|
キリストの証し人として
|
無牧教会からの手紙① |
|
無牧教会からの手紙①
無牧教会、そこには礼拝があります。交わりもあります。しかし、牧師がいません。 多可クライストチャーチ 兵庫県にある多可クライストチャーチは、無牧教会の形態の一つである家の教会です。宮内廣文さんのご家族は全員が救われました。しかし、教会が必要でも教会がなく、教会があっても教会が遠くて行けない特別な事情がありました。そのため、宮内さんの家は、やむえず牧師のいない家の教会を始めました。順番にみことばを朗読し、賛美をし、集会が終わったらブドウジュースとパンで聖餐式を行います。「家族全員が救われたこの家の役割は、この地域での父の御心を行う家、親族や近隣の地域に輪を広げていくことではないだろうかと考えています。そのためには、私たちの生き様、姿が一番大事です。ですから、決心と志を新たにしてやっていきたいと思っているところです」と宮内廣文さんは語ります。最初に救われ、この場所に福音を宣べ伝えた娘の濱田千恵子さんは牧師になりました。そして、濱田先生ご夫婦は、教会のない故郷に帰って来て、この地域の人たちの救いのために教会を開拓する計画があります。 日高キリスト教会 北海道沙流郡にある日高キリスト教会は、5年間無牧教会でした。牧師がいない間、信徒たちは祈りと奉仕で教会を守ってきました。牧会者がいない間、信徒たちはいかに牧師がいることが感謝なことかを知りました。「牧師を与えてください」と祈り求め、5年目に東京から下川牧師夫妻が来ることになりました。主に信頼して祈り続けると主は本当に答えてくださるということを経験しました。下川牧師は、19年間牧師として牧会をした後、18年間神学校で教師として学生を教えました。定年後は無牧教会に行くことを決めていました。5年間、牧師が不在であったのにもかかわらず、日高キリスト教会は荒れ果ててはいませんでした。小さいけれどもみな心を一つにしてまとまっている教会でした。しかし、すべての無牧教会が日高キリスト教会のように牧師を求めているわけではありません。また、すべての牧師が下川牧師のように無牧教会に行くことができるわけではありません。下川牧師はこのように言います。「口では無牧教会だから牧師に来てほしいと言いますが、牧師が来ても大変で、支えられないという気持ちもあります。また、あまり祈っていない教会もあります。熱心な祈りがまだ足りないようにも思えます。無牧教会はもっと祈るべきだと思います。」 牧師を迎えて一番の大きな祝福は、家族に伝道ができるようになったことです。信徒の中林冨美さんはこのように証ししています。「教会に牧師がいなかったので、友だちや親を安心して連れて来られませんでした。毎週いろいろな先生が来るときは、90歳近い義母を誘えませんでしたが、下川先生が来られたときは、義母に『教会に行ってみませんか』と声をかけることができました。母が来てくれた朝、先生が笑顔で迎えてくださったので、義母もとても先生が気に入り、洗礼を受けました。そして、天に召され、召天式は先生の司会のもと行うことができました。」その後、中林さんのご主人も教会へ来るようになり、洗礼を受けました。同じように、他の信者のご主人たちも教会に来るようになり、洗礼を受けました。「教会があって牧師先生がおられるために、私たちも落ち着いた信仰生活ができ、主を見上げています。ですから、それを地域の皆さんに宣べ伝えたいです」と日高キリスト教会の信徒は言います。牧師がいなかった5年間、失われた羊を見つけ、教会に連れて来たくても連れて来ることができませんでした。その経験から、その痛みがわかるようになりました。 現在、日本には約8千の教会があり、そのうち無牧教会は千ほどあると言われています。クリスチャンの60%以上が高齢で、教会学校の数も減り続け、牧会者として献身する神学生も少ないため、無牧教会の数は年々増加傾向にあります。無牧教会の根本的な解決のためには、信仰養育プログラムの開発、積極的な牧会者の献身、次世代を担う神学生の育成が不可欠です。そのような中で、多くある無牧教会にCGNTVのアンテナを設置することは、牧師のいない教会を助けるよい事例となりました。CGNTVが直接羊を養い、世話をする牧師の代わりはできません。しかし牧師のいない教会にとって、CGNTVは霊的な渇きを満たすための、よい友になることができます。
