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日本の教会の未来を見つめて
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一本釣りから網(ネット)で救う時代へ |
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一本釣りから網(ネット)で救う時代へ
恵泉キリスト教会バルナバ牧師 ● 千田次郎
昨年は、プロテスタント宣教150年の年でした。昨年私は幾度も幾度も、「私は、日本におけるプロテスタント宣教150年の3分の1を、50年間クリスチャンとして生きてきたのだ」と深い感慨をもって過ごしました。 私が救われた年はプロテスタント宣教100年という言葉が飛び交っておりました。それから牧師として立てられるまでの7年間、その当時の日本の教会の実状を見て、クリスチャンホームの少なさが気になっておりました。宣教100年と言えば、4世代、5世代のクリスチャンホームが誕生していてもいいはずです。しかし、その実情には、とても大きな危機感を覚え、自分にゆだねられる第一線での宣教の働きの中心を青年の救いによるクリスチャンホームの誕生と建て上げに置くように、強いビジョンが与えられました。2009年の3月で、牧師としての満44年を迎えました。牧師としての前半は、教会に導かれる青年の大半はノンクリスチャンの家庭で育った青年たちでした。彼らを救いに導き、育て、結婚へと導き、しっかりしたクリスチャンホームを建て上げていく、それはとてもやりがいのある素晴らしい働きでした。主の恵みによって、約80組のクリスチャンホームの建て上げに関わらせていただきました。その方々が日本の各地に散らされ、今そのお子さんの世代がクリスチャンホームを形成し始めております。 しかし昨年、幾度も思い巡らされたことは、私が直接かかわった第1世代のクリスチャンホームからどれだけ第2、第3世代のクリスチャンホームが誕生しているかという主からの問いかけでした。それと重なるように、バビロン捕囚から帰還し、神殿再建に取り組んでいくイスラエルの姿が目に留まりました。さまざまな状況に取り囲まれて、神殿再建が中断する姿に、日本のクリスチャンホームが神の神殿として建て上げられていない現状、地域教会を構成する根幹として確立されていない現状を見せられました。クリスチャンホームがこの世に対して宣教の最前線として建て上げられ、愛の共同体、神の家族、この世に向かって開かれた宣教の門としての役割を果たしているでしょうか。それができたら、どんなに素晴らしい実を結ぶことができることでしょう。地域教会がその地域全体に散らされたクリスチャンホーム、それも宣教の拠点としての、神の愛の共同体としてこの世に開かれた小教会として、その地域を祝福することができたなら、なんと素晴らしいことでしょうか。クリスチャンホームの家長はその家の祭司として家族を祝福し、家族一丸となってその地域や親族、友人を祝福していくことができたなら、なんと素晴らしいことでしょうか。 主はもう一つのことをこれまでの歩みの中で教え、導いてくださいました。1995年にバルナバミニスリーの研修がありました。1年かけて教会におけるコーチングの重要性と実際を学ぶ研修です。この研修を経て、山形県でネットワークによる教会開拓の実験が1996年から始まりました。その内容は、約1時間で集まれる諸教会の中から、新しい教会を生み出したいと願っている教会がネットワークを組み、互いに励まし合い、学び合い、バルナバを受けながら、それぞれの教会が少なくとも一つの子教会、それも次の孫教会を生み出す教会を3年間で生み出す取り組みです。これを指導してくださるためにアメリカから、宣教学者のロバート・ローガン師が毎月来てくださいました。5つの教会が参加して、ネットワークを組んで働きが始まりました。 その最初の集会で、ローガン師は、そこに参加した5人の主任牧師たちに、この働きは山形で終わるものではなく、日本全国にこの開拓ネットワークが増殖していくことが夢であること、その時には5人の牧師たちが日本全国どこにでも無報酬でバルナバ役として仕えてもらいたいと言われたのです。そのチャレンジを受けた5人の牧師たちは、「はい、わかりました」と神様に約束しました。この働きを山形で2期体験した後、なんと次のネットワークが北海道と沖縄で始まりました。5人の牧師は、2人ずつ組になって、超特割の航空券が発売される時期を選んで、北海道と沖縄のネットワーク集会を1日ずらして、北海道に行ったその足で沖縄に、あるいはその逆のコースを、3年間飛行機を利用して行くことになりました。このことは私には大きな神様からのチャレンジになりました。 3年間日本の上空を飛びながら、日本列島を思い浮かべつつ、いつの日か、必ずこの日本列島全体に教会開拓ネットワークの網(ネット)がかけられる時が来るという確信であり、主からのビジョンです。その時には、一本釣りから網をかけて多くのたましいを救いに導く時が来る、クリスチャンホームがまことの神の家族となり、家長が祭司として、伝道と牧会に立ち上がる時が来る、こうしてリバイバルが訪れるという確信です。共に夢を見、チャレンジしてみませんか。
千田次郎(ちだ じろう) 1938年岩手県生まれ。恵泉キリスト教会バルナバ牧師。山形大学卒業後、聖書神学舎で学び、1966年に母教会である恵泉キリスト教会に牧師として赴任、現在に至る。JCGIネットワークの働きの一つである教会増殖ネットワークのバルナバ役として、現在五つの教会開拓ネットワーク(参加教会数26)に、バルナバ役として仕えている。
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