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信仰、ヘブル人への手紙11章②

アベルの信仰とエノクの信仰

アベルの信仰と
エノクの信仰

ハ・ヨンジョ
●
オンヌリ教会主任牧師

信仰を定義するときに一番大事なのは、その信仰が本物かにせ物かということです。にせ物の信仰は自分の中から出るもので、本物の信仰は神から来るものです。この2つは9割くらい似ているため、人はよく混同します。しかし、本物の信仰をつかんだ人はやがて美しい実を結びます。
信仰の実と祝福とはどのようなものでしょうか。それは神に認められることです(2節)。それはこの世でもっとも大きな祝福です。認められないことを拒絶と言いますが、これは傷の中でもっとも大きな傷です。上司や親、先生や友人たちから認められる人は幸いな人です。何より神から認められる人は祝福された人です。信仰をもって進み出るならば、神は誰でもみな認めてくださいます。

義と認められたアベル
「信仰によって、アベルはカインよりもすぐれたいけにえを神にささげ、そのいけにえによって彼が義人であることの証明を得ました。神が、彼のささげ物を良いささげ物だとあかししてくださったからです。彼は死にましたが、その信仰によって、今もなお語っています」(ヘブ 11:4)。
アベルの信仰が4節に、エノクの信仰が5節に述べられています。創世記4章1～8節を読むと、「どうして神はアベルを祝福してカインは祝福されなかったのだろう」「これが今の私たちの信仰とどう関係があるのだろう」、このような疑問が生じます。
アベルの信仰は神に認められ、カインの信仰は認められませんでした。4節によると、アベルは信仰によって、よりすぐれたにけにえを神にささげ、神から義と認められました。信仰の祝福は神に認められることだということは先に述べました(ヘブ 11:2)。これは、神が元々罪人であった私たちを義と認めてくださるということです。
多くの人は肯定的な考え、できるという自信、積極的な行動が信仰であると誤解しています。それが間違いというわけではありません。しかしこれは信仰の一部なのであって、核心ではないのです。
「信仰がある」「信仰をもった」というとき、その信仰の核心は、「信仰によって義とされること」にあります。信仰から信仰にいたるのです。これが宗教改革の主題です。私たちの信仰の大前提は、「私は罪人であったけれど、信仰によって義とされた」ということです。これを一番最初に教えてくれたのがアベルでした。

アベルのささげ物とカインのささげ物
それでは、なぜ神はアベルのささげ物は受け取られ、カインのものは受け取られなかったのでしょうか。創世記4章2～7節を見てみましょう。
「アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。ある時期になって、カインは、地の作物から主へのささげ物を持って来たが、アベルもまた彼の羊の初子の中から、それも最上のものを持って来た。主はアベルとそのささげ物とに目を留められた。だが、カインとそのささげ物には目を留められなかった。それで、カインはひどく怒り、顔を伏せた。そこで、主は、カインに仰せられた。『なぜ、あなたは憤っているのか。なぜ、顔を伏せているのか。あなたが正しく行ったのであれば、受け入れられる。ただし、あなたが正しく行っていないのなら、罪は戸口で待ち伏せして、あなたを恋い慕っている。だが、あなたは、それを治めるべきである。』」（創4:2～7）。
アダムとエバが罪を犯しエデンの園から追放された後、カインとアベルを産みました。カインは土を耕す者、アベルは羊を飼う者になりました。ですから、カインが穀物を、アベルが羊をささげるのは当たり前ではないでしょうか。ところが驚いたことに、神はカインのささげ物はお受けにならず、アベルのものだけを受け取られました。

神の望まれるささげ物
私たちはここでいくつか誤解を解いでおく必要があります。まず、アベルが羊を飼う牧者だったから認められ、カインが農夫だったから認められなかったということではありません。それは職業の問題ではありません。
また、ささげる方法が問題なのでもありません。神がささげ物を受けとられる目的は、私たちの救いのためです。では、神の望まれるささげ物とはどのようなものでしょうか。それは小羊の血のささげ物です。自分の思いのままにささげることは偶像礼拝です。神の望まれるものをささげるのが信仰なのです。
私たちも礼拝をするときに、自分の好きな賛美や教会、自分の好きな方法で礼拝をささげています。ですが、このまま行くとカインのようになるかもしれません。神が喜ばれる礼拝、神が喜ばれるささげ物は、小羊の血のささげ物です。これは、イエス・キリストが十字架にかかって死なれることによって全人類を救ったことを象徴しています。このささげ物がアベルのときに始まったのです。その頃は、イエスも十字架もありませんでしたが、羊をほふってささげること自体が小羊イエス・キリストの血の犠牲につながるのです。それゆえ、神はこれを受け取られたのです。
アベルは神が望まれるものをささげました。しかし、カインは神のみことばや神の望まれるささげ物については関心がありませんでした。世のことに追われ、忙しく過ごしながら、「何でもいいや」とささげたのです。創世記4章4節によると、アベルが羊の初子の最上のものを持ってきたとはありますが、カインが農産物をささげたとはありません。ただ、「地の作物から主へのささげ物を持って来た」とあります。皆さん、神の望まれることを行ってください。献金も、神の望まれるお金をささげてください。神の望まれる時に、神の望まれる献身をしましょう。自分の思い通りにしていたら、そのうち怒りが生まれます。カインは怒り、殺人を犯しました。

