聖書的な妻 講座[第15課] 性格の不一致

   神の夢がある家庭
 
トーチ・トリニティ神学大学 教授 イ・キボク


Introduction
結婚前、つき合っている頃は、相手の短所があまり見えないものです。自分とは違っている点も全く問題になりません。かえって互いに性格の違う部分が魅力的に見え、自分にないものを持っていることをありがたく感じたりもします。しかし、結婚後は、全く別の事情が展開していきます。
「私たちって、違いすぎるわ」「とうてい理解できない」「別の世界に生きているみたい」「どうやったら、そんな風に考えて行動できるの」「本当に気に入らない」「どう考えても互いに合わせて暮らしていくのは難しいわ」というような言葉がこぼれます。結局「性格の不一致」という理由で、一時期は愛し合っていた夫婦が離婚を選択してしまいます。
現代になって、日ごとに離婚率が高くなっていますが、最も多く見られる理由は「性格の不一致」です。ところで、彼らの心のうちを聞いてみると、「性格の不一致」という言葉は、実に広く包括的なので、意味があいまいです。生活習慣の違い、家族文化の違い、男女間の違い、趣味の違い、考え方や価値観の違い、消費の仕方の違いも、性格の不一致だと言ったりもします。また、性格という単語は、人格、品格、気質という単語と混用されがちです。しかし、最も一般的に性格の不一致と言われるのは、気質の違いです。すなわち、生まれつきの体質と本性としての気質を意味します。
神様は、私たちをすべて違うかたちに造られました。結婚は、互いに完全に違う二つの人格体の出会いなので、ふたりに違いがあるというのは、至って当然のことなのです。私があなたではなく、あなたが私ではないならば、違うように感じ、考え、行動するのは当たり前です。ですから、成熟した人は、相手を自分が願う姿に直そうとはしません。かえって、相手の個性や独立性を認めます。相手をあるがままの姿で受け入れます。そのような違いを理解し、受け入れることができるなら、そして、そのような違いに適応する時まで耐えることができるなら、そのような違いはかえって互いを補い、成長させる尊いものになります。互いの違いに感嘆し、味わうことができるなら、それは家庭の祝福になりうるのです。

1. まず男女の違いを理解する
創造主なる神様は、人間を男と女に創造されました。男も神様のかたちに尊く造られ、女も神様のかたちに尊く造られました。男と女は人格的に差別や違いがありません。「男尊女卑」や、または女性のほうが優れているというのも、神様の御心ではありません。しかし、男と女の間には、身体的にも生理的にも心理的にも明らかな違いがあります。もちろん、気をつけるべきことは、いつも個人差があるため、男と女を一般化したり、固定観念によって見てはならないということです。ただ、結婚生活で夫と妻の期待が違うということを知ることは、とても有益です。一般的に夫は、妻に次のようなことを願っています。また、妻は夫に次のようなことを願っています。個人差や優先順位の違いはあるかもしれませんが、一般的に願っていることは似かよっています。

夫が妻に願うこと
1. 性的な満足を与えてくれること
2. 余暇の相手になってくれる友だちのような関係
3. 自分の魅力を磨いてくれること
4. 家計のやりくりがよくできること
5. 夫を尊重し、ほめてくれること

妻が夫に願うこと
1. 妻に対する尊重と愛を表現してくれること
2. 正直で誠実で信頼できる人であること
3. 経済的な扶養に責任を持ち、最善を尽くすこと
4. 話をよく聞いてくれ、心をわかってくれること
5. 妻と子どものために時間を割き、助けてくれること


あなたの夫はあなたに、特に何を願っているでしょうか。あなたは妻として、上の内容の中でどんなことができているでしょうか。また、どんな部分が弱いでしょうか。一度、自分自身の姿を振り返ってみましょう。
今、私たちは、妻の役割について学んでいるところです。ですから、夫が自分の必要を満たしていないという不満を抑えてください。夫は意外にも妻の心がわからないものです。機会があったら、夫に妻としてのあなたの願いを伝えることも、とても大切です。非難めいた口調ではなく、理解を助ける次元で親切に伝えるなら、夫婦関係の改善に役立つでしょう。

2. 生まれつきの気質の違いを受け入れる
結婚は、互いに違うふたりが一つのチームになることです。ですから、夫の性格と特徴を知ることは、とても重要です。人の特徴は、生まれつきの気質なので、変えようとするよりは受け入れることが大切です。夫を自分の願う方向に変えようとする努力をやめることは、賢い決断です。
古代の賢人は、人の性格の違いを認めてきました。ヒポクラテスは、人の気質を「多血質(積極的、社交的、理解力がある、熟慮するタイプではない)」「胆汁質(我が強い、決断力に富んでいる、感情的になりやすい)」「憂うつ質(悲観的、寡黙、非社交的、想像力が豊か)」「粘液質(慎重、のんびりしている、持続力がある)」に分類しました。
近代に入ってからは、カール・ユング1)が人を三つのタイプの尺度を通して説明しましたが、自分の夫の性格を理解するのに大いに助けになるので、紹介しようと思います。違いは葛藤ではなく補完であり、拡張であり、祝福だということを心に刻んでください。違いに対して不満を抱くのではなく、そのまま受け入れることこそ真の愛なのです。

