シム・〇〇 パウロ宣教会 派遣宣教師
国土の99%がサハラ砂漠のモーリタニアには、いつも砂ぼこりが舞っています。この地に住む本土人が生涯食べる砂の量は、1人当たり12㎏とも言われるほどです。年に3、4度しか雨が降らないので、その日には窓を開けて久しぶりのきれいな空気を楽しみます。歴代誌第一18章を黙想しながら、「主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた」(6節、13節参照)という箇所を読みました。「勝利を与えられた」に該当するヘブル語は「ヤシャ」で、「救う」という意味です。ここから「イェシュア」(イエス、救い主)という名詞が派生しました。このみことばをモーリタニアに適用してみます。国民の99.9%がムスリムで、イスラム律法「シャリア」を合法とする国。この世でいのちのみことばを伝えようと、ムスリム対象の伝道法を学んで話しかけてみました。私がシリアで学んだアラビア語で話すと、人々は私にムスリムかと尋ねます。「私は『ナビ イッサ』(預言者イエス)を信じる」と答えると、対話自体を断られるのが常です。長い間、中東地域にいましたが、文盲率が高く、コーランだけ学べばよいと考えて生きてきたモーリタニアの人々に福音を伝えるのは特に難しく感じます。 聖書に立ち返ってダビデの生涯をじっくり味わってみました。苦難の連続で、争いも絶えませんでした。それでも、ダビデは行く先々で救いの神を経験し、勝利の人生を歩みました。その秘訣はダビデが彼の人生を「礼拝」としてささげたからです。人生の苦難と逆境を人ではなく神に告げたため、どんな状況でも賛美することができました。羊飼いの頃から神だけを求め、神とともに歩む訓練を重ねてきたので、荒野でも神を礼拝することができたのです。 索漠としたサハラ砂漠、慣れない文化の中で易しくはない道を歩んでいますが、ダビデのように私の人生のすべてを礼拝としてささげたいです。ダビデが求めたように、たった「一つのこと」(詩 27:4)を求めて生きていけるように、そのような人生の礼拝が続けられ、神に全き賛美をささげられるように切に祈ります。ダビデとともにおられた「ヤシャの神」が私ともともにおられ、モーリタニアのたましいに福音といのちの水を届けるしもべとなれることを期待しつつ、きょうも出かけて行きます。
| 国家情報 | アフリカ北西部に位置するモーリタニアは、セネガル、マリ、アルジェリアなどと国境を接しています。国土面積は日本の約3倍で、99%はサハラ砂漠です。人口は約400万人、首都はヌアクショット、公用語はアラビア語とフランス語です。国民の99.9%がムスリム(スンニ派)で、イスラム律法である「シャリア」を憲法としています。白人系ムーア族(30%)・黒人系ムーア族(40%)をはじめ、多くの民族が暮らし、アラブ・ベルベル・西アフリカ・フランス文化などの複合的な影響により、独特な情緒を形成しています。豊かな地下資源と水産資源がありますが、政治的腐敗によって絶対貧困に陥っています。
| 祈りの情報 | 1960年にフランスから独立しましたが、頻繁なクーデターによって政局が不安定です。奴隷制度が1980年、公式に撤廃されましたが、いまだに多くの地方に残っており、離婚率と再婚率が非常に高いです。国民のほとんどが教育を受けられず、文盲率は60%を超え、コーラン教育がすべての教育に代わると考えられています。背教を徹底的に禁じるモーリタニアでは、他宗教に改宗した人がイスラム教に再改宗することを拒否すれば死刑にされます。宣教師の入国を許可せず、発覚した宣教師をすぐに追放するこの国に、福音の光が入るように祈りましょう。
| シム・○○宣教師の祈りの課題 | 1.いつも主の柔和な心を抱き、主の愛でモーリタニアのたましいを愛せるように。 2.毎日の生活の中で主と深く交わり、出会う人々に主のいのちを届ける器になれるように。 3.改宗者たちとともにみことばを伝える中で、聖霊の油注ぎと導きがあふれるように。 4.ほこりと砂によって生じた中耳炎が慢性化せず、いやされるように。家族全員が霊肉ともに健康であるように。
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