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聖書的な妻 講座[第16課] 親密感
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神の夢がある家庭 |
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トーチ・トリニティ神学大学 教授 イ・キボク
Introduction 親密感とは、最も親しく、よく知り、自発的で、信頼でき、人格的に一つになる情緒的な感覚を意味します。すべての人間関係には距離の程度があります。すなわち、関係の性格によって、適切な距離のレベルがあるのです。隣人、親戚、友だち、親子、夫婦の間で、距離感にはそれぞれ程度の違いがあるものです。ところで、人間関係の中で最も近い間柄は、夫婦の関係でなければなりません。親子よりも夫婦が最も近い関係であるべきなのです。 最近、世の中では簡単に離婚する傾向があり、家庭はあらゆる攻撃を受けて壊れやすくなっています。ですから、結婚を守る努力が必要です。家庭を守るために、今から夫婦の親密感を点検しなければなりません。夫婦がふだんから親密感を深めているなら、どんな誘惑や困難に襲われても揺らぐことがないからです。 サタンは夫婦関係を壊そうと狙っています。攻撃が小さく、割れ目が小さいうちに埋めなければなりません。割れ目が大きくなれば、復旧するのが難しくなります。夫婦の一致を軽く考えてはなりません。どの夫婦も100%安全ではないのです。ですから、戦略的に親密感の要素を理解し、夫婦の親密感を前もって深めておく知恵深い妻になってください。 1. 夫婦の親密感の要素 1)一緒に過ごす 夫婦は親友のような関係にならなければなりません。そのためには、一緒に多くの時間を過ごさなければなりません。どんなに忙しくても、すべきことが多くても、意識的に時間を作って一緒に遊んでこそ、親しくなります。ですから、職場や子どもの教育のために、夫婦が長い間、離れて過ごすことを避けなければなりません。教会のためでも、夫婦が離れて過ごすのは良いことではありません。夫の職場のために、子どもの留学のために、夫と多くの時間を離れて過ごしているなら、気をつけなければなりません。サタンが隙を狙っていることを忘れてはなりません。人は遠く離れていれば、心も離れていくものだからです。 もしまだ自分の夫が妻と一緒にいたいと思い、それを願っているなら、それはとても良いサインです。それを拒んだり、軽く聞き流したりするべきではありません。一緒にいてこそ近くなるからです。反対に、最近、夫が自分と一緒にいるよりも、外に出回ったり、ほかの人ともっと多くの時間を過ごそうとしているなら、すでに赤信号です。今からでも夫と一緒に過ごすための作戦を立てなければなりません。 夫婦のデートも意識的にしましょう。一緒に散歩をしたり、映画を見たり、登山をしたり、すてきなコーヒーショップに座り、ゆったりした時間を過ごすのもよいでしょう。大切なことは、そのような時間に、深刻な家計や子ども、親の話などは自制し、忠告や小言も控えることです。ただ親友のようにおしゃべりしながら、楽しい時間を持ってください。一緒に時間を過ごすこと自体が重要なのです。そのように親密感を深めていけば、結婚生活を壊そうとするサタンがつけ込むことはできないでしょう。 2)趣味と関心事の共有 だれかに会うとき、趣味と関心事が似ていれば親しくなりやすいものです。結婚してからも趣味の領域が似ていれば、夫婦はさらに親密になるでしょう。そのような意味で、趣味と関心の領域が似ている人同士が出会うことはよいことです。しかし、ふたりの趣味や関心事が全く同じであることはありません。ですから、結婚してから趣味と関心事が違ったとしても、夫の趣味に対して関心を傾けなければなりません。特に「そんなものが好きだなんて幼稚ね」というような態度で、夫の趣味を無視したり、嫌な顔をしたりすることは禁物です。人はだれでも自分の好きなものが大切です。心を開いて夫の趣味に関心を示さなければなりません。