パク・ジョンギル ソウル・オンヌリ教会 ソビンゴ教会担当牧師
人は、評価したり比較したりすることを好みます。美や成功の基準も、人と比較して得ようとする傾向があります。サタンは、比較という武器を用いて攻撃したり誘惑したりします。しかし、神様は私たちを比較されません。愛は比較しません。神様は私たちの存在そのものを愛してくださいます。すべての人には弱みと強みがあります。完璧な人はいません。それにもかかわらず、サタンは、私たちの弱い部分を攻撃して、罪責感や劣等感を持たせます。比較という手段を通して、自己卑下や高慢の沼に陥らます。ですから、私たちに対する神様の御心をもっと知る必要があります。 人生の宝探しの15個目は、「タラント」です。聖書でタラントは、秤に垂らす重りの最大の単位を指します。新約時代では、金と銀の重さを量る単位で、1タラントは約20.4キログラムであり、6000デナリに当たります。これは、当時、労働者の15年分の賃金に相当するほどの大金でした。また、タラントは「一かたまり」という意味で、重さと貨幣の単位を表しますが、才能や能力を表す意味でも用いられました。 イエス様は、マタイの福音書25章で、タラントのたとえを通して、私たちが受け取った賜物や能力をどのように用いるべきかについて説明しておられます。そこでは、神様から与えられた才能や賜物を、人と比べたりせず、良い忠実なしもべとして誠実に用いなければならないことを教えておられます。 タラントについての教訓は三つあります。第一に、神様は各自にふさわしく才能を与えられます。主人はしもべたちを呼んで財産をあずけ、旅に出ましたが、それぞれ分け方が違いました。「彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五タラント、ひとりには二タラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた」(マタ 25:15)。ふつう人は、同じように分けることが公平だと考えます。しかし、能力のない人に多くのものをゆだねると負担であり、能力の多い人に少なくゆだねると不快です。能力に合わせてゆだねるのが公平なのです。また、主人は自分の財産をしもべに預けたのであって、与えたのではありません。才能や賜物は、神様が私たちに預けられたものであって、所有権は自分にはないのです。そのような点で、自分に与えられた才能を自分のもののように考えてはなりません。私たちには責任がありますが、権利はありません。ですから、自分勝手に生きるのではなく、召してくださった方の御心に従って生きることが、良い忠実なしもべの態度です。 第二に、神様の御心を知らなければなりません。神様が私たちに願われることは、「良い忠実な」態度です。タラントの量が重要なのではなく、神様がゆだねられたことに対する忠実さと誠実な態度が重要です。才能は、それぞれの能力や環境や立場に合わせてゆだねられたものなので、比べたり、不平を言ったりすることは間違っています。神様は、能力がない人に、過度に要求したりはされません。私たちが持っているもので最善を尽くすことを願っておられます。そのような点で、私たちは、能力が多くないせいにするのではなく、忠実になれなかったことについて悔い改めなければなりません。人のものをうらやましがるのではなく、自分に与えられた才能や賜物に感謝しなければなりません。自分が多くのものを持っているからといって、人を無視してもいけません。多く受けたなら多く受けた分だけ、少なく受けたなら少なく受けた分だけ、力を尽くす必要があります。それが、良い忠実な態度です。 第三に、初めが結論ではないということです。イエス様のたとえを見ると、五タラントを受け取ったしもべは、さらに五タラントをもうけ、二タラントを受け取ったしもべは、さらに二タラントをもうけました。反面、一タラントを受け取ったしもべは、一タラントをそのまま主人のところに持ってきました。それで、最初に五タラントを受け取ったしもべは十タラントを、二タラントを受け取ったしもべは四タラントをまかされました。反面、一タラントを受け取ったしもべは、主人から「悪いなまけ者のしもべだ」という叱責とともに、一タラントも取り上げられました。最初が結論ではありません。今の私が持っている才能が結論ではありません。良い忠実なしもべとして、神様にゆだねられた賜物や才能を活用し、最善を尽くしましょう。そうすれば、私たちはさらに多くのことができるようになり、大器晩成の恵みがあるでしょう。覚えてください。神様は、多いか少ないかで私たちを判断されたりしません。それは、五タラントをもうけたしもべと二タラントをもうけたしもべに対する称賛の言葉が同じだったことからわかります(マタ 25:21, 23)。良い忠実なしもべには祝福の報いがあり、悪いなまけ者のしもべには懲らしめの報いがあります。 いつか決算する日が来ます。この世の人生は、永遠には続きません。主人が再び来られるということを知らなければなりません。感謝と恵みは重要です。神様が私に与えてくださったものは、私に最もふさわしいタラントです。そして、神様の御心を知り、最初が結論ではないということを悟る必要があります。神様が私たちに与えてくださったタラントという賜物を尊く思い、良い忠実なしもべだという称賛を聞く人生になりますよう祈ります。
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