小さないのちを守る会 代表 ● 水谷潔
性についての正解発表 あるクリスチャン女子大生が友人たちの前で、結婚までは性関係を持たないことを公言したそうです。その場では友人たちから嘲笑を受けてしまいました。しかし、後日、何人かの後輩たちから届いたのは、謝罪や賞賛の連絡。「あの時は笑ってしまってごめんなさい。先輩と同じ意見なのに言えなかった自分が恥ずかしいです。」「私はクリスチャンではないけれど、それが本当だと思います。人を恐れず自分の考えを言える先輩を尊敬しました。」 私たちは孤立を恐れるあまり、「聖書的正解の発表」を躊躇しすぎているのかもしれません。たしかに、多数派の賛同を得るとは限りませんし、一時的には嘲笑の的となることもあります。 しかし、神様は少人数であっても、そうした「聖書的正解」を必要とし、心の底で求めている未信者を私たちの周囲に置いて下さっているのです。現代の恋愛と性のあり方に疑問を抱き、本物を求めている未信者は少なくありません。だからこそ、恋愛や性についての「聖書的正解発表」は、今や最もインパクトのある証しとなっているのです。
いのちについての正解発表 そのことはいのちの問題についても同様でしょう。最近、韓国が自殺率世界一位になったと聞きました。急速な近代化、過度の競争社会、著名人の自死の影響など社会的要因が指摘されているようです。スポーツの世界ではなく、最も不名誉な記録で世界一、二を争っている韓国と日本です。しかし、こうした社会だからこそ、両国のキリスト教会の使命は大きいのだと思います。 なぜなら、「いのちの聖書的正解」を持っており、それを発信できるのはキリスト教会だけだからです。受験失敗、失恋、失業などで生きる意味を見失った人々、苦痛に満ちた人生の中、自らのいのちを絶つ事を考えざるを得ない人々が、「いのちの聖書的正解」を必要とし、求めています。 「いのちは神様の似姿が刻まれているから神様のもの、神様からあなたに託されたもの、自分のものでないからこそ大切にして欲しい!」「能力・所有・実績など価値があるから愛されているのではない。神様から愛されているから、あなたの存在自体に価値があるのです!」「あなたのために神が人となり、いのちを捨てられました。あなた一人のいのちは地球より重く、神様のいのちと同じ重さなのです!」 こうしたメッセージを確実な根拠をもって、強力に発信しうるのはキリスト教会だけでしょう。このことは大きなリバイバルを経験した韓国も、クリスチャン人口が1%にも満たない日本も同様ではないでしょうか。 さらにそうした社会において、生命軽視の最大の犠牲者になるのは胎児たちです。一つの社会の生命観は、その社会における人工妊娠中絶のあり方に端的に現れると私は考えています。ですから、人工妊娠中絶の問題についてもタブー視することなく、愛の配慮をもって聖書からの正解を発信し、実現することは、両国において大きな福音の証しとなることでしょう。
今こそ自信をもって正解発表! 「教会は答えを持っているが、問題が分かっていない」。ある牧師が日本宣教の課題をこう指摘されたそうです。私たちは正解を持っていながら、未信者の必要や求めの切実さについては無知・無関心なのかもしれません。また、クリスチャン自身が正解を過小評価していることもあれば、それを伝えるための「信仰の勇気」に欠けていることもあるでしょう。 とりわけ、いのちと性の分野においてその尊厳を見失い、混乱と苦悩の中にある現代社会です。こうした社会だからこそ、聖書からの「自信をもって正解発表」が有効で、力強い宣教につながっていくのではないでしょうか。 そうです。今こそ、それぞれの遣わされた場所において自信をもって正解発表をしようではありませんか。
水谷潔 小さないのちを守る会代表。1961年愛知県生まれ。22歳でイエス・キリストを信じる。高校教師を経て献身。神学校卒業後、母教会での10年間の働きを経て現在の使命に再献身。中絶防止を願い、具体的な働きと共にいのちと性の尊厳について様々なメディアを通じて発信している。著書に『チョット聞けない男女のおはなし』『ヤンキー牧師の“必笑”恋愛塾』など。小さないのちを守る会サイト http://www.chiisana.org
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