日本の教会の未来を見つめて

   「日本プロテスタント宣教150周年記念大会」に思う
 
ラブ・アジア・ミッション ● 竹内宣雄


昨年、7月8日、9日にわたって、パシフィコ横浜(神奈川県)で「日本プロテスタント宣教150周年記念大会」が開かれました。プロテスタント宣教150年を祝って各地で催された記念大会の中でも、最大規模の集会でした。私は9日の午後に開かれた分科会の講師として、この大会に参加することができました。この大会が開催されるにあたり、大会宣言が発表されました。その中には「幾多の困難を克服し来日した多くの宣教師・・・世界各地の教会に敬意をあらたに」すること、また「キリストにあってひとつ」であること、そして「これからの宣教の幻を期待する」ことがうたわれました。
2日間の開催期間中、全ての集会に聖霊様の豊かな御臨在があり、教団、教派を超えて「ひとつになる」ことができ、とても感動的で意義ある大会でした。しかし、テーマのひとつであった「これからの宣教の幻」については、ほとんど語られませんでした。そのことを、非常に残念に思っています。5年後、10年後、日本の教会は主にあって、どのように成長しているのか、これからどのようなビジョンをもって進んでいけば良いのかという具体的な方策を提示する人はいませんでした。
主なる神様は全人類、全種族を救いへと導くための計画をもっておられ、それにしたがって国を祝福し、復興させ、福音の使者を派遣し、弟子を育成してこられました。福音宣教や弟子育成のバトンが、今、東アジアに住む私たちに手渡されているのです。この渡されたバトンを次の世代に、次の地域に渡していくことが、神様が日本の教会に求めておられることであると思います。
そのことは、20世紀末、インドネシア、フィリピン、中国において大きなリバイバルを起こされたことによって分かります。また21世紀に入り、インド、タイなどの国々において、毎日何十万人もの人々が救われ、教会に加えられているとの報告を聞いています。このようにリバイバルを経験しているアジアの諸教会と協力して、多くの宣教師を全世界に派遣することが、21世紀になすべき日本教会の宣教方策の一つだと思います。それでは、具体的にどのような方法で日本の教会が中国やアジア諸国の教会と協力し、宣教師を派遣することができるでしょうか。
① 経済的援助を通して。景気が低迷しているとは言え、日本は今でも世界有数の経済大国です。特に日本の円はアジアの諸国において絶大な影響力をもっています。日本の教会が経済的にアジア諸国にある教会の宣教を支援するなら、何十万人、何百万人の宣教師を派遣できるのです。
② 日本というブランドを通して。日本の企業は世界中に支店、工場を持っています。また、「日本製の商品」は全世界から高い評価を受けています。その日本というブランドが用いられ、日本人クリスチャンがビジネスマンや技術者として派遣されるならば、宣教師が入れないような国々にも行くことができます。彼らが派遣されたところで、宣教の拠点を作り、他の国から来る宣教師を招くことができます。
③ 異文化宣教の経験を通して。数は多くありませんが、日本の教会は今までいろいろな国や地域に宣教師を送り出してきました。そこで培った経験や知恵は、神の国の資源です。まだ異文化宣教の歴史の浅い国々に行って分かち合うなら、これからの世界宣教に大きく貢献できるでしょう。
④ 在日外国人への伝道を通して。現在、日本に約221万7,000人の外国人登録者が住んでいます(平成21年7月、法務省発表)。それは日本の総人口の1.74%を占めています。また文部科学省は2020年までに30万人の留学生を日本に招聘する計画(グローバル30)を採決し、推し進めています。これからは海外に行かなくても私たちの住んでいる町で外国人への宣教ができるようになるのです。留学生が日本に来ているとき、彼らを助け、彼らに伝道し、弟子育成を行うならば、彼らは将来立派な宣教師として自国に帰ってゆきます。これは日本に与えられている最も効果的な世界宣教だと思います。
日本の教会は、過去150年間、まずは欧米から、そして、近年になってからは韓国をはじめとするアジアから、多くの宣教師を送っていただきました。しかし、日本がいつまでも宣教師を送ってもらう国ではなく、宣教師を送り出す国となることが主の御心であると信じます。日本の教会が中国や、それ以外のアジアの諸教会と協力するならば、多くの主の働き人を育成し、全世界に派遣することができるのです。プロテスタント宣教150周年記念大会が、過去の歴史に感謝したり、反省したりするだけではなく、日本教会宣教史における転換点となり、主の御力により、多くの宣教師を送り出す宣教大国になることを願ってやみません。



竹内宣雄
ラブ・アジア・ミッション代表、宣教師。1961年大阪生まれ。1991年香港・中国に派遣され、北京語、広東語、日本語で教会を開拓牧会する。2006年帰国後、中国内での弟子育成、在日中国人留学生への伝道に従事。各地で報告会を開く。


 

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