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世界にひろがるキリストの愛

リーダーを育てるための5つの核心

ナイロビチャペル牧師　オスカー・ムリウ

私は、神学校を出た後、新米の牧師として、リーダーシップ訓練も受けることなく、ナイロビチャペルに就任しました。最初の年に、信徒が20人から40人増えました。次の3年で500人になりました。しかし、私個人のリーダーシップには限界が見えてきました。
私の力の限界が教会成長を妨げるようになり、私は主に、「リーダーがどこにいるのか教えてください」と祈りました。神様は、リーダーの育成に関して、5つの核心を与えてくださいました。この5つの核心は、この20年間変わっていません。今日、ナイロビチャペルは40か所に拡がり、2020年までに300の教会を開拓するビジョンを持っています。アフリカ大陸だけでなく、ヨーロッパ、アジア、中東、アメリカ大陸まで開拓するつもりです。なぜなら、地の果てまで宣教するよう、主が命じておられるからです。
主が与えてくださった核心の１つ目は、「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい」（マタ 9:37～38）というみことばです。この個所を見たとき、私は目が覚めました。収穫の量はリーダーの数によるのです。収穫は多いと、主は言っておられます。問題は、収穫する者です。十分な人がいないのです。福音を迫害している国でも、たくさんの人が救われています。働き人を増やすなら、より多く収穫することができます。イエス様の戦略は、まず十二弟子を見つけることでした。そして、彼らを召し、ご自分を彼らに投資し、ともに歩まれました。
私たちは、自分が走り回るのに忙しくて、訓練する暇もなく、疲れてしまっていました。家族には無視され、自分も傷ついていました。でもやめることはできません。人数が増えていたからです。今日のあなたや私は、イエス様の戦略の実です。偉大なリーダーシップのしるしは、生きている間に残した業績ではなく、どれほどリーダーを産み出したかということなのです。あなたが去った後、だれが残るでしょうか。あなたの周りにどれだけリーダーがいるでしょうか。あなたは若いリーダーをどれだけ育てているでしょうか。
2つ目の核心は、「同世代のためだけに生きない」ということです。神は詩篇から語られました。ダビデは、神の御心に仕えて後、死んで父祖たちの仲間に加えられましたが（使 13:36）、詩篇71篇18節にダビデ自身の見解が現れています。「年老いて、しらがになっていても、神よ、私を捨てないでください。私はなおも、あなたの力を次の世代に、あなたの大能のわざを、後に来るすべての者に告げ知らせます。」ダビデは、自分の世代のために生きたのではないのです。自分の世代のためだけに生きるなら、それは問題です。自分の死後にも生き続ける人々のために、あなたの人生を投資するのです。投資すべき人を捜してください。純粋に自分のすべてを注ぎ込むことのできる人をです。
私がそれを決心したとき、29歳でしたが、22歳の大学生や大学院生といつも一緒にいるようにしました。今年新たに40人のフルタイムのインターンが私の傍らで学んでいます。2年目のインターンは25人で、合計65人が学んでいます。開拓教会では、さらに100人がインターンとして学んでいます。目的は教会が絶えず産み出すエンジンとなるためです。
３つ目の核心は、民数記11章10～17節から与えられました。モーセは、民がそれぞれの天幕で泣くのを聞きました。マナではなく肉が食べたいと言って、泣いていたのです。モーセは、イスラエルの民を導いていましたが、その難しさにうんざりしました。モーセは神のところへ行き、「もう十分です。私には荷が重すぎます。どうか私を殺してください。彼らを導くのは、もう無理です」と申し立てました。
しかしここで、モーセの言葉ではなく、神のことばに私の目はひきつけられました。神様はモーセにこう言われました。「モーセよ、あなたは一生懸命働きすぎている。評判の良い70人のリーダーを選びなさい。わたしはあなたに与えたわたしの霊のいくらかを、彼らの上に置こう。」つまり、モーセと同じような愛と決意、情熱、召し、賜物を与えると言われたのです。モーセと同じスピリットを与え、その力でモーセを助け、ともに働くのです。
これを読んだとき、私は「私にも70人のリーダーを与えてください」と願いました。私に与えてくださった主のDNAを、70人に注いでくださいと祈りました。
モーセは、主が言われたとおりに出て行き、1日で70人を集め、会見の天幕に連れて行きました。捜し回る必要はありませんでした。すでにそこにいたのです。最高のリーダーは、あなたのすぐそばにいます。しかし、近すぎて見えません。主は、はあなたの目を開けて、次のリーダーがだれかを教えてくださるでしょう。ダイヤモンドの原石がそこにいるということを信じてください。そして、自分の人生を彼らに賭けるのです。私は、神が選び出されたリーダーの名を書きとめておきました。
最近、そのリーダーの中からふたりが結婚しました。教会で結婚したふたりが手紙をくれました。「教会のために、私たちのこれからの25年間をおささげしたいと思っています。世界中の教会を開拓するために主が私たちを召されたので、世界の全大陸で教会を開拓する責任を与えてください」と書いてありました。神は、若いリーダーを与えてくださいました。
