|
未来への声
|
日本の教会の未来~地域に開かれた教会を目指して |
|
日本ホーリネス教団 IGL 広島福音教会 牧師 ● 加藤望
広島は100万都市ですが、高齢化の波が押し寄せています。お年寄りが日中に集まるデイケアーセンターが増えています。また不況のあおりでしょうか、働くお母さんたちが増えて、保育園や、小学生たちが放課後に時間を過ごす児童館の需要が高くなっています。しかし行政の対応だけでは、施設も人員も足りないのが現状です。
地域のお年寄りに開かれた教会として そこで教会が、普段の日は空いているソーシャルホールなどを地域の人々に開放してはいかがでしょうか。例えば、地域のお年寄りのために安い費用で趣味の会を開くのです。教会で昼食を用意できれば素敵ですが、弁当注文という手もあります。または茶菓のみの提供でも良いと思います。とにかく、あそこの教会に行ったら色々な趣味の会をやっていると評判になれば、教会がお年寄りにとって気軽に立ち寄れる場所になるはずです。 私が牧会する教会には落語が趣味の方がいらして、クリスマスの祝会の時など大好評です。また声楽家の方もいらして聖歌隊の指導をしてもらっています。また介護士の資格を持っている方もいらっしゃいます。こういった教会員の賜物を活かして、普段の日に地域のお年寄りを対象とした教会のデイサービスを開きたいと願っています。時々落語寄席があったり、歌謡大会があったりしたら楽しいでしょう。最初は、教会に集うお年寄りが中心になるかもしれませんが、教会員のご家族や地域への宣伝を通して利用者の方が増えていったらなんと素敵でしょうか。きっとそこから信仰に導かれる方が起こされるでしょう。 よく私は、「部外者でも教会堂に入れるのですか」と聞かれることがあります。本当なら、すべての人に開かれているべき教会が、いつの間にか会員制クラブのようになっていないでしょうか。教会が地域の人たちとの間に壁を作り、自らを隔絶しているのです。もちろん、あの忌まわしいオウム真理教の地下鉄サリン事件以降、世の中の宗教アレルギーが進んだことは確かです。だからと言って、クリスチャンたちが本物の宗教であるキリスト教の良さを宣べ伝えないでどうするのでしょう。偽の神様と真の神様の違いを、こういう時こそはっきりと伝えることが必要なのではないでしょうか。キリストの教えは反社会的教えではないことを、口先や弁論ではなく、地域に仕えることを通して証ししていく必要があるのです。
地域の子どもたちに開かれた教会として 少子化が叫ばれて久しい日本です。確かに日曜日に教会学校に来る子どもたちの数は減っていますが、普段の日、学校から児童館へ直行する小学生たちは相当数に上るのです。そこで、教会が児童館として週に何日か場所を提供することはできないでしょうか。牧師夫妻だけでは対応できませんから、教会員や地域の児童相談員の方との協力が不可欠ですが、きっと地域の皆さんに喜んでいただけると思います。宿題を見たり、一緒に遊んだり、そして何よりも親御さんたちが安心して預けられる場所が必要なのです。 もちろん、塾や習い事に通っている子どもたちも多いのが現状ですから、何か教会でも習い事を教えることもできるでしょう。教会員に元教師や教員免許を持った方が何人かいらっしゃるので、補習塾を開いて学校の勉強についていけない子どもたちを助けることを考えています。私の家内は月に二回だけですが、17~8人の幼稚園と小学生の女の子たちに、木曜学校と称して「ゴスペル・フラ」(手話とフラを合わせて神様を賛美する踊り)を教えています。これが母体となって補習塾に広がっていったらと願っています。 教会に毎日、地域のお年寄りや子どもたちが出入りできたら、なんと素晴らしいことでしょう。地道な地域との係わりが土台となって、初めて教会が地の塩・世の光としての使命を果たせるのではないでしょうか。
超教派の文化伝道集会 広島では2008年のラブ・ソナタに始まって、2009年にはラブ・ウイング広島を開催しました。志ある教会同士が協力して連合聖歌隊やゴスペル聖歌隊を編成し、500名規模の集会を開きました。多くの新来者が来られ、教会間の連帯が生まれました。年に一度はこうした社会にインパクトを与える文化伝道集会を開催したいと願っています。地域伝道に教団教派の壁は邪魔になります。それぞれの教会の神学的違いは尊重しつつ、こと宣教においてはもっと一致協力できる、否、しなければいけません。キリスト再臨が近づいている今こそ、全世界に福音が宣べ伝えられる必要があります。初代教会のように、地域の人々に愛される教会になりましょう。そして、教団教派の壁を越えて、キリストにあって一つになろうではありませんか。
加藤望 牧師家庭に生まれる。高校卒業後、ホーリネス教団東京聖書学院入学。卒業後、開拓伝道に1年間従事し、米国アズサ太平洋大学でB.A.とM.Div取得。クレアモント大学院大学宗教学部博士課程(Ph.D)にて旧約聖書神学と解釈学を学ぶ。96年と97年、アズサ太平洋大学と神学校において非常勤講師を務める。2000年4月から日本ホーリネス教団IGL広島福音教会主任牧師として奉職。
|
|
|
|
|