教会成長のための牧会戦略

   QTの働きは牧会の本質です
 
東京オンヌリビジョン教会 主任牧師 張在潤


みことばを聞いて衝撃を受けるとき、私たちのうちに信仰が芽生えます。また、みことばの影響を受けるとき、自分の姿が変わり始めます。私たちにとってみことばは、製品の使用説明書のようなものです。人間は神によって造られたため、その人生のマニュアルは聖書なのです。みことばに従って生活すると、神が願われる最善の人生を生きられるようになります。神のみことばがないのではなく、悟らないために、まるでみことばがないかのように勘違いするのです。聖書を読み、説教を聞いていても、そのみことばと実生活が別ものになってはいないでしょうか。
みことばとつながっていない信仰生活を長く続けていると、知識だけが増し、自分には何の変化も起きません。食事をとると胃で消化され、栄養素はからだの隅々に行き渡り、エネルギーが生成されます。そうすると、懸命に働き、また、仕事をする意欲が生じます。もしエネルギーが生じても、動かないでいると肥満になります。同様に、みことばを読み、黙想すれば、霊的栄養分が自分のたましいに伝わり、霊的エネルギーを得ることができます。次は自分の人生に適用し、実践しなければならないのに、黙想して恵みだけを受け取り、適用と実践がない場合は、霊的肥満になります。そんな状態でイエス・キリストを長く信じてもまったく同じです。霊的肥満となった人の特徴は、知識が多いために人をさばき、しきりに教えようとし、教師になろうとします。常に自分の考えが正しいと主張し、人の話を聞かず無視します。ですから、実践が重要なのです。霊的なエネルギーを得て、これが手と足までつながるとき、自分の周りに影響を及ぼすことができるからです。そうすれば人格による伝道、生活伝道がよくできるのです。

牧会をしていて悩むことは、聖徒がイエスを信じ、救われた後にも、あまり人格的な変化が見られないことです。救われた者の聖化の問題が、教会の成長とリバイバルに大きく関連していることを悟る必要があります。結局のところ、聖徒の救いと聖化に焦点を合わせて牧会することが重要なのです。イエスを信じて、人格的に変わらなくても天国に行くことができるなら、天国とこの世に何の違いがあるでしょうか。天の入り口で問題が生じないよう、神の子どもとして霊的に成長し、人格的に変わらなければなりません。
それでは、どうすれば変化できるでしょうか。みことばを読むと同時に、みことばが自分を読むようにしなければなりません。みことばが自分に触れるとき、心に感動が起きたり、チャレンジを受けたりして、悔い改めの心が起こされ、聖霊がみことばに照らしてその人を変えてくださるのです。
このように、確かにみことばは人を変化させてくれますが、そのためには、その人の心の内にみことばが蓄えられなければなりません。そうするとき、その蓄えられたみことばに照らし合わされて聖霊が変えてくださるのです。たとえば、イエス・キリストを信じて、愛の人に変えられたいと願ったとします。そのとき、コリント人への手紙第一13章4〜7節「愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをかまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます」というみことばを、自分の心の中に蓄えるのです。その後、「聖霊様、このみことばに照らして、私を愛の人として造り変えてください」と祈り続けるのです。そうすると、聖霊が実習する機会を与えてくださいます。

私の息子が高校3年の時のことです。隣に家が貧しくて弁当も持って行けない学生が住んでいました。私はその学生がかわいそうに思い、息子に、その子の弁当を持って行ってあげたらどうかと提案してみました。すると息子は気が重い様子で「考えてみる」と言いました。実際、それは普通の反応かもしれません。しかし、息子は悩んだ挙句、自分の弁当をその友だちにあげて、自分は食べずに一食を抜くことにしました。私としても、食べられずに空腹な人を思うと切なくなりますが、自分の息子が弁当を人に譲っておなかをすかせていることには、もっと心が痛みました。私は自己中心的な自分が恥ずかしくなりました。それからしばらくして、息子はその友だちのために毎日お弁当を2つ用意すると決め、卒業するときまで続けました。さらに、授業料も代わりに払いました。この出来事を通して、私は、隣人を愛するということは、感情やロマンスなどではなく、自分が犠牲となり、損をすることなのだと悟りました。みことばと聖霊が私を変えてくださった大きな出来事だったと思います。

