未来への声

   日本伝道会議を通して「重荷の共有から宣教協力を」
 

日本伝道会議を通して「重荷の共有から宣教協力を」

第5回日本伝道会議運営事務局長 シオン・キリスト教団 蒲田教会牧師
● 石田敏則

2009年9月21~24日、第5回日本伝道会議が札幌コンベンションセンターを会場に開催されました。テーマは「危機の時代の宣教協力-もっと広く、もっと深く」副題は「宣教150年を迎える新しい日本と教会を拓くために」でした。登録者数は約2千人、のべ9千人以上の方々が集いました。この会議の特色は2日間にわたり実施された15のプロジェクトです。今後、参加した方々が会議のコンセプトを継続して取り組んでいきます。これまでの伝道会議は、あるテーマを専門に学んだ人たちが広くその事柄を啓発することが中心となっていたように思います。
しかし、一つのテーマに関心を持つ多くの人々がその意識を共有し、継続して学びを深め、ネットワークを作ることで、ある特定の人に特化していく課題が地域や空間を越えて広く日本の教会に認識され、深化し、そこから新しい方策が生まれてくると思うのです。情報を共有することは今後のキリスト教界においても大切な事柄です。さらに、伝道会議のもう一つの目的はこれからの宣教を考える時、教職者だけではなく信徒がいかに宣教に関わるかを考える機会とすることでした。そのためにあえて秋の大型連休を開催日としました。結果として参加者の約4割が信徒の参加でした。これは日本の教会の歴史において大きな一歩をしるすものだと思います。
しかし、一方で伝道は教職者の指導するもの、教職者の目線から信徒にかくあってほしいとの提言に終始したプログラムもあったと聞いています。それでは、信徒を生かしその可能性を深めることは不可能でしょう。
信徒の活用は日本の宣教にとって不可欠な要素です。多くの未信者との接点があり社会的経験を持つ人々、団塊の世代でリタイアする中高年、教会の7割を占めるといわれる女性、日本に住む外国人も大きな存在となって来るでしょう。教会はそれらの人々の可能性を模索しなければなりません。そして、それをプログラムすることが必要なのです。この時代の中で教職者自身が宣教のあり方を再認識する必要があるのかもしれません。
2000年の第4回伝道会議で採択された「沖縄宣言」では、「和解の福音」ということばが表しているように、教会こそが、真の平和を造り出す「和解の使者」であるとの使命を明確にしました。しかしその後、世界を取り巻く情勢は大きく変化し日本宣教も決して楽観視できる状況でなくなりました。
この10年間は、教会における様々な問題課題が表面化してきた時代でもあります。牧師の後継者問題、献身者・神学生の減少、牧師・教会員の高齢化、教会学校の生徒の減少、教会の閉鎖、牧師の精神的疾患、かっての伝道会議では扱われなかった牧師ケアの問題が大きく取り扱われたことも、この会議の特徴の一つでした。そして、それ以上に宣教の停滞、閉塞感が教会に蔓延している時代であろうと思います。しかし、危機の時代は同時に人々が自らの生き方を考える機会でもあるのです。ですから、私たちは、この危機をしっかりと見据え、宣教の転機として前進させていただきたいと願うのです。
基調講演で東京基督神学校校長の山口陽一師は、プロテスタント宣教開始以前のカトリック信徒の戦い、宣教師、派遣先の教会、キリスト教を根付かせてきた信徒など、先達たちの働きについて神への感謝を述べつつ、「危機の時代における宣教のために、聖書信仰と福音主義に立ち、戦時下の罪を悔い改めるプロテスタント教会の超教派的協力が切に願われる」と締めくくりました。
また、企画推進プログラム局長の竿代照夫師は、民族間対立、地球環境悪化、日本の右傾化、経済不況、キリスト教会の停滞など、「危機の時代」の今こそ宣教協力が重要であり、「マイチャーチイズム」(自分の教会中心主義)や「教派エゴ」(自らの教派を絶対視)を捨て、協力できる分野で協力していく『協』教派的伝道を模索していくべきこと、私たちが本当の意味で一つとなることが、伝道進展の鍵であると語られました。
会議の中でなされた地域別、年齢別の昼食会では「普段会うことのない地域の方との出会いがあり、共に食卓を囲み、互いの気心が知れるそんな機会が与えられた」、また「新しい仲間が与えられた」と感謝して帰られた方も多くありました。私たちは、お互いの事をあまりにも知らなさ過ぎるのかもしれません。1パーセントに満たない日本の教会にあって、教団、教派、教会の違いをことさらに強調するのではなく、共にキリストによる救いを受け、同じ信仰を(使徒信条)告白する者として互いの違いを認め合いながら、日本の宣教の前進のために協力したいと思います。ある意味で会議は一過性のものです。しかし、そこで出会い、知り合い、問題意識を共有し、共に重荷を負うところから宣教協力は始まるのではないでしょうか。この危機の時代にこそ神により頼み、まず地域教会が宣教協力を進めることが日本の教会にとって大切な一歩となるでしょう。


石田敏則
シオン•キリスト教団蒲田教会主任牧師シオン•キリスト教団理事。1955年北海道生まれ。20歳でイエス•キリストを信じる。大学卒業後献身、ビリーグラハム大会事務所にて奉仕。聖宣神学院卒業後、蒲田教会にて奉仕。2000年蒲田教会主任牧師就任。



 

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