生きて証しする信仰
神がアベルのささげ物を受けられたのは、アベルのささげ物が血のいけにえだったからです。ここに、ささげ物の大事な2つの要素を見ることができます。
一つ目は、農業をしていても、ささげ物は羊でなければならないということです。神の望まれるささげ物は羊の初子でした。
二つ目は、創世記4章4～5節の、見逃しやすいですが興味深い表現から分かります。「カインとそのささげ物」「アベルとそのささげ物」とありますが、ささげ物よりもささげる人が重要だということです。同じささげ物をしたとしても、その人がまず祈り、悔い改め、涙を流してささげる物を神は受け入れられます。アベルは明らかに備えのある人でした。アベルは信仰もあり、従順で、義人だったことでしょう。反対にカイン自身には信仰がなく、ふらふらと自分の思い通りに生きる人だったことでしょう。
ヘブル書11章4節の後半部には、死んでも信仰は語り続けるとあります。私は両親を尊敬しています。父は生前、1日に5時間祈っていました。祈りの中、召天しました。父の信仰は私のうちに生きています。信仰は、死ぬと終わるのではなく生きます。皆さんの信仰はあなたの子どもたちのうちに生きて引き継がれていくでしょう。信仰は代を継いで語ります。信仰には義人を作る力があるのです。結論として、アベルから学ぶ信仰は、義とされる信仰です。最高の信仰とは、病をいやしたり、不可能を可能にする信仰ではありません。罪人を義人へと変える信仰です。どうか皆さんが罪人を義人にしてくださる神のすばらしい祝福に感動されますよう願います。

神を喜ばせたエノク
アベルの信仰が義とされる信仰なら、エノクの信仰は神を喜ばせる信仰です。
「信仰によって、エノクは死を見ることのないように移されました。神に移されて、見えなくなりました。移される前に、彼は神に喜ばれていることが、あかしされていました」(ヘブ 11:5)。
アベルの信仰は神から義とされる信仰のモデルです。この信仰が皆さんのうちにありますよう願います。本物の信仰は義とされる信仰です。これがあれば、天地が崩れても心配ありません。私たちが誤った信仰を求めると、後で力尽きてしまいます。「奉仕もたくさんしたし、献金もたくさんささげたし、早天祈祷にも通ったのに、なぜ神様はこれだけしかくれないのですか」と、試みにあってしまいます。どうか、皆さんの信仰が皆さんを義とし、神を喜ばせる者と認められる信仰となりますように願います。この信仰があれば、貧しくても富んでも、病んでも、いくら悔しい思いをしても揺らぎません。

ともに歩む祝福
アベルは神から義とされ、エノクは神を喜ばせました。神はあなたを認めておられ、義とされましたか。自信を持って、｢はい」と言うことができますように願います。
エノクはどのように神を喜ばせる者として認められたのでしょうか。神とともに歩んだからです。エノクは365歳でした。300年、神とともに歩みました。私が神のうちにあり、神が私のうちにおられるならば、サタンや暗やみ、のろいや病、悲しみは存在できません。これがともに歩むということです。洗濯をするときも、旅行をするときも、何をしていてもイエスのうちにあるという麗しい交わりが、皆さんにありますよう願います。
ある牧師がこのような例え話をしました。「神がエノクに『さあ、わたしと一緒に歩もう』と言われました。それで2人は今日も日が昇るとすぐ、ともに歩みました。非常に親密な交わり、会話、ひとつとなる経験をしながら過ごしました。そうして300年ほど経ち、神がこう言われました。『あなたの家より、わたしの家のほうが近い。わたしとともに行こう。』そのようにしてエノクは神の国へと行きました…。」
エノクは死を見ることなく天に移りました。天に行くには、誰か引き上げてくれる人がいなければなりません。神があなたを引き上げてくださいます。私たちはともに歩む秘密、神がエノクと300年間ともに歩まれたということを慕い求めましょう。きょう、アベルとエノクの信仰が皆さんのものとなりますように願い祈ります。

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