聖霊が人を変えるために必要ないくつかの基準がありますが、その基準の一つはみことばです。みことばの基準が自分の内側にあるとき、聖霊がその基準に合わせて私を変えてくださるのです。前述したように、愛について頭だけで理解していたことを、聖霊は実践を通して学ばせてくださいましたが、オフィスでも同様に働いてくださいました。
女性スタッフの一人が、私が頼んだことを2日間も放っておいたことがありました。少し手間をかければすぐに終わることなのに、彼女は怠けていました。3日目になり、さすがの私も腹が立ち、その姉妹を呼んで叱りました。しかし、その後私はなぜか不安な気持ちになり、家に帰って妻にオフィスであったことを話しました。妻はそれは腹を立てたのではなく、訓戒するために叱ったのだから、それでよかったのだと言って私を慰めてくれました。翌日の早朝、朝の祈りの時に、前日のことで心が重く感じ、祈りの言葉も出てこないほどでした。そのとき、ふと思いつき、彼女に何かおいしい昼食をごちそうすることを心に決めました。仕事に行く途中で一番おいしそうなお弁当を2つ買い、オフィスに行きました。昼休み、姉妹と昼食を食べるのが少し恥ずかしかったので、私は弁当を1つだけ取り出して、おいしい弁当を買ってきたから、これを食べるようにと勧めました。すると、姉妹が驚いた表情をしました。正しくは、「自分が過ちを犯したのに」と戸惑う様子でした。しかし、私は思わず「昨日の私を赦してください」と謝りました。まったく考えていなかった言葉が無意識に口から出ていたのです。
その後、その姉妹は本当に熱心に仕事をするようになりました。勤務時間が終わっても、自ら進んで残業をするほどの熱心さでした。このすべては聖霊の働きでした。私の心の中にコリント人への手紙第一13章4〜7節のみことばが蓄えられ、聖霊がみことばで私を変えてくださったのです。この出来事を通して、みことばが私の内にあるとき、御霊の助けによって変わる可能性があるという結論を得ました。
これらの経験を通して私がつかんだものがQTです。教会ではQTによる牧会をするようになりました。2001年に東京オンヌリ教会を開拓し、まだ集まる人が少なかった頃にも、意外にも聖徒たちが預言、神秘主義、病のいやしなどの奇蹟に夢中になるのを見て、みことば中心の生活をするよう導くことの重要性を感じました。その時から聖徒たちにQTを教え、週に1回QTの分かち合いをしながら、みことばに根を下ろすように努めています。イエスを常に見上げるよう導くために、聖日礼拝の講解説教もQTの説教をしました。

イエスのみことばを見ると、世の考え方や思想では理解できないものがたくさんあります。みことばの中には、中間のプロセスだけが語られ、結論を省略しているものがあります。マタイの福音書10章34節を見ると「わたしが来たのは地に平和をもたらすためだと思ってはなりません。わたしは、平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのです」と、信じられないようなみことばをイエスは語られました。イエスは平和の王として来られた方なのに、「剣をもたらすために来た」と言われるので、理解しがたいみことばです。このような場合は、プロセスが語られ、結論が残されたままなのです。私たちは、深く黙想して結論を見つけ出す必要があります。それを発見したとき、説教者は喜びと興奮で満たされるのです。
また、イエスは中間のプロセスを省略し、結論だけを語られることもあります。マタイの福音書5章から7章までの山上の垂訓では、ほとんどプロセスが省略されています。たとえば、5章6節の「義に飢え渇く者は幸いです。その人たちは満ち足りるから」の場合、始まりおよび結論だけがあって、どのように満ち足りるのかという、中間の説明がありません。こういう場合は、説教者が黙想してプロセスを探さなければなりません。QTを通して霊性が深まれば、聖霊の助けによって隠されている内容を発見して、共に分かち合える喜びが増すことでしょう。

人々は食べものがあるところに集まってきます。このように教会の中に健康な霊的糧があると、渇いたたましいが集まって来ます。理性的で常識的な経験には限界があります。このような経験だけでは、永遠のものに対する飢え渇きを感じる段階までは行き着いても、最後の壁を越えることはできません。しかし、聖霊が助けてくださるとき、これらの壁を越えることができます。みことばを深く黙想する中で、聖霊の助けがあってこそ、常識の世界を越え、霊的な世界を味わうことができるのです。ただ習慣どおりに信仰生活をするような宗教人の姿から脱皮しなければなりません。
私は、聖徒がQTを通してみことばによる備えをし、教会の中に霊的な糧が蓄えられることを願っています。多くの渇いたたましいが霊的な世界という、より高い段階の世界に目を向けられるよう助けることこそ、QTによる牧会であると確信しています。


張在潤
韓国漢陽大学校卒業。貿易業(16年間)に従事。ソウル長老会神学校、総神大神学研究科卒業。現在、東京オンヌリビジョン教会主任牧師。

 

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