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信仰、ヘブル人への手紙11章 ④

アブラハムの信仰

アブラハムの信仰

オンヌリ教会主任牧師 ● ハ･ヨンジョ

「信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました」（ヘブ 11:8）。
アブラハムは相続財産を受け取る地へと従順に出て行きましたが、その行き先は知りませんでした。アブラハムの信仰も、やはりノアと同じ無条件に神のことばに従う信仰です。行き先も知らされずに家から出ろと言われて、とりあえず出たのです。信仰とは、行けと命じられれば行くことです。では、アブラハムの信仰を詳しく見ていきましょう。

アブラハムの信仰
一つめに、信仰とは召しへの答えです。呼ばれたら、聞こえないふりをするのではなく、返事をしてください。神はメッセージや祈り、みことばを通して私たちの心にふれられます。メッセージを聞きながら「誰かが私のことを牧師に言ったのかしら」と思うことがありませんか。別に特定の誰かをあげて説教したり祈るのではありません。牧師の心に聖霊の感動が起こされて説教し、祈るのです。これは神がなされることです。神はアブラハムを召され、アブラハムは神の召しに逆らいませんでした。
愛する聖徒の皆さん、神の召しに逆らわないで、理解ができなくてもそのまま受け入れてください。そうすればそれが祝福になります。創世記12章1節でアブラハムが出て行ったのはどのような場所でしょうか。親や親戚のいる住み慣れた故郷でしょうか。信仰とは、出て行くことです。得意なことや慣れていることから離れてはじめて信仰が始まります。自分にできることなら自分でやればいいのです。神に拠り頼む理由がありません。しかし、これでは信仰は生まれません。神が導かれる未知の地へ行ってください。このような意味で、信仰は従順なのです。見えない、聞こえない、触れられない、それでも神のみことばだけに耳を傾けて従うのです。信仰とは冒険であり、チャレンジであり、試練です。信仰のある人の顔には緊張感があり、チャレンジ精神で満ちています。
二つめに、信仰とは異国で旅人のように住むことです。
「信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに天幕生活をしました」（ヘブ 11:9）。
信仰とはレンガ造りの家ではなく、天幕に住むことです。いつも移動するのです。この地で永遠に暮らすかのように、王国を作ろうとしてはなりません。いつでも去ることのできるように、一晩寝て発つ旅人のように、身軽にかまえておくのです。金銀財宝や世のもので身を囲ってしまうと離れることができません。所有物が多ければ多いほど、気になります。皆さん、家が火事になったら何から持って逃げますか。タンスを背負って逃げますか。そのようなものはみな燃えるにまかせるほかありません。より大事なものをしっかりつかんでください。信仰の生活というのは住み慣れた場所に住むのではなく、旅人として他国人として住むようなものです。それは外国で住むのと同じです。10年、20年、外国で博士号を取得して研究しながら暮らしても、結局外国は外国です。故郷には帰りたくなるものです。それが宣教師の生き方ではないでしょうか。最初に異邦人として住まれた方がイエス・キリストです。主は天の御国におられたのに、人類を救うために人間の肉体でこの世に来られました。
イエスはどこにも留まりませんでした。「ここに住みたい」とも言われませんでした。イエスは目的志向の方でした。目的通りに生きられました。外国人として生きるというのはさびしく、孤独なものです。アブラハムの場合も同じでした。最も住み慣れた故郷の地、家族や親戚の住む地を離れて、行き先も知らない地へ旅立ちました。信仰は旅です。国も人も文化も違う地への旅です。しかし、そこは約束の地であり神が示された地です。アブラハムは異邦人たちの住む地へと導かれました。不安だったことでしょう。しかし、アブラハムの信仰に見られるのは一つです。そのような不安のうちにアブラハムは神の約束を見出しました。神の約束があったので、異国の地、明日死ぬかもしれないそのような地に住みながらも、心には平安がありました。

不可能を可能にする信仰
三つめ、信仰とは約束を受けることです。
「彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です」（ヘブ 11:10）。
信仰とは約束であり、未来であり、祝福です。たとえ今、手に何もなくても、信仰によって前進すれば約束は成就され、乳と蜜の流れる地へと行き着くのです。信仰がなければ希望もなく、夢も未来もビジョンもありません。ただ絶望や孤独、寂しさだけがあります。そのため、多くの人々が年を重ねるにつれて人生のむなしさを告白するようになってしまうのです。
四つめ、信仰とは不可能を可能にします。
「信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約束してくださった方を真実な方と考えたからです」（ヘブ 11:11）。
信仰は絶えず不可能なことにさらされ、絶望の真ん中にあります。100歳のアブラハムと月経の止まった90歳のサラに妊娠が可能なのでしょうか。なぜ神はここまで彼らを導いて来られたのでしょうか。世の人々が「絶対に子どもは産めない」と言い、サラも「もうあきらめよう」という年齢の時に、つまり自他共に不可能だと思ったときに神が働かれました。イサクが生まれたとき、人々は何と言ったでしょうか。アブラハムにその力があり、サラが元気だったから生まれたとは言わず、神がこの子を特別に与えられた理由があると認めたのです。
私たちにはこのような信仰がなくてはなりません。私たちがこの世に生まれたのは、数多い男の中の一人と、数多い女の中の一人が出会って偶然生まれたのはありません。私たち一人一人は高価で尊い存在なのです。一人一人に特別で、変わらない、かけがえのない使命があります。神の約束のある信仰は不可能を可能にします。約束があれば、死んだ人も生き返ります。たとえ、1万の口が私にあっても神が私にくださった恵みや約束、祝福を語り尽くすことはできません。皆さんが信仰の人になりますように。信仰によって生き、皆さんに与えられた約束が成就され、神の恵みが溢れますように祝福し、祈ります。

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