マタイの福音書の恵み 152

   祈る人は危機が訪れても勝利します
 
イエス様は、十字架を負われる前にゲツセマネで汗と血を流しながら祈られました。その祈りの結果はどうだったでしょうか。イエス様は十字架にかからなくてもよくなりましたか。そうではありません。十字架を負うことのできる力が生じたのです。私たちが祈ったからといって、みな病が治るわけではありません。治ることもあれば、治らないこともあります。大学受験をする子どもが祈って合格すれば、どんなにいいでしょう。しかし、そこに祈りの目的があるのではありません。祈れば、たとえ落ちても挫折しない信仰が生じるのです。苦難の環境を克服することのできる力が生じるのです。祈れば、私たちが願わないことが起こっても、恐れたり挫折したりせず、勝利することができるのです。
祈りによって十字架を待たれたイエス様
「イエスがまだ話しておられるうちに、見よ、十二人の一人のユダがやって来た。祭司長たちや民の長老たちから差し向けられ、剣や棒を手にした大勢の群衆も一緒であった。イエスを裏切ろうとしていた者は彼らと合図を決め、『私が口づけをするのが、その人だ。その人を捕まえるのだ』と言っておいた」(マタ 26:47~48)。
イエス様が祈っておられるゲツセマネに、剣や棒を手にした人々の群れが押し寄せて来たのです。そして、イエス様と3年間、苦楽をともにし、訓練を受けてきた弟子の一人であるユダがそこに現れました。愛し、信じていた人から裏切られるとき、人は深く傷つきます。
「それで彼はすぐにイエスに近づき、『先生、こんばんは』と言って口づけした」(マタ 26:49)。
イエス様の前には、剣と棒を手にした群れと、裏切りの口づけをするユダがいました。私たちの人生にも、このようなことが起こります。お金や権力のある人々の前で、悔しい目にあったり、信じていた親しい人から裏切られたりすることがあります。そのような目にあえば、人は恐れて挫折したり、戸惑って方向を見失ったりします。衝動的に怒りを爆発させたりもします。しかし、イエス様を見てください。このような状況をすでにすべてご存じで、待っていたかのように落ち着き、堂々としておられます。イエス様の姿には、自由が感じられます。祈って準備し、十字架を待っておられたからです。
「イエスは彼に『友よ、あなたがしようとしていることをしなさい』と言われた。そのとき人々は近寄り、イエスに手をかけて捕らえた」(マタ 26:50)。
イエス様は、ユダに「友よ」と言われました。イエス様のことばの中には、ユダに対する恨みがありません。淡々と神様のみこころを受け入れ、苦難の十字架を負おうとされる謙遜な姿があるだけです。
祈る人には、病気や敗北や苦痛が問題にならなくなります。私たちは、ある日突然、がんの宣告を受けるかもしれません。まだ若いのに、余命3ヶ月と告げられるかもしれません。そのように、考えてもみなかった環境の嵐の中に放り出されるときがあります。自分の人生すべてが崩れ落ちるような危機の前に立たされることがあるのです。
しかし、イエス様を見てください。祈る人には、がんの宣告やリストラなど、どんな危機が訪れたとしても、恐れがありません。人生は、良い時もあれば、悪い時もあります。しかし、それは重要ではありません。祈る人は、どんな状況が自分に降りかかっても、たとえ死が自分の前に迫ってきたとしても恐れず、喜んで感謝し、賛美し、神様の栄光がその中に現れると信じることができます。
苦しみは永遠ではありません。敗北も永遠ではありません。私たちが苦しみと敗北の中にいるときは、それが永遠に続くように感じますが、それもみな過ぎ去ります。私たちは、過ぎ去っていく環境のために恐れたり悩んだり苦しんだりするべきではありません。良いことが続き、なんでもうまくいけばすばらしいですが、たとえそうでなくても、祈ることによって苦しみの壁を突き破ることができ、神様の栄光が現れるでしょう。

