|
日本の教会の未来を見つめて
|
クリスチャンの人間関係 |
|
世界救護宣教会 総裁 ● ゴードン・マクドナルド
指導的な立場にあると、扱いにくい人々に出会うことがあります。クリスチャンのリーダーであるなら、「誰もが親切で協調性があるだろう」という期待をします。しかし現実は、あなたを嫌う人がいたり、「自分の考えのほうがすぐれている」と言う人に出会います。そして、人間関係を円滑にするために、莫大な時間を費やすようになります。人々をどのように一致させるか、個性の違いをどのように調和させていくかはリーダーシップにとって最大の難題です。 人間関係をイエス・キリストほど理解しておられた方はほかにいません。イエスはこのように言われました。「あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハ 13:34)。イエスは「新しい戒め」と言われましたが、では「古い戒め」とはどのようなものでしょうか。古い戒めには、「あなたが私に悪いことをするなら、私はそれよりもひどいことをしてやる」という復讐の考えが含まれています。人間にとって復讐はごく普通の考え方です。しかし、イエスは「愛し合いなさい」と言われました。この愛とは、自分以外の人のために命を投げ出すことです。もし、私があなたに命を差し出したのならば、私にとってあなたのすべてが尊いものになります。私はあなたを大切扱い、二人の関係にとって障害となるものは排除することでしょう。いつもあなたをほめ、あなたに問題があっても必ず赦すことでしょう。そして、神にあってあなたが最大限に成長できるように願うことでしょう。イエスの言われる新しい戒めとはこのようなものなのです。 十二弟子は、生まれ育ちもよくなく、荒れくれた男たちでした。しかし、イエスは彼らに世界の教会の未来を背負わせました。「愛」は人格をつくり、育てるものです。イエスはどのように弟子たちを愛されたのでしょうか。イエスは弟子たちを「選ばれ」ました。選ばれた基準は、外見や性格ではなく、心にある「可能性」でした。目の前にいる人の今の姿を見て、さばかないでください。これから将来、彼らがどのように成長して変わるか、それに目を留めてください。その人が神の愛を体験するならば、どのように変わっていくかということを考えてください。このようなビジョンを神に祈り求めてください。子どもができると、自然とそのような目で子どもを見ます。私の子どもがまだ幼い時には、子どもに欠点や問題があっても愛しました。そして、子どもの将来の姿をビジョンとして持っていました。今、そのビジョンが現実のものとなり、私たちの子どもは成長し、結婚して、それぞれの道を歩んでいます。 また、イエスは弟子たちのそばで、愛とはどのようなものか、そのモデルを示されました。弟子たちは、イエスが足の不自由な人や取税人や遊女を愛する姿をそばで見ていました。日々、イエスは愛の手本を示されたのです。また、時間のあるごとにイエスは心を開き、真理を語られました。真実を指摘され、弟子たちの間違いを正されました。また、イエスは弟子たちに忍耐深く接しました。弟子たちが何度過ちを犯しても、イエスは弟子たちのもとに来てくださいました。十字架で弟子たちがイエスを見捨てた後でさえも、イエスのほうから弟子たちのところに来てくださったのです。 ガリラヤ湖畔でイエスはペテロに会ってくださり、「わたしを愛しますか」と聞かれました。「あなたは何度もわたしを裏切っている」とも「あなたのことは諦めて、別の弟子を選ぶ」とも言われませんでした。「わたしを愛しますか」と聞かれたのです。聖書に記されている最も美しい場面です。そして、これは私のような者にも大きな希望を与えてくれます。イエスがペテロを連れ戻されたのならば、私や皆さんをも連れ戻してくださいます。また、主はほかのクリスチャンを連れ戻すように私たちに命じておられるのです。これが、イエスが弟子を愛したその愛の形です。主が私たちに命じられる愛し方とは、このようなものです。 私は28歳の頃、600人ほどの教会で仕えていたことがあります。前任の牧師が多くの間違いを犯したため、信徒たちは大きな怒りと不満を抱えていました。どのように和解と一致、そして調和を作り出せばよいのだろうかと悩んでいた私たち夫婦は、愛を示すことにしました。その一つとして、信徒全員をわが家の夕食に招待しました。600人の信徒を30人ずつのグループに分け、毎週木曜日に順番に招待しました。食事とゲームを一緒にした人々は、帰宅する頃には互いに愛し合っていました。2年もすると教会には徐々に調和が戻ってきました。心が荒れた人々がもう一度愛し合うことを学んだのです。これは誰にでもできます。最も重要なことは、人々があなたに愛があるのを見ることです。そのようにすることで「あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい」というみことばを実践することができるのです。
本内容は日本CGNTV、オンヌリ祝典「リーダーシップのピープルコネクション」(2009年1月29日)を一部抜粋し、要約したものです。
ゴードン•マクドナルド(Gordon MacDonald) アメリカIVF代表を歴任。デンバー神学校前総長。マサチューセッツ州グレイスチャペルで40年以上に牧会をしてきた。また、ベテル神学校やゴードンコネル神学校などで教鞭をとり、トリニティ・フォーラムの選任研究員として40年近く著述及び講演活動を行う。現在、Leadership Journalの編集委員であり、世界救護宣教会(World Relief)総裁を務める。
|
|
|
|
|