イントゥ・フリースクール教育室長 ハ・シンジュ
イントゥ(into)の働きは、中高生たちのセルフイメージを回復させ、価値観を変化させるプログラムです。最近、中高生たちのセルフイメージは病み、崩れています。彼らのセルフイメージは、どうしたら回復されるのでしょうか。 この世に打ち勝つ力は、信仰にあります(Ⅰヨハ 5:4参照)。中高生たちに信仰が植えられるとき、彼らのセルフイメージは健全になり、その人生に驚くべき変化が起こり始めます。
1.愛に飢え渇いた子どもたち 最近の子どもたちは、愛や真の交わりに飢え渇いています。「だれかが私の話を聞いてくれたら…、私のそばにいてくれたら…、私のことをわかってくれたら…。」愛に飢え渇くと、自分のことを恥じるようになり、人を恐れるようになります。その結果、セルフイメージが崩れ、病んでいくのです。 最近、スマートフォン中毒がますます深刻になっています。以前、イントゥの中高生トレーニング集会に来ていた中2の女の子は、深刻なスマートフォン中毒により、携帯を一瞬も手放すことができない子でした。シャンプーをしながらも片手に携帯を持ち、片手で頭を洗う程でした。この子が中1のとき、学校で親しい友人たちからいじめられ、心が崩れ、帰宅してから母親に友だちのためにつらいと泣きながら訴えたそうです。しかし、牧師夫人である母親は、忙しいあまり、娘に「祈ろうね」と言ったきり出かけてしまいました。祈ろうと言った母親のことばが、慰めではなく、傷になってしまったのです。 「そうじゃないよ、お母さん!祈ろうじゃなくて、そっと抱きしめてよ。話を聞いてよ。とっても寂しいよ。つらいから、いっしょにいてよ。」この子は、心の中で涙ながらに訴えていました。その後、この子は母親に心を閉ざし、その時から匿名の人たちと携帯メッセージを交わし、寂しさを紛らわせていました。そして、だんだん携帯への執着がひどくなり、中毒になっていったのです。 この学生が中高生トレーニング集会に来た初日、講義の後の祈りの時間のことでした。この子は主を呼ぶ代わりに「お母さん!・・・わぁぁぁ!」と無我夢中で叫びながら泣き出しました。「お母さん!話を聞いて!とてもつらい!友だちがこわいの!」と言って泣き続け、それまで胸の奥底に閉じ込めていたことを吐き出しました。その日、その子は主に会い、主の温かい愛を経験しました。やみから光へ出たこの学生の中に驚くべき変化が起こり始めました。セルフイメージが回復し始めたのです。
2.やみから光へ やみの中に光が照らされると、私たちの悪い思いが、すべて明らかになります(エペ 5:13参照)。内面のやみが明らかになり、光が照らされると、神の温かい愛を経験し、ことばでは言い尽くせない感動を味わうのです。やみには光がなく、愛がありません。光がなければ、いのちが育たず、成長が止まります。やみの中には、傷ついた感情が隠れています。不満、憎しみ、憤り、悲しみ、寂しさ、悔しさ、劣等感、敗北感、恥ずかしさ、罪責感、恐れ、絶望、憂うつ、殺人衝動、自殺衝動・・・。これらはみな、愛されないために現れる現象です。 子どもたちは、このような内面のやみを隠します。仮面をかぶり、外見はいい子のふり、幸せそうなふり、信仰があるふりなど、うまくやってのけます。その理由は、愛されたくて、認められたいからです。そのような自分の本音を出したら、無視され、見捨てられるかもしれないと恐れています。どんなにいい子のふりをし、問題がないようなふりをしても、それは本当の姿ではないのです。 セルフイメージの回復は、自分の内面の本当の姿が明らかになるときに起こります。そうすれば、主に理解され、受け入れられていることを経験し、セルフイメージが回復し始めます。そして、教師が、恥ずかしさや恐れを現す子どもたちを温かく抱きしめてあげ、共に泣いてあげ、祈ってあげるとき、さらに驚くべき回復が子どもたちのうちに起こり始めるのです。
3.中高生集会に参加した学生の感想文 「集会の中で、講師の先生が、友だちに対する罪責感、イライラ、憎しみなど、すべて主に打ち明けなさいと言い、それが主を信じ、信頼する祈りだと言いました。そんな祈りを主は聞いてくださるだろうか。でも、そんな考えを捨てて、私は主に心から正直に自分の心を打ち明けました。すると涙が込み上げ、心が温かくなりました。そのとき、グループリーダーが、私を抱きしめ、祈ってくれました。自分でどうにもできないほど、涙と祈りがあふれ出ました。その瞬間、友だちに対して感じていたイライラや憎しみが消え去り、赦したいという気持ちが湧いてきました。」(小学校6年生 女子)
ハ・シンジュ 『中高生グリーンノート』(小グループ教材)『健全な自己像』の著者。現オンヌリ教会イントゥ教育研究院院長、ツラノイントゥ・トレーニング学校主講師、イントゥ・フリースクール教育室長。
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