未来への声

   教会から新しいカルチャーを!
 
音楽伝道者 ● 久米小百合


1981年にバプテスマを受けて20年以上キリスト者として歩ませていただいています。今日までの日々はけっしてバラ色でもなく、かといって色の無い無味乾燥とした白けた毎日でもなく、クリスチャンでなければ味わうことのできない喜びや涙の毎日でした。そして、霊的には赤ちゃんだった私をなんとかティーンエイジャー(?)ぐらいに育ててくれたのは、多くのクリスチャンの先輩たち、そして愛する教会の兄弟姉妹たちであったと思います。もちろん、日ごとのデボーションでみことばをいただき、祈りのうちにさまざまなことを示して下さるのは神ご自身です。しかし、私たちはたった一人で祈り、聖書を調べていれば良いわけではありません。神様は私たちクリスチャンが共に祈り合い、助け合うことを望んでおられます。クリスチャンの方の中には、「イエス様は好きだけど教会やクリスチャンの交わりは苦手です。一人で静かに信仰していたいのです」という方が結構います。同感できるところもありますが、教会の将来はどうなってしまうのでしょう。「一人大好きクリスチャン」が増えれば増えるほど、教会は形式だけのキリスト教社交場、奉仕の当番に出向くだけのところ、せいぜい礼拝用の仮面をつけてキリスト者を演じる舞台というところでしょうか。結局、楽屋というわが家や世俗に戻って来た時の方がホッとするという本末転倒が起こります。あるカトリックの司祭にお会いした時にとても良いお話をうかがいました。「プロテスタントの人たちは素晴らしいよね。よく聖書研究をしているし、伝道にも礼拝にも熱心だね。だけど疲れてしまったり、奉仕が義務になったりしてはいないかな。」その司祭はイエス様の大きなご愛をまず感じること、感謝すること、それが信仰生活のスタートであることを教えて下さいました。歯科矯正のように、どこかをしばったり無理に形を整えるのではなく、このままの私が受け入れられ、愛されていることを再確認するというのです。もっと肩の力を抜いて、幼子のように喜んで御前に集い賛美を捧げ、金額自体は多くても少なくても精一杯の捧げものを携えて出かけていく礼拝、素敵ではないですか。人間的な一生懸命ではなく、神様の方が私たちの想像をはるかに超えて一生懸命に私たちの生きる道を備えて下さった、それが十字架だと思います。もはや一生懸命なんていう薄っぺらい言葉では言い表せないほどの神様の壮絶な決心、イエス様の流された血潮と等価なものはこの世界にはありません。私たちが数日かけて準備したり努力を払ったりするレベルの責務とは比べ物にならないのです。だからこそ、礼拝はただただ「ありがとう」なのですね。私やあなたが、○○をする教会ではなく、神様がなして下さるサービス=礼拝だから私たちは招かれて毎週出かけていくのです。もっと嬉しい顔で、一番好きな服を着て、靴の汚れを払って、礼拝に行きたいものです。もちろんジーンズにスニーカーでも構いません。私たちが私たちらしいスタイルでもっと礼拝を楽しんで良いのだと思います。さて私たちが現在親しんでいる音楽や美術の多くはキリスト教会の礼拝から生み出されたものです。ジャズやロックの原点も黒人霊歌を経てクラシック音楽にたどり着きます。さらに中世、それ以前の教会音楽まで遡ることができます。またルーブルやウフィッツィなどの世界的に著名な美術館を歩かれた方は、その作品の多くは聖書の物語であることをご存知でしょう。また教会建築そのものも素晴らしい感動を与え、ステンドグラスに差し込む光を通して、御国に想いを馳せるのは中世の旅人ばかりではないでしょう。古くから教会は福音を伝えるために、さまざまな芸術を生み出してきました。アートばかりではありません。信仰によるいやしの祈り、神が与えられた自然の草花から良薬を開発し医療や農業の実践の場としても人々の心の拠り所でした。教会は最先端のカルチャーの発信地だったのです。いつの頃からか、教会が世の文化を習うようになってしまいました。福音というアートも世俗の流行りで薄めて調整するような傾向なのが残念です。バッハが「聞く聖書」と言われたマタイ受難曲を作曲したように、またミケランジェロが大天井に壮大な神と人の物語を映し出したように、この現代にも真っ直ぐで大胆なクリスチャンアートが世界を牽引することを夢見ています。

備考:久米小百合のミニストリー、Mission Photosは教会から新しいカルチャーを発信することを願って1994年からスタートし、音楽、美術、詩の朗読、教会でのエキシビジョン、チャリティなどをプロデュースしています。



久米小百合
東京生まれ。共立女子短期大学文科卒業。東京バプテスト神学校神学科修了。1979~84年、久保田早紀として音楽活動。1985年音楽家・久米大作氏と結婚。久保田早紀としての音楽活動を引退。以後は主にキリスト教会やミッションスクールを中心に、教会音楽家として、音・言葉・絵画を組み合わせた新しいスタイルのチャペルコンサートを行っており、賛美の世界に奥行きと創造性を持たせるものとして高い評価を得ている。日本聖書協会親善大使。ワールドビジョン・アソシエイトアーティスト。ゴスペル音楽院講師。



 

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