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信仰、ヘブル人への手紙11章 ③

ノアの信仰

ノアの信仰

オンヌリ教会主任牧師 ● ハ･ヨンジョ

信仰の人々
聖書は信仰の人々を例にあげて、信仰について説明しています。信仰は広範囲なものなので、ある断面だけで判断することはできません。そのため、ヘブル書11章はさまざまな信仰の人を登場させ、それぞれの信仰の特長を説明しています。これをみな合わせると信仰の全体像が浮かび上がってきます。
ヘブル書11章が最初に示す信仰の人はアベルです(ヘブ 11:4)。アベルは信仰によって神に義とされました。アベルの信仰は礼拝でした。アベルはまことの礼拝をささげ、子羊の血のささげものをし、神から義と認められました。このことは、信仰の基礎が礼拝であることを教えてくれます。礼拝を通して義とされること、血のささげものを通して義とされることが信仰です。私たちは罪人でしたが義とされました。
次はエノクです(ヘブ 11:5)。エノクは信仰によって神を喜ばせる者となりました。イエス・キリストの血潮で救われ、義とされることが信仰の最も大切な基礎です。そして、自分を喜ばせるのではなく、神を喜ばせる信仰がなくてはなりません。エノクは神と300年間ともに歩み、死を見ずに天に上げらました。
皆さんの信仰が整えられることを願います。みことばを読んでください。信仰の基礎は私たちが義とされることです。エノクの信仰は神を喜ばせました。信仰があってこそ神とともに歩み、神と完全に一つになることができます。それによってエノクは死を見ずに天にあげられたのです。何をしていても神を喜ばせてください。仕事がなくても神を喜ばせることはできます。歩く時も寝る時も神を喜ばせてください。皆さんがこのような信仰を持つことを願います。

ノアの従順
ノアの信仰について見ていきましょう。ノアの信仰とはどのようなものでしょうか。簡単に言うと、不可能な命令に従い、奇蹟を起こした信仰です。アベルやエノクの信仰を理解するには、よく考え黙想しなければなりませんが、ノアの信仰は一般的に私たちが考えている信仰に少し近いものです。私たちが信仰について語るとき、できないことをできるように、ないものをあるように、不可能を可能にし、死んだが生き返ったと話します。ノアの信仰を通して、私たちは不可能なことが可能になるのを見ます。
「しかし、ノアは、主の心にかなっていた」(創 6:8)。
聖書には、世は堕落しているのに、ノアだけは主の心にかなっていたとあります。友人はみな堕落しているのに、自分だけがきよくいるのは、実に難しいものです。
「これはノアの歴史である。ノアは、正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった。ノアは神とともに歩んだ」(創 6:9)。
9節では、ノアについて3つの表現がされています。「正しい人」「全き人」「神とともに歩む人」です。ですから、ノアは神の御声を聞くことができました。今も心のきよい人には神の御声が聞こえます。しかし、心が汚く醜い人には神の御声が聞こえません。ノアはその時代の義人であり、全き人でした。ですから、ノアは神のかすかな御声も聞くことができたのです。

