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柔和
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人生の宝探し 20 |
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パク・ジョンギル ソウル・オンヌリ教会 ソビンゴ教会担当牧師
神様は、人を同じようには創造されませんでした。この世には同じ人は一人もいません。一卵性の双子でも、よく見ると違うところがたくさんあります。兄弟や姉妹も、似ているように見えても、違っているところのほうが多いものです。外見は似ていても、内面が違うのです。イエス様は、ご自分のことを「わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい」(マタ 11:29)と言われました。神様は、私たちにからだと心を与えてくださいました。からだは歳月とともに衰えますが、内なる人は成熟した姿に変わりえます。 人生の宝探しの20個目は、「柔和」です。柔和は、イエス様のご性質であり、私たちに与えられた神様からのプレゼントです。イエス様に似ていくことより尊いことはありません。柔和な品性は、聖霊の実でもあります。柔和は、単に暴力や残忍さの反対ではなく、忍耐と優しさによって形成された温和で柔らかい心のことです。世では強く乱暴な人が地を受け継ぐように見えますが、聖書は柔和な人が地を受け継ぐと言っています(詩 37:11、マタ 5:5)。人は、名前を忘れても、その人の品性は覚えているものです。柔和はコントロールされた力とも言えます。それは、飼いならされた野生の馬のようなものです。飼いならされた野生の馬は、とてつもないエネルギーを持っていますが、馬の主人はそれをよくコントロールし、自分のためにうまく用いることができます。柔和とは、弱く無気力なことではありません。節制し、よくコントロールできることを意味します。柔和な人は、幸いな人です。 柔和に関する教訓が三つあります。一つ目に、柔和は、優しく穏やかな心です。柔和という漢字は、「柔らかく、和やかな」という意味です。柔和は、私たちが直面する困難や苦しみ、刺激などを拒まず、優しく穏やかな心で受け入れることを意味します。柔和は、優しいものです。人には、温度のように感じる感情があります。ある人は冷たく、ある人は温かく感じます。教会や職場、社会でも同じです。温かく穏やかな教会もあれば、冷たく硬い教会もあります。高慢や優越感によって相手を無視するとき、私たちの心は冷たくなります。人を批判し、さばくときも同じです。しかし、謙遜に相手を理解しようと努力し、あわれみの心を持つと、人は温かくなります。また、柔和は柔らかいことです。柔らかい人は弱く見えますが、柔らかさは強さに勝ちます。水は上から下に流れます。水は行く道が閉ざされても騒ぎ立てず、静かに待ちます。そして、増水したり、隙が生じたりすると、再び流れ始めます。そして、水は流れ流れて川になり、海になります。 二つ目に、柔和は忍耐する品性です。柔和な人は、待ちます。柔和な品性は、一日にして身に着くものではありません。長い間、忍耐する中で培われるものです。柔和は弱さのように理解されがちですが、実は長い間忍耐することによって形成される、柔らかく節制力のある強さです。決してあきらめない粘り強さと忍耐の結果です。木は自分のもとにやって来る日の光や雨水を避けることができず、虫や動物に攻撃されても、どうすることもできませんが、それでも数十年、数百年もの間、耐え抜いて成長していきます。木は、痛めつけられることに耐え続け、その場を守っています。忍耐を脅かすのは、焦りです。何でも急いで成し遂げようとしますが、問題にぶつかります。もう少し待てば解決できるのに、不安になって待ちきれず、焦って行動することによって問題がさらに大きくなるのです。 三つ目に、柔和は訓練することによって身に着けることができます。生まれつき柔和な人はいません。しかし、柔和な品性を慕い求めれば、いくらでも身につけることができます。モーセは、もともと、柔和な人ではありませんでした。彼はとても過激な性格で、エジプト人を打って殺したこともありました。しかし、40年の荒野生活を通して、彼の荒々しい品性は柔和な品性へと変えられました。優しく柔らかい品性の指導者になったのです。モーセが外国の女性と結婚した点について、兄のアロンと姉のミリアムが責めました。ところが神様がアロンとミリアムを叱責され、ミリアムはツァラアトにかかってしまいました。そのとき、モーセは自分を責めたミリアムのために神様に助けを求めました(民 12:1~13)。柔和は、自分と違う意見を受け入れることのできる力です。柔和は、報復しないで受けた傷を対処することができる力です。柔和は、訓練を通して身につけることができます。品性はすぐにではありませんが、変えることができます。 柔和に用いられたギリシャ語は、「謙遜」という言葉に翻訳されることもあります。聖書にはモーセを「地上のだれにもまさって非常に謙遜であった」(民 12:3)と記されています。謙遜な人は、かたくなではありません。ほかの人を無視したりもしません。柔和は、ほかの人を受け入れ、よく学び、すぐに人に近づきます。神様のみことばの前でも素直な心で学ぼうとします。柔和は、復讐したり、人を苦しめたり、争ったりするのではなく、赦し、理解し、平和を保とうとします。一人の人の偉大さは、その人の品性によって決まると言われます。人生の宝である柔和を身につけられますように!
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