日本の教会の未来を見つめて

   QTと神の臨在
 

ソウル良才オンヌリ教会担当牧師 ● イ・ジェフン


QTは頭でなく心でするもので、考えでなく人格でするものです。QTをみことばの黙想として限定してしまうことは、QTの豊かさを削ってしまう恐れがあります。QTの本質は神の臨在を人格的に経験する時間ですから、神の臨在を経験できる心が、最も重要な要素です。ヘンリー・ナーウェンは、今日起こっているサタンの悪賢い策略の一つは、私たちの祈りを思考活動や知的な活動などに作り変えてしまうことだと語りました。また、ブラザー・ローレンスの『敬虔な生涯』(CLC出版)はキリスト教の古典の一つですが、彼は敬虔な生き方を、神の臨在を日々練習することだと定義しました。そして、この心を「完全に献げられた心」と表現しています。

イエスの神の臨在体験
イエスは神の臨在を失うまいと、一人静まる時間を確保しました。弟子たちと共同体生活をされていたので、一人で静まることのできる時間は、弟子たちが眠りから覚める前、朝早く、まだ暗いうちしかありませんでした。イエスの弟子共同体は全生活をともにするもので、人間的に親密な共同体でした。しかしそういった親密な人間関係の中で取り逃がしやすいのが神の臨在です。
神の臨在を体験するためには、人間的な親密さを超越したところで、継続して自己発見を続けていかなければなりません。多くの人々と会う仕事をする人は、一人でいる時間が重要です。私たちは交わりの中に埋もれて、神を見ることができなくなることもあります。神が中心におられない交わりは、互いをだめにしてしまう可能性があります。牧会者の危機は、信徒たちとの関係の中に埋もれ、自分の内面の真実性を失ってしまうことです。自分を聖霊にあって、正直に客観的に見ることができなければなりません。常に信徒たちを教える存在として立っていることは、自分を見つめる目を失わせます。自分に返ってくる声を聞けなければなりません。
マルコの福音書1章35節は、イエスが朝早くまだ暗いうちに起きられたということばで始められています。早朝、疲れているイエスは、神への渇きによって目を覚まし、神の御前にひれ伏しました。力の強い男性でも、眠りを前にしてはその力を発揮できないものです。私たちのたましいが世で眠ってしまわないように、目を覚まし、神に向かう切なる渇きがあるようにと祈りましょう。イエスの霊性は、肉体の疲労を超えて神を渇き求める霊性です。イエスも人間の体を身にまとい、私たちとまったく同じ試みにあわれたので、神との深い交わりの時間を持たなければ耐えられなかったのです。生きている霊性は、神をこのように渇き求め、神との深い親密さがなければ満足できず、人生のすべての原動力を神から受けとる霊性です。
イエスは33年の生涯を生きられましたが、十字架上で息を引き取られる前、「完了した」と言われました。神から与えられた使命と人生の目的を全うしたという宣言です。このように告白できるなら、それは最も美しい人生を歩んだと言えます。なぜこのように告白できたのでしょうか。それはイエスが最も効果的な人生を生きられたからです。
イエスは、バプテスマのヨハネのように人々との交わりを絶つことはされず、人々とともに生活されましたが、人のように堕落の道は歩まれませんでした。イエスはこの地でしもべとして働かれる前には、神の子として父なる神との親密な交わりを持っておられました。しもべのように汗を流しながら働き、しもべの姿を見せられながら、父と温かい愛の対話をする子としての姿を同時に見せてくださったのです。このようなイエスのバランスの取れた生き方の秘訣は、静寂の中で持つ、父なる神との個人的な交わりにありました。私たちはここからイエスのバランスの取れた霊性を見出すことができます。神を切に追い求める内面的な霊性と同時に、イエスはご自分をすべて注ぎ出す外面的な霊性も示してくださいました。まことの霊性は、内面だけに留まらず、外に向かいます。また、まことの霊性は、内面的な深みが欠けているのに外面的な活動だけに存在するということはありません。
QTが目指している、内面に向かう霊性とは、沈黙と待つことを要求します。日々のQTは、沈黙と待機の中で神の臨在を体験する時間です。霊性神学者であるダラス・ウィラードは、静寂(Quiet)という単語の不足さを指摘しており、沈黙の時間(Silent Time)となってこそ、神の御声を聞くことができると主張しています。ヘンリー・ナーウェンは「沈黙は、孤独を実在のものにする道」と語っています。沈黙の中で、神の声をまず聞くことができなければなりません。また、QTは「待つ時間」にならなければなりません。私たちは、早い道、速戦即決の中毒になっています。早い速度で生きるようになれば、自分の内面で起きていることを見ることができなくなってしまいます。人々が一番嫌うことは、待つことです。世は待つことを無意味なことと考えます。しかし、深い霊性によって生きる歩みは、待つ歩みです。退屈でうんざりするように見える時間を忍耐して待つのです。神の臨在が体験できるときまで待ち、忍耐をもって待つことが霊性の歩みの基礎となります。



イ•ジェフン
米国トリニティ神学校神学修士号を取得、ゴードン・コンウェル神学校牧会学博士号課程中。アメリカニュージャージー初代教会の主任牧師を歴任。Durannoのクリスチャン月刊誌『光と塩』の運営責任者であり、ソウルオンヌリ教会の良才キャンパス担当牧師である。



 

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