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   アルゼンチン奥地宣教
 
アルゼンチン奥地宣教
在原茂・津紀子●アンテオケ宣教会

「宣教師たる者は、現地の牧師や民が行けない場所へ自ら赴き、道を開き、整えて後、現地の民にすべてを任せて立ち去ること。」
「宣教師たる者は、現地の牧師や信徒ができないことを自ら行い、これを教え、働きの実が実ったときにこれを譲り、次の宣教地へ立ち去ること。」
この宣教理念をもって、1988年1月24日、夏真っ盛りのアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに私たち家族は宣教師としての任命を帯びて着任しました。これより宣教活動を推進する場所は、首都から千km北方に位置するパラグアイ、ブラジルと国境を接するミシオネス州でした。
ミシオネス州は、アルゼンチンの北端の奥地に位置し、他の州に比べてインフラ整備が進んでおらず遅れているということでした。ジャングルを開拓して、いまだ50年余りしか経っておらず、生活水準が低く、危険も多く、何よりも隣国パラグライから洪水のように流入する麻薬ルートのど真ん中に位置することなども耳にしていました。
3人の子どもたちを持つ私と妻は、人間的な考えでは、安全かつ教育環境の整った都市部を宣教地にしたいと思いましたが、「いつ、いかなる状況にあっても、聖霊の導きに従い、主の御旨を尊ぶ」という言葉を実践することを、宣教地へ出発する以前から決断していました。ミシオネス州へ出発する夜間列車に乗るときには、多少の不安を心に抱きながらも、宣教貫徹の決意は固いものがありました。
そのときに、心の中に燃えていた言葉は次のようなものでした。「キリストの愛をもって、すべての人を愛そう。」「途中で逃げない。最後まであきらめない。」「逆境は人を神に近づけ、成長させる。苦難の道を喜んで受容しよう。」
聖霊の確かな導きに支えられながら、客観的に見て勝てるはずがないと言われていたミシオネス州における宣教は、最初の2年間は何もわからず、全くの手探り状態のような働きを続けざるを得ませんでした。しかし、「時が満ちた」というみことばの再現を見るように、ある日突然、主の語りかけと聖霊の導きを受けることとなりました。
その日をさかいに、州の奥地、それも一番山奥の地の民たちが救われ、その後、次々と人々が救われました。またいやしを受けながら、宣教地とその働きは拡大していきました。それは主の臨在を体験するすばらしい光景でした。第一期の5年を終了するときには、宣教地は隣国パラグアイにまで拡大し、合計10ヶ所(300km地帯)を数えるようになりました。
ミシオネス州とパラグアイの広大な宣教活動は、奥地に住む日系人の減少に伴い、10年を過ぎた頃からは6ヶ所に減少しました。日系人と現地アルゼンチン人対象の宣教比率を次第に変更しながら、1999年にはパラグアイの各宣教地は新しく着任された宣教師にゆだね、私たちの宣教は、21世紀に入るなり、ミシオネス州のおもに現地アルゼンチン人を対象にするようになりました。
文化、習慣、言語の壁に悩まされながらも、主の愛とあわれみ、何よりも聖霊の導きに従うことで働きは前進し、その後、二つの教会を建設した後、2008年2月からは州の北部、イグアスの滝の120kmの近くに位置するモンテカルロという田舎町に住居を移し、目下、開拓伝道に奮闘しています。現在は20名の群れを形成しながら、同時に教会堂建設を推進しています。勝てるはずがないと言われてきたミシオネス州における宣教は、主によって勝利を得ました。
こちらに来て20年間さまざまな方とお会いしてきました。私たちが宣教している周りの方々は圧倒的大多数が本当に貧しい方々です。多くの貧しい方々を助けながら、イエス様のことを伝えているわけですが、最近感動的なことがありました。
私たちは貧しい方々のために家を建てる働きをしています。その中でガンにおかされた19歳のグラフィーラという姉妹に出会いました。グラフィーラ姉妹はガンのために足を切断しなければなりませんでした。絶望して自殺まで考えたのですが、イエス様を信じました。その頃日本からの支援献金をいただいたのですが、それを報告しましたところ、元気を出し、立ち直りました。そして短期大学へ進学しました。大学は首席で卒業し、最近就職も決まりました。私たちに抱きつき、涙を流しながら喜んでいました。その時は宣教地に来てよかったなと心底思いました。こういった方たちがたくさんおられますので、宣教の働きが豊かに祝福されるように祈っていただきたいと思います。



¦ 祈りの課題 ¦
1. 現在、開拓伝道をしているモンテカルロの働きが勝利できるように。
2. 私と妻がいつもきよい動機で神様に仕えることができるように。
3. いつも神様の御心の中を歩むことができるように。
4. アルゼンチンの働きを通して日本の教会が祝福を受け取り、多くの献身者が与えられるように。
5. 日本の教会が霊的に一致することができ、大きなリバイバルが与えられ、教会と主の民が満ちあふれるように。

 

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