無牧教会のために 無牧教会が増えるにつれて、心を痛め、何とかしなければと立ち上がった牧師たちがいます。その中の一つに北海道地域の牧会者たちの集まり「北海道クリスチャンミッションネットワーク」があります。 札幌福音自由教会の鍛冶勉牧師は、北海道クリスチャンミッションネットワークをこのように説明しています。「このネットワークは2年半ほど前にできました。北海道で、神の国を広げるために互いに愛し合うということを実践するネットワークです。無牧教会に人的支援、礼拝や伝道集会、音楽についての支援をしたいと思っています。牧会者がいないと、聖書を正しく学び、人を育てていくということも難しいと思います。また、新しい人が来られたときに、みことばを正しく伝え、その人を育て、決心に導く、それも牧師がいないと大変ではないでしょうか。一人でも多くの人々が救われ、主の弟子とされるという大宣教命令を実行したいのです。そのような思いの中で、困っている教会に助けを伸べられたらと願っているのです。」また、札幌キリスト福音館の三橋恵理哉牧師は「まず、牧師のいない教会に協力可能ですという先生方や教会に登録していただき、無牧教会の人たちに、謝礼なしで交通費も自費で出して行きますと申し出ます。どの先生を呼ばれるかは皆さんに決めていただきます。今、無牧教会に出かけて行ける方たちのリストを作成しているところです」と説明しています。 ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の峯野龍弘牧師は、互いに励まし合うことの重要性を説明します。「無牧教会のために献金していただき、伝道してお助けしたことがあります。何よりも力になってくださる方がいる、またそういう人たちが来てくれたと知るようになると、無牧教会の方たちは自分たちには牧師がいる、自分たちは小さい2、3人だと思ったけれど、10、20人の教会関係者がいるという気持ちになっていきます。このようなことはとても意味あることだと思っています。」 また、大和カルバリーチャペルの大川従道牧師は、無牧教会でも心配はないという信仰を持つことが重要であると言います。「なぜならば、その群れがどんなに小さくても、聖書は2、3人いればその真ん中にイエス様がいらっしゃると語っています。イエス様が羊飼い、牧者であるということを自覚すると心が平安になります。私の気持ちとしては、やはり良い牧者がいたらいいのにという痛みがあります。メンターやコーチ、アドバイザーなど、そのような人たちを持つこと抜きに教会を建てあげることは危険が伴います。ですから謙遜にそういうお助けをしてくださる先生との関係を持つこと、教会との関係を持つことをお勧めします。」 下川牧師は、若い人たちや定年退職する方に、町ではなくて田舎に行くように励ましています。「今、歳をとって牧師が死んでいくのに、若い牧師が足りません。このままだと無牧教会はもっと増えるからです。」 定年退職された後、無牧教会を訪ねた下川先生、そして受け入れた教会。彼らは一つ、また一つと無牧教会へと変わっていく日本の教会に明るい未来を見せてくれます。「無牧教会は牧師を迎えるために失望しないで祈り続けてください。そして是非、近くの教会に助けや交わりを求めるようにしてください。孤立して、寂しい思いをしないでください。教会はみな、手を伸ばしたいと思っています。私たちからも手を差し伸べたいけれども、無牧教会も是非近くの教会と交わりをするように努力してほしいと思います」と下川牧師は願います。 天のお父様。羊のためにいのちをお捨てになり、良い羊飼いとなられたイエス様のように、私たちに正しく羊を導く羊飼いを送ってください。この地の教会を岩の上に揺るぎなく立ててくださり、この地の暗やみが教会の十字架の光で覆われるようにしてください。日本の地に聖霊の風が吹き、リバイバルが起こされますように。イエス様のお名前でお祈りいたします。アーメン。
本特集の内容は日本CGNTVエンターテーメント「羊飼いを待つ羊」(2009年11月3日)に基づいています。
|
|
|
|
|