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日本プロテスタント宣教150周年を迎えて
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目を上げて畑を見なさい |
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目を上げて畑を見なさい 西大寺キリスト教会牧師・東京キリスト教学園理事長 ● 赤江弘之
日本プロテスタント宣教150周年の今年,さまざまな記念事業や宣教イベントが行われている。総じて喜ばしいことである。6月のJEA総会、横浜の記念大会はすでに行われ、9月の第五回日本伝道会議が待たれている。本誌掲載が11月であることを予めおことわりしつつ記述する。 さて、先に行われた二つの集いには参加でき、キリスト教メディアの報告記事も目を通すことができた。私の総括的感想は、150年の歴史と日本のキリスト教界の現況はよく取り上げられていたが、今後のヴィジョンと展望が欠けていたと言うことである。本原稿に求められているリバイバルへの提言は、課題を残したままであると思っている。そこで、おこがましいとは思いつつ、私見を申し上げたい。
色づいて、刈り入れるばかりになっている ヨハネの福音書4章35節で主イエスが語られたことは、今の日本宣教にも該当すると考える。ここに望みと励ましがある。具体的にその根拠を挙げるならば、9月の日本伝道会議のプロジェクト・分科会・シンポジウムの中のいくつかにそれを見る。しかし、総括的にこれらの課題に取り組み関わるなら、従来の伝道会議同様何事もなく通り過ぎていくであろうことも予感される。つまり、重要性と、緊急性と、優先性を共有し、選択と集中することなくして、リバイバルは望めないのである。 そもそも、大会に参加する人が全体の総数の中で限られている。さらに、参加者の中で、それぞれの関心事に関わるのであるから、集中は望めない。会議後、継続性も連帯性も望むべくもない。これが、各教派ごとにも期待できないのであるから、日本全体のキリスト教宣教戦略として期待できないのは、いうまでもない。 私たちが一致して、主の目で見るように畑を見ることができなければ、折角の収穫の機会も逃してしまうのである。
基本的課題と宣教姿勢の取り組み 多くの提言はすべて重要である。これらの提言を基本的宣教姿勢の基準として、すべての教会が自己点検することが急務である。そして、徹底的に悔い改め、改善すべきは改善しなければならない。これらは、個々の教会の教職と信徒によって、取り組むことが可能であり、それぞれのグループにおいて共同して、確認し合うことも有益である。加えてキリスト教メディアもキャンペーンを張り、継続的に取り組んで、諸教会を励まし続けて頂きたい。 具体的宣教戦略のテーマ 日本文化と宣教 このテーマの趣旨に大いに賛同する。しかし、あえて言えば食い足りない。日本のキリスト教界が長い間、無視してきた課題が、多くの資料の発見により、今やクリスチャン以外の歴史家が認め、ノンクリスチャンが注目していることがある。「日本のルーツは古代キリスト教であった」というニュースは、本気で取り組むべきである。情報は、『日本CBMC本部事務局』(http://cbmc.biz/ja/)。 いのちありがとう 今までの伝道の発想を転換して、いのちということを切り口にした前向きな伝道。地方伝道の成果を挙げてこられた堀越暢治先生の宣教理念と方策のテキストが完成している。創造と進化論の違いを鮮明にし、聖書の世界観に基づいた伝道と教会形成と教育の集大成を活用する。日本の福音派は、聖書の創造の教理に対して、進化論的世界観に妥協しすぎている。1980年代の福音派はもっと大胆に福音の基本線に立っていた。情報は、『いのちありがとうの会』(http://elifep.com)。 キングダム・コンソーシアム 神の国建設の実現のために、日本国際飢餓対策機構がホーリスティックな宣教論を展開している。同機構の特命大使神田英輔先生の発案による。教会が地域の必要に応え愛のわざを行うことによって、宣教が進むことが提唱されていく。 福音派は、教会の社会的責任の申し訳程度に飢餓問題に関わっていないだろうか。地球規模の環境破壊の問題と合わせ、教会の主体性の中でこれらの働きに取り組むべきではないか。一般社会へのインパクトもこの点にある。情報は、(http://www.jifh.org/)。 東京基督教大学(TCU) 本大学は日本で唯一の福音主義神学大学である。いわば福音派の教会の共有財産である。超教派の、教会教職献身者(牧師・宣教師・神学教師)を養成する神学教育機関である。大学院設置をめざして、2010年から大学卒業生も迎え入れる。 歴史と実績のある現在の東京基督神学校がこれに合同する。また、国際キリスト教学専攻、キリスト教福祉学専攻などキリスト教世界観に立つ、信徒献身者・クリスチャンリーダーを社会に送り出す働きをしている。この学園がやがて総合大学となり、幼・小・中・高の附属教育機関を擁する迄に発展し、全国展開することが日本のリバイバルに備えることである。情報は、(http://www.tci.Ac.jp)。
私は地方伝道に召され約40年の伝道牧会に携わりつつ、遣わされた教会と共に主の目の見るところを見上げて、日本のリバイバルを信じて走り続けている。
赤江弘之(あかえ ひろゆき) 1943年兵庫県生まれ。関西聖書神学校卒業。1972年から日本同盟基督教団西大寺キリスト教会主任牧師。現在、東京キリスト教学園理事長、日本国際飢餓対策機構理事、いのちありがとうの会理事。 著書に「永遠への道」、「神の御手に抱かれて」、「神の川に水満ちたり」、「いつ聖霊を受けるのか」がある。
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