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神の夢がある家庭

聖書的な妻講座［第8課］従順の祝福

トーチ・トリニティ神学大学教授　イ・キボク

Introduction
｢妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。なぜなら、キリストは教会のかしらであって、ご自身がそのからだの救い主であられるように、夫は妻のかしらであるからです。教会がキリストに従うように、妻も、すべてのことにおいて、夫に従うべきです」（エペ 5:22～24）。

最近のような現代社会では、従順という単語自体があまり歓迎されません。従順という言葉が古い時代の単語に聞こえ、時には従順という言葉だけを聞いても拒否感が生じたりもします。なぜでしょうか。それは、長い人類の歴史を通して、強者が弱者を支配し、従順を強要してきたからでしょう。また、喜んで従いたいと思う真のリーダーを周囲に見いだすことが難しかったことも、理由の一つではないかと思います。すなわち、自分を犠牲にしながら利他的で真の責任感をもって弱者を保護し、尊重し、愛してくれる真の権威を経験できなかったからではないでしょうか。その代わりに、私たちは、これまで悪しき権威者たちをたくさん見てきました。
特に、女性は人類の歴史を通して、男性への服従を強要されつつ、実に悔しい思いをしながら生きてきました。そのために、女性にとって従順というのは、つらく大変なことでした。私たちはみな、尊重され、愛されるべき存在として生まれましたが、強制的に服従を要求され、私たち女性の内面には、拒否感や反抗心、不従順の霊（spirit）が形成されざるをえなかったのです。そして、そのような不従順の霊は、私たちの心に傷として残り、かえって真の従順を通して得られる真の祝福を奪う結果を生み出しました。
しかし、イエス様の福音によって回復された私たちは、イエス様を通して真の従順が可能になりました。この地に男性として来られましたが、女性を人格的に尊重し、ご自分の身を捨ててまで愛と犠牲を示された真の権威者イエス・キリストのゆえに、従順を回復することができるのです。聖書で言う従順は、強要や支配ではありません。従順は秩序のためのものであり、私たちを保護するためのものです。ですから、聖書の真理を信じる女性であれば、もはや無理やり行う従順ではなく、被害者としての屈従ではなく、回復された従順、堂々とした従順、自ら願って行う従順が可能です。劣っているから従うのではなく、従順の力を所有するようになったのです。私たちのうちの霊（spirit）が回復されなければなりません。
1. 聖書的な従順
ジョン・ビビア牧師の著書に『従順』という書があります。英語のタイトル『Under Cover』に“Under His Authority”というサブタイトルが付いていて、訳すと、「神の権威の下で味わう保護と自由」という意味です。本の内容は、私たちが世のリーダーに従えば、神様が私たちを覆い、守ってくださるという霊的法則についてです。ですから、従順の結果は束縛ではなく自由なのです。「サタンは、私たちを自由にするものを束縛であるかのよう見せ、逆に、私たちを実際に束縛するものを魅力のある良いもののように見せる名手である」1）。
そうです。主にあっての真の従順は、束縛ではなく自由なのです。私たちが従えば、神様が私たちを守り、覆ってくださるので、自由を味わうことができるということであり、それがまさに聖書的な従順の原理です。
使徒パウロが同じような聖書的原理によって、世の権力者たちにも従うようにと言っています。「人はみな、上に立つ権威に従うべきです。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられたものです。したがって、権威に逆らっている人は、神の定めにそむいているのです。そむいた人は自分の身にさばきを招きます」（ロマ 13:1～2）。また、従うだけでなく、彼らのために祈り、とりなし、感謝するようにと言っています。「そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです」（Ⅰテモ 2:1～2）。同じ原理で、妻は夫に従うだけでなく、夫のために祈り、とりなし、感謝して従うとき、神様が私たちを守るために働かれ、みわざを起こしてくださいます。ですから、従順は、神の主権と絶対的な力を認める信仰の態度なのです。全き従順は全き信仰に基づくものです。信仰により従い、妻として勝利しましょう。
（１）イエス様の従順
イエス様は、神であられるのに、喜んでご自分を捨てて、しもべの位置に降りてこられました。ご自分を卑しくし、死にまで従われました。イエス様の従順により人類の救いは完成され、今やイエス様は、すべての名にまさる名となられました。全人類が栄光をおささげする王の王となられたのです。
｢キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、すべての口が、『イエス・キリストは主である』と告白して、父なる神がほめたたえられるためです」（ピリ 2:6～11）。
創造主なる神様は、天の御座を捨てて、最も低く卑しい姿で私たちのもとに来られました。最もへりくだられたイエス様は、この地ですべてのことに対して従順の手本を見せられました。「それからイエスは、いっしょに下って行かれ、ナザレに帰って、両親に仕えられた……」（ルカ 2:51）。このように、イエス様は両親にも従われました。また、当時の悪しき政府であったカイザルにも税金を納め、この地の権威に対して従順を示されました（ルカ 20:24～25）。何よりもイエス様は、父なる神に徹底して従い、神様が命じられたことをすべて成し遂げられました。「あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを、わたしは成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました」（ヨハ 17:4）。実に驚くべき従順です。イエス様は、徹底的な従順により、十字架の救いを完成され、私たちは、恵みにより価なしに救いを得るようになったのです。
（2）秩序の神様
聖書で語られている従順は、夫が妻のかしらであることを認め、家庭の秩序を保つ従順です。権威者、あるいはリーダーとして認めよということです。妻として夫を指導者として認め、励まし、支え、高め、尊敬の態度をもって従うことです。もちろん、そこには助力者として、夫の欠けている面を補う役目も含まれます。これを聖書の全体像として理解すると、次のようになります。すなわち、夫はキリストに従い、妻は夫に従うのです。そうすれば、子どもは両親に従うようになります。子どもに従順を要求しなくても、まず親が従順の姿で生きていれば、子どもは親に従うようになるのです。そのようにして、家庭も教会もキリストに従って生きるのが、霊的な秩序です。神様は、秩序の神様だからです。もちろん、キリストに従うのが難しい夫も少なくないでしょう2）。しかし妻がすべきことは夫に従うことです。それは、主のことばに従うことだからです。また、従順は神様が私たちを守ってくださる方法でもあるのです。

