テモテへの手紙第一・第二の道しるべ

   教会と霊的指導者たちへの手紙
 
ユ・スンウォン ● デトロイト韓国人連合長老教会 牧師


霊的な父と子の関係
全体の背景を知らずにパウロの手紙を読む人は、テモテがパウロの実子だと考えることでしょう。「愛する子テモテへ」(Ⅱテモ 1:2)、「そこで、わが子よ。キリスト・イエスにある恵みによって強くなりなさい」(Ⅱテモ 2:1)。このように「親バカ」と言われても仕方がないほど、パウロはテモテに深い愛情をもっていることがわかります。
現在の概念で説明すれば、パウロとテモテはメンターとメンティーの関係でした。パウロが第一次伝道旅行でルステラとデルべを訪れた時、テモテの家族が主を受け入れた可能性があります(使 14:6~7)。そして年の若かったテモテを同労者としたのは二度目の伝道旅行でした(使 16:1~3)。パウロはマルコとの問題で、バルナバと意見が対立して別れた後(使 15:36~40)、情緒的にも働きの側面でも、マルコに代わってパウロを助けたようです。このようにテモテはパウロの分身のような役割を果たしました。
パウロの一行は、殺気にみなぎって迫害し続けたテサロニケを夜逃げするように去った後、ベレヤに向かいました。そしてベレヤの聖徒たちを養育するため、テモテをベレヤにとどまらせ(使 17:1~14)、問題のあるテサロニケへ再び送り出しました(Ⅰテサ 3:2)。悩みの種だったコリント教会の問題の処理のために送られたのもテモテでした(Ⅰコリ 4:17)。牢に閉じ込められたパウロが、この世を去って主とともにいるほうがいいと語るほど苦しんでいた時も(ピリ 1:15~17, 21~23)、テモテは彼の命令に従ってピリピの教会の様子を見に行きました(ピリ 2:19, 23)。エペソで養育をしている彼に、マケドニヤにとどまっていたパウロは、教会への対応の仕方を詳しく教えました。

テモテへの手紙第一、牧会の指針書
「・・・神の家でどのように行動すべきかを、あなたが知っておくためです。神の家とは生ける神の教会のことであり、その教会は、真理の柱また土台です」(Ⅰテモ 3:15)。これがパウロがテモテに手紙を書いた目的です。テモテは神の教会に仕え、聖徒たちを養育する重大な責任を負っています。ですから、共同体としての教会の秩序や、構造を把握しなければなりません。何よりも重要なのは、教会が基盤とすべき福音の「健全な教え」です(1:10;6:3)。
ですから、パウロは教会をかき乱すヒメナオとアレキサンデルを名指ししてまでも、健全な福音の教えから脱線した部分を指摘します(1章;6:3~10)。もちろん発展していく中で、状況に臨機応変に適応するべきことはあります。しかし、イエス・キリストの福音は、守るべき柱とも言うべき基本です。パウロがテモテに命じた守るべき基本を崩そうとする勢力に対しては、霊的な戦いを避けることができません。牧会者は柔和で謙遜であるべきですが、いのちを守るためには戦士とならなければなりません。
パウロは、聖徒の生活に対する指針も、実質的、具体的に教えています(2:8~15;5:1~6:2;6:17~19)。教会の役職の中で、当時テモテがまかされた監督、そして執事がどのようなリーダーシップや品性を備えるべきかも教えています(3:1~13)。テモテへの手紙第一で言及した「監督」と「執事」の徳目を、現代の教会の多様な役職に一つ一つ合わせて律法のように適用することは賢い方法ではありません。当時の役職と今日の役職の名称が同じだからといって、むやみに同一視してはなりません。クリスチャンに必要な品性や姿勢とは何かを念頭に置いてその内容を読めば、納得がいくでしょう。良い牧師、立派な長老、真実な執事になるためには「良いクリスチャン」になることが基本です。パウロが手紙を結ぶにあたって、重ねて頼んだ、すべての霊的な指導者がしっかりと肝に銘じておくべきことなのです(6:6~16, 20~21)。

テモテへの手紙 第二、老いた使徒の遺言
テモテへの手紙第一が共同体としての教会を念頭に置いた文章ならば、テモテへの手紙第二はもう少し個人的な内容が書かれています。教会の共同体のためというより、霊的指導者テモテのために書き記したと言っても過言ではありません。牢から二度と出られないと感じたパウロが記したテモテへの手紙第二には、老いた使徒の遺言ともとれる悲壮感が所々に感じられます(4:6)。テモテはパウロがこの世を去る前に是非とも会って遺言を伝えたいと願う実の子のような存在です(4:9, 21)。
メンターのパウロが強い信念を持った情熱家なら、メンティーのテモテは小心者だったようです(Ⅰテモ 4:12、Ⅱテモ 1:4参照)。ですから個人的なアドバイスも、「健全な教訓」に対する頼みも繊細で忠実に表現されています。生涯使徒の道に忠実だったメンターの、心のこもったアドバイスに込められた心情を感じ取ることが、論理的に内容を把握するのと同じくらい重要な手紙です。

 

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