さばきを告げる神
神の御声とはどのようなものでしょうか。
「そこで、神はノアに仰せられた。『すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい」(創 6:13～14)。
歴史の終わりには、神は必ず神の人を通して語られます。ソドムとゴモラが火のさばきを受けたときも、あらかじめ神は語られました。これから地球に終末が来るときも、神は聖なる教会と聖なる預言者たちを通して語られるでしょう。さばきは延長されません。時が来れば、実行されます。神はノアを通して歴史のさばきを前もって語られました。問題は、この警告のラッパ音を聞く耳があるかどうかです。この警告の音を聞くことができなければ、みな滅んでしまうのです。
ノアは「この地にさばきがくる」「箱舟を造れ」という御声を聞きました。ところが、この箱舟は全く見たことも聞いたこともないものでした。誰でも自分の知っているものは簡単に造ることができます。しかし、全く知りもしないものを造るのは非常に大変です。箱舟というのは想像すらしなかったものでしょう。しかし、ノアは「アーメン」と答え、実行しました。ノアはよくわからないことを、どのように説明したのでしょうか。聞いた人はきっと驚いたことでしょう。箱舟の大きさもたいへんなものです。聖書には長さ3百キュビト、幅50キュビト、高さ30キュビトと記されています。メーター法に直すと、138ｍ、23ｍ、14ｍです。サッカー競技場ほどの大きさです。しかも、海辺ではなくアララト山の頂上に造れと言うのですから、これは気を失ってもおかしくないことです。
山の上に造った箱舟
神は船ではなく箱舟を造りなさいと言われました。船は動力があり航海ができますが、箱舟は前後がなくただ浮いているだけです。帆も舵もなく、ひたすら水の流れるまま波打つままに動くだけです。この船を動かされる方は神であるという信仰がなくては、船を運航することはできません。
このような箱舟を造れと言われ、いくら神の御声とはいえ「アーメン」と答え、取りかかることができるでしょうか。私たちはここでノアの信仰から学びます。ノアは最後まで神のみことばとその御声を信じて疑わず箱舟を造りました。これがノアのすばらしい信仰です。
私たちはイエスを信じ、救われ、信仰生活をしてはいますが、信仰は常識的なレベルに留まっています。信じられること、理解できることだけを選んで信じています。信じられないことは信じるふりをして信じません。しかし、まことの信仰は信じられないことを信じることです。奇蹟を信じ、復活を信じ、天国を信じることです。理性では理解できないことも、信仰によって理解できます。
「信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました」(ヘブ 11:7)。
7節でノアの信仰をより詳しく見ることができます。まず、ノアは信仰によってまだ見ていないことについて警告を受けました。そして「もうすぐさばきが来るのだな」と悟りました。たとえ未来を見ることはできなくとも、見ているかのように確信しました。信仰の人は警告を聞けば、未来を現在のように見る目を持ちます。ですから、信仰の人は未来のために箱舟を備えるのです。

命じられたとおりにする
二つ目に、ノアは「家族の救いのために」箱舟を造りました。救いには、個人の救い、家族の救い、社会の救い、人類の救いがあります。このうち最も重要なのが家族の救いです。ですから、私たちは遠くへ行って福音を伝えるのではなく、自分の家族から救うべきです。自分だけ信じて満足している人は、きょう悔い改めて、信じていない家族をにまず福音を伝えてください。電話をかけてください。会えない場合は祈ってください。
三つ目に、ノアは「恐れかしこんで」箱舟を造りました。人間の最も美しい姿は神を恐れかしこむ姿です。ノアの信仰には恐れかしこむ敬虔な態度がありました。未来への神の警告とさばきについて知ったとき、恐れかしこんで受け入れ、少しも疑わず揺るぎませんでした。
「ノアは、すべて主が命じられたとおりにした。大洪水が起こり、大水が地の上にあったとき、ノアは六百歳であった。ノアは、自分の息子たちや自分の妻、それに息子たちの妻といっしょに、大洪水の大水を避けるために箱舟に入った」(創 7:5～7)。
「ノアは主が命じられたとおりにした」という部分に線を引いてください。皆さんも、主の命じられるとおりに従うことができるように願います。

救われたノア
皆さん、神はどのような方法を用いてもこのことをなされたことでしょう。不可能なことも、神が触れてくださればすべて可能になります。信仰によって行えば、不可能なこともみな可能になります。皆さんの人生で、このようなことを経験できるように願います。
ノアが箱舟に乗ったということは、ノアが世を断罪したということと同じです。ノアが義人でその信仰が正しいなら、世の方が誤りだということです。当然、この世はさばきを受けるほかありません。きょう、皆さんがこのノアの信仰を慕い求め、持つことができるように祈ります。箱舟を造れというみことばに従う皆さんとなりますように願います。

1月号から「信仰、ヘブル人への手紙11章」は誌面上の理由により掲載ページを変更させていただきます。

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