2. 従順の力
従順は、成熟した人の品性です。たとえば、大学の機関を考えてみましょう。大学には総長がいて、副総長がいます。仮に、成熟した副総長がいたとしましょう。その人は、総長を権威者として認め、そのリーダーシップを立ててあげます。総長のビジョンや決定力が足りなくても、補完して支えます。人々の前では総長の権威を立てて高めます。学校内部では、副総長としての有能な行政力で学校をうまく経営します。それで、学校が発展していきます。しかし、人々はよく知っています。副総長のすばらしい人格と力によって発展したということを。そのような人は、時が来ればさらに高い位置に上るでしょう。従順のテストに合格したからです。
反対に、未熟な副総長がいたとしましょう。その人は、総長のリーダーシップと権威を認めません。総長の決定や指示にも従いません。人々の前で総長の短所を指摘して、おとしめます。学校の行政に対しては無能で、無責任です。学校が発展するはずがありません。そして、副総長は問題が多い人だということを、人々はみな知ることになります。そのような人は、神様がさらに大きく用いられるはずがありません。従順のテストに失敗したからです。
同様の原理で、成熟した人格と力を備えた妻であれば、夫の権威やリーダーシップを立ててあげます。夫の決定を支えてあげます。時には、夫の欠けたところも補ってあげます。子どもたちと人々の前で夫を高めます。そして、家では有能な力で家庭をよく営みます。それで、家庭は秩序をもってよく機能するようになります。そして、周りの人々は、立派な妻のおかげでこの家庭がうまくいき、祝福されているということがわかるようになるのです。
反対に、未熟な妻であれば、夫の権威を無視し、引きずりおろそうとします。夫の決定や指示に従いません。家事も適当にし、無責任です。子どもたちの前でも夫を認めようとしません。外では夫の過ちや欠点を話して回ります。家庭がうまくいくはずがありません。そして、周りの人々は、妻が問題の多い人だということがわかるようになります。自分の顔につばを吐くようなものです。そのような家庭は、神様の祝福を受けるはずがないのです。
あなたはどんな妻ですか。夫のリーダーシップを認め、立ててあげる妻ですか。夫の指示に従っていますか。夫の最終決定権を認めていますか。人々の前で夫を尊敬する態度を保っていますか。有能な妻として、家庭を上手に営んでいますか。従順の力を備えていますか。それとも、夫を無視し、すべてに不従順な態度を示してはいませんか。人々や子どもたちの前で夫に対する不平を言い、夫の権威をおとしめてはいませんか。それで、自分でも知らないうちに家庭の秩序を崩してはいないか、妻としての自分の品性を振り返ってみましょう。
・あなたはイエス様の従順について学び、夫に従いなさいという神の秩序を受け入れることができますか。
・夫に従うのが、今でも難しいですか。そうであれば、その原因は何でしょうか。過去に受けた傷が影響してはいないか、一度じっくり考えてみましょう。

1）John Bevere、『従順』
2）もちろん、聖書的な夫は、君臨するリーダーシップではなく、仕えるリーダーシップを意味します。支配者としてではなく、自らを犠牲にし、愛のリーダーシップにより家庭を導く夫です。また、妻に人格的に接し、尊重しながら保護する姿勢を持たなければなりません。そのためには、夫はかしらであられるイエス･キリストの下で主に従い、妻と子どもたちを導かなければなりません。夫の皆さん、イエス様の犠牲のリーダーシップにならって、そのような愛で妻を愛してください。

祈りましょう
父なる神様。これまで妻として夫の権威に従うことができなかったことを告白します。時には、心の中で夫を無視しました。夫の無能さと欠点を指摘し、非難したこともあります。私の目にある梁は見えず、夫の目にあるちりだけを取ろうとしていました。私の傲慢さを赦してください。これからは、主のみことばに従って、夫に従うよう努力します。主にするように夫に従いたいと思います。ほかの人や子どもたちの前でも夫を高めます。そして、夫の欠けた部分を助け、補います。主よ、私に従順の霊をお与えください。私に従順の力を注いでください。イエス様の御名によって祈ります。アーメン。

イ・キボク
トーチ・トリニティ神学大学院、キリスト教カウンセリング学教授。オンヌリ教会協力牧師、ツラノバイブルカレッジ家庭ミニストリーディレクター。ラブソナタ講師。

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