主の働きやリーダー訓練のための息子・娘を育ててください。パウロはテモテに向けて「わが子テモテ」と呼びかけて手紙を書きました。彼らの絆はとても強かったので、テモテのことを子と呼んだのです。
このように、民数記11章を読んで、3つ目の核心が与えられました。芽を出しているリーダーを見つけ、神の前に差し出すことです。芽を出しているリーダーを引き寄せて、認めてあげるのです。マタイの福音書9章のみことばに戻り、収穫の主に拠り頼んでリーダーたちのために祈るのです。「主よ若いリーダーを見つけました。まだ粗削りです。でも主よ、彼らを収穫のために遣わしてください。」
半年に一度、私とリーダーチームは、主要なリーダーのために祈ります。「潜在的なリーダーがだれなのか見分けられるように、私たちの目を開いてください。」私たちは、20～30人くらいのリストを作り、主の前に差し出す祈りをします。すると、主は驚くほど多くの人を導かれます。彼らは「神に導かれた」と報告します。
リーダーを育てる4つ目の核心は、マルコの福音書12章28～33節によります。律法学者がイエスに尋ねました。「すべての命令の中で、どれが一番たいせつですか。」するとイエスは、「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ」と答えられました。2つ目の戒めは「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」です。これらよりもたいせつな戒めはありません。
私は若いリーダーを集めて教え、祈り、ともに歩み、自分の知識を伝えていましたが、育て方がわかりませんでした。その秘訣がマルコの福音書12章30節にあったのです。芽を出しているリーダーに5つの愛を教えていくのです。心と思いと知性と力を尽くして神を愛し、隣人を自分のように愛するのです。この5つの愛を教えたら、私の役目は終わりです。
この5つの愛で主と隣人を愛するというのは、心の問題です。マタイの福音書15章19節で主が言われたことは何でしょうか。悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、ののしりなどは、心の中から出るというのです。愛するというのは、心の姿勢です。思いを尽くすというのは、確信の問題です。あなたの内から出たものが、あなたを動かす確信となります。知性を尽くして神を愛するとは、神の御心やご性質を理解し、神の使命を理解することです。力を尽くして神を愛するとは、能力や力の問題です。良い仕事をするためのスキルや能力です。最後に、隣人を愛するとは、あわれみの心を持つことです。心の姿勢や確信が問われるのです。それらすべてが結びつき、神の愛とあわれみを、傷ついた世界に向かわせます。若いリーダーがこの5つの愛を学ぶなら、愛を抱き、愛に生きるのです。
最後に、5つ目の核心は、使徒の働き4章13節によります。エルサレムで祭司や長老たちはペテロとヨハネの大胆さを見ましたが、ふたりが無学な人であることを知って驚きました。みなはペテロとヨハネを見て、「イエスとともにいた」と判断しました。イエスの雰囲気とインパクトが、彼らの内に明らかにあったのです。祭司や長老たちはペテロとヨハネの中にイエスを見たのです。
イエスが十二弟子を訓練されたときの秘訣は、何だったでしょうか。彼らと時間を過ごされたことです。朝から晩まで一緒にいて、ともに食べ、ともに働いたのです。弟子たちは、イエスの生活を24時間目にし、隠されたところは何もありません。ですから、長老ですらイエスのインパクトを弟子の姿に見ることができたのです。使徒の働き4章13節で大事なことは、ひとりで働かないということです。あなたがひとりで働くのではなく、若いリーダーを周りに置くのです。ひとりで働くと、若いリーダーを教える機会を失ってしまいます。家に連れてきて、あなたのリーダーシップにたっぷり触れさせてください。部屋が余っているなら、1年間でもそこに住まわせてください。あなたの生活する姿や家族関係を見せ、学んで成長してもらうのです。時をむだにしてはなりません。
ここ数年、500人の若者がメンターリングに参加しました。そこから教会開拓に多くの人が遣わされました。そして、さまざまな宣教団体や会社、民間や政府で働いています。その若いリーダーたちが教会を建てていくのです。この日曜日にも一つの教会が始まりました。来月には、隣国で新しい教会が始まります。再来月には、さらに違う隣国で教会が始まる予定です。みなこのナイロビチャペルで訓練を受けたリーダーたちです。
収穫の働き人が増えると、もっと多く刈り取れます。あなたにも若者を訓練することができます。未来と遺産は彼らにかかっています。過程は独自のものです。しかし、くり返し改善するなら、新しい方法を見いだすことができます。皆さんも環境や状況は違いますが、同じようにできます。鍵はリーダーです。シンプルに始め、改善していってください。あなたに合うリーダーを見つけて、リーダー文化を造り上げてください。

※ 「グローバル・リーダーシップ・サミット（GLS）2013」のスピーチを抜粋したものです。

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