いのちを与えるキリストによってつながる

   束縛を解いてくださるイエス
 
ソウル・オンヌリ教会 主任牧師 イ・ジェフン


ルカの福音書13章を見ると、イエスは会堂で教えておられる時、だれも関心を持たない一人の女に目を留められました。それは、18年間、腰が曲がって全く伸ばすことができない女でした。イエスは、教えに耳を傾けていた群衆の一人一人を見られ、彼らが何によって束縛されているのかに関心を持たれました。
この女は病のために腰が伸びず、イエスの顔も見られなかったはずです。イエスはこの女を呼び寄せました。イエスが女に「あなたの病気はいやされました」と言って、手を置かれた瞬間、女は腰を伸ばして立ち上がり、神をほめたたえました。サタンはこの女を18年も縛りつけていたのに、イエスがこの女の束縛を解くのに18分もかかりませんでした。
しかし、その時、また別の問題が生じます。会堂管理者が憤り、群衆に向かって、安息日のおきてを破ったと叫んだのです。この会堂管理者の憤りについて、私たちはどう理解したらよいでしょうか。なぜ、この会堂管理者は、おきてが破られたことに対して、そんなに憤ったのでしょうか。
このようなゆがんだ宗教的感情は、1世紀のユダヤ人たちにだけ現れたものではありません。17世紀のスコットランドでも、とても厳しい安息日のおきてを適用しました。ある厳格な牧師は、安息日に母親が遠方から汽車に乗ってきたという理由で、その子どもにバプテスマを授けませんでした。清教徒たちが安息日のおきてを極めて律法的に守り、多くの婦人たちや子どもたちを投獄し、むち打ったことは、事実として知られています。
私たちが信仰の面で見習う点の多い清教徒たちでさえ、このようなゆがんだ制度を心から信じ、従っていたとすれば、今の時代にイエスが来られたら、「これは間違っている」と言われる制度がありうるのではないでしょうか。
イエスは、「偽善者たち!」と言って叱責されました。偽善には二種類があります。一つは、外見と中身の違う個人的な偽善です。もう一つは、間違っていることを正しいと信じることから生じる、集団文化的な偽善です。
会堂管理者は、倫理的に外側と中身が違う偽善のゆえに指摘されたのではありません。会堂管理者が、当時、ユダヤ社会の指導者たちが一般的に正しいと信じていた文化に染まっていたために憤ったのです。イエスはそれを偽善だと指摘されました。これは、間違っていることを正しいと信じているために生じた集団文化的な偽善です。
会堂管理者が陥っていたこの偽善の原因は、何でしょうか。ある社会が集団文化的な偽善に陥るのは、どうしてでしょうか。それは、目的を失ってしまった制度や形式を固守しようとするときに生じます。彼らは、安息日を聖く守るために、「どのように」するかについてだけ研究しました。ところが、彼らは「なぜ」守らなければならないかについては、研究しませんでした。その結果、目的を知らないで行うことが、どんどん増えていったのです。
「どのように」という質問は、「なぜ」という質問にいつも従属しなければなりません。方法がわからないときは、「なぜ、それをしようとしているのか」という質問に戻れば、自然に方法がわかります。ところが、「なぜ」するのかを知らず、「どのように」という問いだけに答えようとすれば、目的とは関係のない、でたらめなものを作り出してしまいます。そのようにして作られた制度に従い続けるなら、集団文化的な偽善に陥ってしまうのです。集団文化的な偽善に陥れば、重要でないことを守ろうとして、より重要なことを忘れてしまいます。制度自体を守るために、相手の真のニーズや問題には目を向けない、まるで催眠術にかかった集団のようになってしまいます。
会堂管理者は、自分の属している社会が正しいと信じている宗教的な制度が崩れることに対して憤りました。しかし、イエスは、ひとりのたましいが病に縛られていることに対して憤られました。「この女はアブラハムの娘なのです。それを十八年もの間サタンが縛っていたのです。安息日だからといってこの束縛を解いてやってはいけないのですか」(ルカ 13:16)。
会堂管理者は、律法を、その目的である愛を実践する道具としてではなく、愛を殺す道具に変えてしまいました。しかし、イエスは、律法の目的である愛を行うことを妨げる制度ならば、たとえどんな制度であっても崩されるだろうし、また崩されなければならないということを見せてくださいました。
会堂管理者がイエスにつけた罪名は「安息日の破壊者」でした。しかし、イエスは「安息日の回復者」でした。イエスが解いてくださったものによって、再び束縛されることがあってはなりません。
私たちのうちに、会堂管理者の偽善的な憤りはないでしょうか。自分では正しいと信じていることが、集団文化的な偽善から出た誤った信仰ではないか、探ってみましょう。
苦しみの中にある人たちを、愛の心で捜し、救おうとされる神の目的が成し遂げられる教会の制度にならなければなりません。


イ・ジェフン
ニュージャージー初代教会元主任牧師。
米国トリニティ神学大学(修士課程)修了。
ゴードン・コンウェル神学大学(博士課程)修了。
現在、オンヌリ教会主任牧師。

 

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