祈らない人は衝動的です
反対に、祈らなければどんなことが生じるでしょうか。祈るべき時に眠っていたペテロの姿が、代表的な例であると言えます。
「すると、イエスと一緒にいた者たちの一人が、見よ、手を伸ばして剣を抜き、大祭司のしもべに切りかかり、その耳を切り落とした」(マタ 26:51)。
危機的状況になりました。ここには「イエスと一緒にいた者たちの一人」と表現されていますが、ヨハネの福音書18章10節を見ると、それがペテロであることが分かります。彼が眠っていて目を開けてみると、周りに剣と棒を持った大勢の人々が取り囲み、ユダがイエス様に口づけをしていました。このとき、ペテロは、われ知らず剣を抜き、とっさに前にいる人の耳を切り落としました。
祈らない人は、衝動的な行動をします。祈らない人は本能的に行動してしまうのです。口からも衝動的な言葉が出るので、人を傷つけます。しかし、祈って聖霊によって語るなら、相手が癒やされます。
ペテロは、3度起こされても眠り、霊的に空白の状態でした。それで、とっさに衝動的な行動をしたのです。しかし、ペテロが大祭司のしもべの耳を切り落としたことは、悲劇の始まりにすぎません。この後、彼はイエス様を否定し、のろいさえするのです。
このとき、イエス様はどうされたでしょうか。イエス様は次のように言われました。
「『剣をもとに収めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます』」(マタ 26:52)。
第一に、剣をもとに収めるようにと言われました。祈ることなく行動したなら、その行動をすぐにやめましょう。祈らないで衝動的に出た言葉や行動は、どうすることもできません。ペテロは、すでに相手の耳を切り落としてしまいました。しかし、立ち返ることを恥ずかしく思わないでください。間違ったなら、悔い改めましょう。このような信仰の勇気があるとき、家庭、社会、教会の問題がなくなるでしょう。

困難な状況でも人を助ける愛
第二に、イエス様は「剣を取る者はみな剣で滅びます」と言われました。武力では平和や幸福を実現できないという意味です。武力を用いれば、さらに大きな武力が立ち向かって来ます。暴力を用いれば、さらに大きな暴力が立ち向かって来ます。武力や暴力は、ある意味、現実的な力ですが、永遠の力ではありません。多くの人が剣の力によって権力を握り、政治を行い、経済を操り、社会を統治しようとします。しかし、世界の歴史を見ると、剣を取る者が剣で滅びた例がたくさんあります。
では、剣を取って耳を切り落としてしまったなら、どうすればいいでしょうか。私たちが剣をもとに収めれば、イエス様がその人の耳を癒やしてくださいます。癒やしは、私ではなく、神様がなさることです。日本の民族の癒やしは、人間にはできません。私たちが謙遜に悔い改め、みことばに従うとき、神様の御手がこの地を癒やしてくださるでしょう。
ペテロから不意の一撃を食らった大祭司のしもべは、どうなったでしょうか。ルカの福音書22章51節を見ると、「するとイエスは、『やめなさい。そこまでにしなさい』と言われた。そして、耳にさわって彼を癒やされた」と記されています。ここでイエス様の姿を改めて見てみましょう。今起こっている危機的状況と全く関係なく、実に自由に愛を施される姿を見ることができます。
「ペンは剣よりも強し」といった人がいます。これは真理の一端にすぎません。剣は武力を象徴し、ペンは精神を象徴します。精神は武力に打ち勝つことができるという意味です。最近、ペンを取る人の中に、毒舌の人がたくさんいます。剣ではないとしても、ペンで人を殺す人がたくさんいます。むしろ、より残忍に人を殺すのです。ペンよりもさらに強いのが、愛です。イエス様は、自分を捕らえに来た人の耳に触れて癒やされました。
私たちは、ここでもう一つ新しい事実を見出すことができます。一般的に、人にはある固定概念があります。それは、自分自身に余裕があるときに、人を助けることができるという考えです。経済的に少し余裕ができ、時間的に余裕があるとき、人を助けることができると考えるのです。そのような考えによって、自分自身を制限してしまいます。しかし、イエス様を見てください。私たちは、病気のときにも人を助けることができ、お金がなくても人を助けることができ、投獄されて自由の身ではなくても人を助けることができます。イエス様は、今、攻撃を受ける立場にあるのに、攻撃しようとする人の傷を癒やされました。私たちも、攻撃される立場にあっても人を助けることができます。
病気にかかったときでも、人を助けることができるようになってください。お金がなくても、人を助けることができるようになってください。私たちは、危機に追い込まれることがあります。霊的に緊迫した、切実な状況に陥ることがあります。しかし、そのような状況でもイエス様の姿を思い出し、私たちが自分よりも大変な兄弟を助けるなら、奇跡が起こります。私たちの心に平安と喜び、自由と祝福があふれるようになるのです。

祈り
父なる神様、私たちはゲツセマネで祈られたイエス様を見ました。イエス様は、危機の前でも落ち着き、堂々としておられ、人を助けられました。しかし、祈らなかったペテロやほかの弟子たちは、慌てふためき、衝動的に剣を抜き、決定的な瞬間にイエス様のもとから去って行きました。主よ、私たちの信仰の状態を見させてください。私たちの頭に油を注いで聖霊で満たし、祈る信仰をお与えください。苦難の前でも恐れず、どんな悪い知らせを聞いても挫折することがないようにしてください。イエス様の御名によって祈ります。アーメン。

 

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