ユングのタイプ論
1)外交的 vs 内向的
(エネルギーの方向と注意の焦点はどちら側か)
外交型の人は、エネルギーが多くて活動的で、社交的です。自分の内面を簡単に表し、率直に話す傾向があります。人の顔をよく覚え、人に会うことを好み、会ってすぐに親しくなります。ひとりの人と深くつき合うよりは、多くの人と幅広く交わります。このような社交的な性格は、家庭の拡張の助けになります。反対に、このような人は、でしゃばりで慎重さに欠けていると思われることもありますが、究極的な次元で見ることが大切です。
内向型の人は、外で長く人と会っているとエネルギーが枯れていき、ひとりでいる時間と空間が必要です。それで、外にいても早く家に帰りたがります。そのため、よく社交的でないと言われたりもします。また、感情や胸中をあまり言葉にしようとしません。容易に人とつき合いはしませんが、親しい人とは深い話をします。このような人は、少し臆病でわずらわしく、理解しにくい人とみなされがちですが、究極的に見れば思慮深い人です。

2)感覚的 vs 直感的
(何をどのように理解し、認識するか)
感覚型の人は、外部の情報を収集するとき、五感を活用して処理し、推論します。それで、比較的正確で客観的、現実的です。ある事実を理解させるときも、初めから順を追って細部にわたって観察し、説明しようとします。具体的で細やかな指針を好んでよく従います。このような人は、細かすぎると思われることがよくあります。しかし、究極的に見ると、日常生活を維持する上でとても実用的なので、強みの多いタイプです。
直感型の人は、“第六感”、いわゆるインスピレーションを通して情報を認識して処理し、推論します。直感的で抽象的、主観的、総合的なので、時には非現実的に見えることもあります。「良い」「意味がある」「なんだか、できる気がする」などの表現をよく使いますが、根拠を聞いてみると「なんとなくそんな気がした」と答えます。このような人は、よく空虚な理想主義者と見られがちです。しかし、このような人の強みを励ますなら、家庭や共同体に未来の夢とビジョンを示すリーダーになることができます。

3)思考型 vs 感性型
(決定や判断において、思考と感情のうち、どちらを用いるか)
思考型の人は、論理的思考の持ち主です。ある出来事が生じると、原理原則を考え、客観的に判断します。正義、公平、利得などをそれなりに重要視します。感情よりは頭を先に用いて決定します。感性型の人がこのような思考型の人によって傷つけられることがあるのは、冷淡に思われるからです。論理的に正しいことに対しては揺るがされず、推進力がある人です。
感性型の人は、心を尺度として意思決定をします。ある出来事が起こったとき、もしかしたら、それとつながりのある人が傷つかないかに神経を使います。それで、調和と合意がなされなければ、とても苦しみます。いつくしみの心で弱者の側に立つので、不必要なことに巻き込まれることもあります。時には、優柔不断だと思われることもあります。しかし、家庭や隣人に愛情と平和を与えることのできる感情があります。

あなたの夫の性格はどのタイプでしょうか。夫のそのような性格にどんな長所があるか、考えてみましょう。

3. 霊的な賜物の違いを認める
私たちは、だれでも神様が与えてくださったタラントがあります。イエス様を受け入れ、聖霊のバプテスマを受ければ、聖霊様によって霊的な賜物が個別のプレゼントとして与えられます。それは一人ひとり違い、それぞれ主の教会や共同体に仕え、奉仕する役割が与えられています。パウロも「私たちは、与えられた恵みに従って、異なった賜物を持っているので、もしそれが預言であれば、その信仰に応じて預言しなさい。奉仕であれば奉仕し、教える人であれば教えなさい。勧めをする人であれば勧め、分け与える人は惜しまずに分け与え、指導する人は熱心に指導し、慈善を行う人は喜んでそれをしなさい」(ロマ 12:6~8)と言っています。このような賜物の目的は、「からだの中に分裂がなく、各部分が互いにいたわり合うためです(Ⅰコリ 12:25)。そして、すべての賜物のうち、最もまさるものは「愛の賜物」だと言っています。
クリスチャンの結婚は、男女の違い、または性格や賜物の違いを持ったふたりが一緒に家庭という共同体を築いていくことです。違うから分裂が起こるのではなく、違うけれども一つからだをなすのです。性格の違うふたりが互いに支え合い、尊重し合い、相手のために仕え合うなら、同伴者として成長していくことでしょう。互いに違うことは、プレゼントであり、祝福なのです。

1) スイスの精神科医であり、心理学者であったカール・ユング(Carl G. Jung)は、1923年、人の心理をタイプ別に分類する「タイプ論」を発表しました。この理論は、自分自身と他人を心理的に理解するのに役立ちます。


祈りましょう
創造主なる神様、私をありのままの姿で愛してくださり、感謝します。罪人だった私をそのまま受け入れてくださり、感謝します。私の特徴をそのまま愛してくださり、感謝します。それなのに私は、これまで夫の性格について不満を抱き、非難してきました。私と違うと指摘しました。夫の良い点を見ることができず、悪い点ばかりに目を向けてきました。夫の性格と特徴を長所として生かそうと励ますことができませんでした。これからは夫を非難しません。人々の前で夫の良い点をほめるようにします。そして、夫を主の御手にゆだねます。聖霊様の賜物によってさらに成熟した品性に造り変えてください。イエス様の御名によって祈ります。アーメン。


イ・キボク
トーチ・トリニティ神学大学院、キリスト教カウンセリング学教授。オンヌリ教会協力牧師、ツラノバイブルカレッジ家庭ミニストリーディレクター。ラブソナタ講師。


 

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