。最後のアダムという単語を見ると、神が「あなたは本当にわたしのかたち」だと言われているようです。
これらの理由で、聖書はイエスの生涯のみを福音とは言いません。必ず旧約、特に創世記から始まります。おそらく「福音は…」で始まる最も有名な聖句はローマ人への手紙1章だと思います。「この福音は、神がその預言者たちを通して、聖書において前から約束されたもので、御子に関することです。御子は、肉によればダビデの子孫として生まれ、聖い御霊によれば、死者の中からの復活により、大能によって公に神の御子として示された方、私たちの主イエス・キリストです」(ロマ 1:2~4)使徒パウロは、福音はイエス・キリストが誕生する以前から始まり「聖書」にもすでに約束されたことだと言っています。もちろんこの聖書は当時の旧約聖書を意味します。
預言者とは、いわゆる大預言書や小預言書を記録した著者たちのみを指すのでしょうか。モーセが記録した申命記の最後の章には「モ-セのような預言者は、もう再びイスラエルには起こらなかった。彼を主は、顔と顔とを合わせて選び出された」(申 34:10)と書かれています。モーセを神と顔と顔とを合わせた唯一の預言者だと言っています。そして罪によって生じた悪い知らせが記録されている本が、彼が啓示を受けて書いた創世記なのです。
イエス・キリストの生涯を扱った聖書を福音書と呼びます。この福音は決してイエスが誕生する前の旧約時代をそのまま通り過ぎてはいません。マタイの福音書ではアブラハムの家系を、マルコの福音書3章ではイエスの公生涯以前、アダムを越えて神から系図が始まっています。ヨハネの福音書では、1章の「初めに」から始まり、まさにイエスが造り主であることを言及しています(ヨハ 1:3)。
今の時代の深刻な問題はここにあります。御心に「最初に良しとされた姿」と「最初の人アダム」が明らかになっていないことです。罪のない世の中と罪のないアダムの姿が描けていないという点です。創世記が事実として信じられていないためです。進化論という教育が、私たちをこのように作り上げました。数百万年にわたってアウストラロピテクス、ネアンデルタール人などのようにますます完成されていく人類の進化段階が頭から離れないからです。これらの偽りの証拠が、最初の人アダムを描くことができないようにしているのです。
進化論を学ぶ今の時代をむしろ良い機会と見なし、創造信仰を回復しなければなりません。聖書の教えが事実であることを確信し、創世記の記録をそのまま信じてイエス・キリストという本質に戻る尊い実を結ぶべきです。


イ・ジェマン
韓国江原大学地質学修士課程修了。進化論に基づく地質学を学ぶ中、ミシガン州立大学に留学、創造科学に出会う。進化論の偽りを悟り、創造主が聖書のとおりに行われた事実を伝え始める。現在、韓国ハンドン大学教授、創造科学宣教会(韓国創造科学会アメリカ支部)の副会長を務め、創造科学を道具として福音を伝えている。著作に『創造科学コンサート』(Duranno Japan)がある。

 

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