そうしてこそ、一層、親しくなれるからです。夫がスポーツが好きなら関心を持ち、一緒にできるならもっとよいでしょう。親しくなってこそ伝道することもでき、影響力を及ぼすこともできます。そのように暮らしていれば、一緒に良い趣味や関心事を共有するようになるでしょう。そのように知恵深く親しくなれば、夫は結局妻の影響をより多く受けるようになります。いったん親しくなるために趣味と関心事を共有するよう努力しましょう。 3)笑いとユーモア 親密感とは、もともと笑いと楽しみの中で急速に深まるものです。楽しみは真の親密感の活力素です。ユーモアと笑いは互いを急ピッチで近づけます。人は、一緒に笑いながら互いへ防御をゆるめるものだからです。あまりにも深刻にならないでください。顔を緩めて一緒に笑っていれば、もっと一緒にいたくなる親密な関係になります。 聖霊が与えてくださる賜物の一つに「喜び」の実があります(ガラ 5:22)。詩篇の著者も「あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります」(詩 16:11)と宣言しています。またイエス様も「……わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたの喜びが満たされるためです」(ヨハ 15:11)と言われました。人生のすべての瞬間には、いつも感謝と苦難が共存するものですが、笑いと楽しみとは、苦難の中でも信仰と感謝によって生きると決断する人に与えられる賜物です。ユーモアのセンスを開発しましょう。夫と声を出して大きく笑うような環境を作ってみましょう。ユーモアのセンスを持てば、苦難や困難もうまく乗り越え、違いや葛藤も乗り越え、人生の暴風の中でも耐え抜くことができます。きょうから忘れないで、ゆったりした笑顔で夫を迎えてください。疲れた一日を送っても、妻が笑顔で迎えるなら、夫は安息と喜びを感じるでしょう。 4)条件のない受容 人はだれでも、自分を条件なしに受け入れてくれる人と親しくなるものです。自分の足りなさや弱い姿をそのまま認め、受け入れてくれる人に心を開くからです。反対に、自分に不満を持ったり、指摘したり、直そうとする人には、心の扉を閉ざし、親密感が急速に落ちていきます。 私たちはよく、夫を自分の願う方向に直そうとしがちです。しかし、人はだれでも自分を直そうとする人から、非難されていると感じるものです。人は非難されると自分の欠点を決して直そうとしません。非難は、自分の存在自体が拒絶されたと感じさせるからです。反対に、妻が自分の足りない姿をそのまま受け入れてくれていると感じるとき、かえって妻の願う人になろうと努力するでしょう。非難は人を変えることができません。「条件のない受容」が人を変えるのです。夫との親密感のために夫を受け入れる練習をしましょう。 5)婚家との関係でも夫を巻き込まない 夫婦の親密さを低下させる大きな要因の一つが、義父母、あるいは婚家との葛藤です。特に夫が親と密着していたり、特に親孝行な息子である場合には、もっと困難です。しかも義母が嫁を嫌う場合には、夫婦の葛藤はさらに深刻になります。しかし、そういうときほど、妻は知恵深く、時には聡明でなければなりません。大切なことは、義母との間に夫を巻き込んではならないということです。三角関係を作ってはなりません。夫の前で義母に対して悪く言ったり、けなしたりすることは、とても愚かなことです。そんなことをすれば、夫婦の親密感には大きな溝が生じてしまいます。 夫はすでに長い間、その親のもとで育ってきました。好きでも嫌いでもどうすることもできず、自分を生み、育ててくれた親です。時には自分も親が正しくないということがわかり、嫌だと思うこともあるでしょうが、それでも親は親です。ところが、妻が家族に対して指摘して、不平を言い続けるなら、夫はわれ知らず妻を避けるようになり、夫婦の親密感は大きく傷つくことになります。ですから、夫の前で義母に対する不平や批判を言わないようにしましょう。妻のすべきことは、夫と近づくことです。夫と親密な関係になれば、自然に夫は親よりも妻のほうが近い関係になります。