札幌キリスト福音館 主任牧師 ● 三橋恵理哉
ずーっと1%は主のあわれみ!? 私たちは、これからの日本の宣教、リバイバルの姿、教会の進む方向をどのようなイメージで見ているのでしょうか。私には日本の教会が「互いに愛する教会」になる姿で映っています。世界宣教においても「互いに愛し合う」橋渡しをする役割だと思っています。 どの時代にも、その時代の役割があります。またどの国、民族、文化圏の人々にも、固有の役割と神のタイミングがあります。日本のクリスチャン人口が、ずーっと1%だというのもすごいことだと思います。途中3%になったとか5%になった時期とかあって、今は1%ですという状況でもありません。日本も確かに、主の御手の中にあることを覚えます。おそらく、これは日本が高ぶらないために、また整えられて用いられるための主のあわれみなのではないでしょうか。
世界宣教の最終秘密兵器 日本は神様の目から見たら、世界宣教の最終秘密兵器のような存在かもしれません。野球で言ったら、クローザーのような役割です。キリスト宣教の歴史では、先発ではなかったし、中継ぎでもありません。宣教の表舞台にはほとんど立っていませんが、主があたためてきました。神様のご計画の中では、つながっているアジアの諸教会です。日本もその出番が来たのかなと感じています。 現代は人々がダイナミックに移動する時代です。その最前線に日本人がいます。日本人が住んでいない国はないほどです。世界宣教の現場では、日本人だから入って行けるところがあります。日本は受け入れる文化ですし、いいとこ取りができるメンタリティーで、周囲と溶け込むことを得意としています。そこには、日本人だから関われる要素が大いにあります。相手が生かされるために用いられるのが日本のクリスチャンの役割ではないでしょうか。これらのことを自覚しながら、私たちの意識も変えていきたいものです。
世の中に対する教会の役割 私たちクリスチャンは、日本ではマイノリティ意識が強く、パブリック(公共的)認識が希薄だったかもしれません。 日本のクリスチャン人口は1%、なんとかしなければと言われて数十年経ちます。案外1%の現状に慣れて、困っていないかもしれません。99%もの人たちが未信者であることに危機感をもっているわけでもありません。教会内のことや教団内部事情では頭を悩ませています。私たちの関心事や焦点、また信仰者としてのエネルギーも内向きだったかもしれません。まず自分たちがきちんとできなければ、外には証しができないとの意識が強く、やっぱりうちに引きこもりがちです。 しかし、クリスチャンが持つ本来の姿は、ありのまますべてをオープンにし、明らかにできるところにあります。そこに主のあわれみと恵みがあらわされます。世の中の人々はクリスチャンの誠実さに期待しています。成功例もいいですが、お互いの弱さ、問題をオープンに分かち合い、神の家族として受け止めていく姿は世の中に対する光となります。
日本に合う宣教スタイルを求めて ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、キリスト教国ではないところでキリスト教国の発想で宣教していても伝わりません。つまり、宗教心の篤い日本人に対して白か黒か、対決姿勢で臨んできてしまったということです。それは偶像礼拝ですと全否定してしまう前に、本物(創造主)を提示することが大事です。日本人が大切にしているものを軸にしながらの宣教が問われています。葬式やお墓とかの取り組み(例:地域教会が共同で墓地・霊園をつくる等)は優先事項です。 これまで教会の働き人というと、フルタイム献身者をイメージし養成してきました。しかし、日本のことを思うと自給自足のテント・メーカーが主流になる方向です。それは経済的必要よりも地域の人と関わるため、仕事をしている人と自分も同じ仕事をしながら関わり宣教するためです。99%の人に届く宣教と生活の中での生きた信仰がモデルとして提示されるためです。 みことばはもちろん重要ですが、本来それは研究するためのものではなく、生きるための糧です。いつしか信仰生活が釈義中心、“おことば”信仰になってしまい、机の上のキリスト教、頭の中の信仰になりがちです。今一度、面倒くさいけれど互いに関わりあうために椅子から立ち上がりましょう。「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」イエス様の姿が日本の宣教スタイルです。私は今の時代、日本人として生かされていることにワクワクしています。チャレンジすることが多く、主に頼るしかないからです。
三橋恵理哉(みつはし えりや) 1957年長野県軽井沢生まれ。北星学園大学社会福祉学科卒業。エマオ聖書学校(シカゴ)、International Theological Seminary(ホノルル)にて学ぶ。1982年 よりハワイにて邦人伝道に従事。Inter-national Japanese Christian Churchを立ち上げる。2005年帰国し、現在札幌キリスト福音館主任牧師、栗沢チャペル、ちくごキリスト教会(福岡県)兼牧。アンテオケ宣教会主事、いのちありがとうの会理事、B.F.P.Japan理事。
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