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   ã€Œæ–°æ¸¡æˆ¸ç¨²é€ æ²¡80周年記念〜日本国の処方箋〜」
 
NPO法人「がん哲学外来」理事長 樋野興夫


はじめに
2011年3月11日の東日本大震災から2年が過ぎた。80年前の1933年3月3日にも、今回と同様に三陸で大地震があったと記されている。その時、新渡戸稲造は被災地を視察したとのことである。その惨状を目の当たりにした新渡戸稲造は「UNION IS POWER」(協調・協力こそが力なり)と当時の青年に語ったと言われている。まさに、今にも生きる言葉である。
人間は、自分では「希望のない状況」であると思ったとしても、「人生の方からは期待されている存在」であると実感する、深い学びの時が与えられている。その時、「その人らしいものが発動」してくるであろう。一見「理解不能モード」である複雑な現代社会、混沌の中での「新渡戸稲造の学び」から見る「現代の日本社会の病理」の視点は、全国に広がることが期待される。

若き日の人生の邂逅
小さな村で、我が生涯に強い印象を与えたひとつの言葉がある。「ボーイズ・ビー・アンビシャス」(boys be ambitious)である。札幌農学校を率いたウィリアム・クラークが、その地を去るときに、馬上から学生に向かって叫んだと伝えられている言葉である。これが私の原点であり、それから自らの尊敬する人物について静かに学んできた。その人物とは、南原繁、新渡戸稲造、内村鑑三、矢内原忠雄である。
最初の出会いは南原繁に始まる。19歳の時に、ある人物を通して、南原繁の風貌を知るに至った。大変、興味を抱き、南原繁という人物をさらに知りたいと思った。そこで南原繁の本を必死に読んだ。彼の著作を読んでいると、新渡戸稲造に行き当たる。南原繁は、「何かをなす(to do)の前に何かである(to be)ということをまず考えよということが、(新渡戸稲造)先生の一番大事な教えであったと思います」と語り、また「明治、大正、昭和を通じて、これほど深い教養を持った先生はなかったと言ってよい」と語っている。それではいったい新渡戸稲造とはどういう人物なのかと、今度は新渡戸稲造の本を読むようになった。

陣営の外へ
私は、医師になり、すぐ癌研究会癌研究所の病理部に入った。そこで、また大きな出会いがあった。病理学者であり、当時の癌研究所所長であった菅野晴夫先生は、南原繁が東大総長時代の東大医学部の学生であり、菅野晴夫先生から、南原繁の風貌、人となりを直接伺うことができた。さらに、菅野晴夫先生の恩師である病理学者、吉田富三と出会うことができた。吉田富三は日本国を代表する癌病理学者であり、菅野晴夫先生の下で、2003年、吉田富三生誕100周年記念事業を行う機会が与えられた。これを機に、吉田富三への関心が高まり、深く学んでいくことになった。こうして南原繁との出会いから40年、さらに、吉田富三との出会いが追加され、必然的に「がん哲学」の提唱へと導かれた。さらに、幼年期の田舎の診療所のイメージが重なり、「陣営の外=がん哲学外来」へと展開した。「がん哲学」とは、南原繁の政治哲学と、吉田富三のがん学をドッキングさせたもので、「がん哲学=生物学の法則+人間学の法則」である。「がん哲学外来」は、生きることの根源的な意味を考えようとする患者と、がん細胞の発生と成長に哲学的な意味を見出そうとする病理学者の出会いの場でもある。私が「がん哲学外来」で語るのは、これまで学んできた5人の言葉で、まさに「言葉の処方箋」である。

偉大なるお節介症候群
「人間の身体の造りと、その心の動きとは、昔も今も変わってはいないのである。超近代的で合理的といわれる人でも、病気になって自分の死を考えさせられる時になると、太古の人間にかえる。医師に訴え、医師を見つめるその目つきは、超近代的でも合理的でもなくなる。静かで淋しく、哀れな、昔ながらの人間の姿にかえるのである。その時の救いは、頼りになる良医が側にいてくれることである」とは、吉田富三の言葉である。その時に何が大切か。「暇げな風貌」と「偉大なるお節介」ではなかろうか。忙しい人には心を開けない。人間はお節介をやいてもらいたい生物である。しかし「余計なお節介」は嫌いである。要するに、「偉大なるお節介」とは、他人の必要に共感することであり、「余計なお節介」と、「偉大なるお節介」の微妙な違いとその是非の考察こそ、これからの大きな課題となる。また、他の人々に注意を向けるには、「暇げな風貌」が必要であると考える。現代に求められるのは、「暇げな風貌」と「偉大なるお節介」であると感ずる今日この頃である。「暇げな風貌」と「偉大なるお節介」は、悠々と謙虚を生むことであろう。新渡戸稲造の写真・風貌に、「偉大なるお節介症候群」を感ずるのは、私のみであろうか!?
思えば我が人生は、まさに「すべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ロマ 8:28)の体験である。「医師は生涯書生」、「医師は社会の優越者ではない」、「医業には自己犠牲が伴う」(吉田富三)は、まさに、現代にも生きる「医師の3ヶ条」であろう。これが「がん哲学外来」のモットーでもある。


樋野興夫
1954年島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授、同大学院医学研究科環境と人間専攻分子病理病態学教授。NPO法人「がん哲学外来」理事長。国内初の「アスベスト・中皮腫外来」開設。第99回日本病理学会総会会長を歴任。

 

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