少し時間がかかったとしても、夫との親密感を強く保つことが優先であることを忘れないでください。 6)価値観と親密感 価値観とは、内面世界を支配する多様な価値の総体であり、中心的な考えであり、すべての内的基準によって作動しているものです。お金、時間、性と純潔、女性観と男性観、善と悪などについて、どのように考えるかに対する判断基準です。もし夫と妻の価値観が全く違うなら、結婚生活は容易ではないでしょう。「ふたりの者は、仲がよくないのに、いっしょに歩くだろうか」(アモ 3:3)というみことばのように、夫婦の価値観が違うなら、親密感の形成は簡単ではありません。 ですから、クリスチャン同士が出会って結婚しなければならない理由は、まさに価値観の違いのためでもあるのです(Ⅱコリ 6:14)。しかし、すでに結婚したのですから、もし夫と価値観の違いがあったとしても、夫の価値観を非難しないようにしましょう。夫がイエス様を愛し、聖書的な価値観を持つようになるまで、妻は祈りながら良い態度で忍耐してください。いつか妻の影響を受けて、夫も聖書的な価値観と真の信仰を持つようになるでしょう。その日には、夫婦が本当に一つになり、価値観と親密感を共有することができるでしょう。 私たち夫婦も、結婚した当初は考え方があまりにも違い、夫の価値観が世俗的に感じられることがありました。夫の友だちも気に入らず、夫が見ている本やテレビ、映画も幼稚だと思いました。それで、最初はそれらを批判し、指摘していましたが、夫は変わりませんでした。それで私は、夫の変化と信仰の成長のために祈るようになりました。「イエス様。夫が救いの感激と恵みのために涙を流すようにしてください。一緒に聖書を読み、神の国のために祈る日が来ますように」と切実に祈りました。時間はかかりましたが、感謝なことに、祈りはすべて答えられました。夫がイエス様の愛を知ったのです。今では聖書的な価値観を共有するようになり、価値観が似てきて、世の中を見る目、関心分野、余生の目的も一致しています。そんな日が来るとは思ってもいませんでした。
2. 霊的な親密感 真の信仰生活とは、父なる神様がどのような方であるかを知っていくことです。神様のことを知っていけばいくほど信仰が育ちます。「ああ、神様はこんな方だったんだ」と悟るほど、信頼しやすくなります。聖書で「知る」とは、「深い交わりを通して、親しくなる」という意味で、長い間、一緒に過ごして知るようになる体験的な親密感を意味します。 夫婦の霊的な親密感は、三角形で説明することができます。三角形の上の角に神様がおられる三角関係です。つまり、夫婦がそれぞれ上におられる神様を仰ぎ見て、その方へと近づいていけば、夫と妻が自然に近づくという模型です。ですから、夫も妻も、それぞれ個人的に主と親密な関係を深めなければなりません。結婚は、ふたりが手を堅く握りつつも、向き合っているのではなく、それぞれ上におられる神様を見上げることから始めなければなりません。夫と妻がそれぞれ神様と交わり、親密さを追い求めるなら、夫婦の関係は結果的に精神的にも霊的にも、さらには肉体的にも親密になります。そうすれば、最上の夫婦の結びつきを成し遂げ、最高に親密な関係へと高めることができるのです。
祈りましょう 神様、夫との一致と親密な関係は、本当に難しいです。これまで自分は努力せず、夫を批判してばかりいたことを悔い改めます。夫との親密感を深めるために努力したいと思います。まず主と深く交わりたいと思います。主をもっと知りたいです。イエス様との親密さの中で喜びに満たされたいです。私たちを友と呼んでくださる主をさらに愛することができますように。そして、夫がイエス様に出会い、たましいの救いを得る日まで、夫の友として生きたいと思います。助けてください。イエス様の御名によって祈ります。アーメン。
イ・キボク トーチ・トリニティ神学大学院、キリスト教カウンセリング学教授。オンヌリ教会協力牧師、ツラノバイブルカレッジ家庭ミニストリーディレクター。ラブソナタ講師。
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